社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2012年04月03日号

南海トラフ地震で、最大34m超の津波も

内閣府の有識者会議は、東海沖から四国沖の海底にある南海トラフの巨大地震の新たな想定で、最大級の地震が発生した場合、震度7の地域が10県に及ぶのをはじめ、関東から四国までの6都県で満潮時の津波高が20m以上になる可能性があると公表した。津波高が最大になるとされた高知県黒潮町で34.4mの大津波が襲うとしている。内閣府の有識者会議での推計公表だけに、関係する自治体では防潮壁の整備や避難などの防災・減災計画の練り直しが求められる。



日本の海外生産比率が18.1%に

経済産業省は2010年度海外活動基本調査で、日本の製造業の海外生産比率は前年度より1.1ポイント上昇の18.1%になったと発表した。海外生産比率の上昇に比例して、海外設備投資も前年度比1.2ポイント上昇の17.1%となった。また、海外現地法人の売上高は前年と非11.4%増の183.2兆円に達した。海外への投資を決定した理由として「今後の需要拡大が見込まれる」(全体の73.2%)が最も多く挙げられた。



厚生年金の保険料逃れ悪質は実名公表

厚生労働省がまとめた厚生年金保険料の収納対策によると、悪質な保険料逃れの事業所の実名公表に踏み切る考えであることが分かった。本来、5人以上の従業員がいる事業所は厚生年金への加入義務があるが、経営が厳しい中小・零細ほど保険料負担を逃れて加入しないケースが多く、2010年度には未適用事業所は約11万もあった。収納事務を行う日本年金機構がこの11万事業所の全てに加入指導を行い、従わない事業所の実名を公表するというものである。



依然、学生の「大手企業志向」は主流

就職情報会社のディスコが来春卒業予定の大学生を対象に就職活動に関する調査で、就職活動の中心としている企業規模を尋ねたところ、「中堅中小企業」という回答は14%にとどまり、依然、大手企業志望の学生が主流であることが明かになった。他方、今年3月卒の大卒求人倍率は300人未満企業が3.35倍だったのに対し、5000人以上の企業は0.49倍で、大卒者を求めたい中小企業と学生の大手志向とのミスマッチが歴然となっている。



消費税率10%時には低所得者対策を

政府は消費税率を10%に引き上げる際に低所得者対策として最大年間4000億円を充てる考えを示した。低所得者ほど消費税負担感が増すという「逆進性」の解消を図る狙いがあり、閣議決定された社会保障と税の一体改革大綱では、「簡素な給付措置」により低所得者に支給するとしているが、支給対象や支給額は明らかにされていない。また、10%引き上げ時には、増税分を価格転嫁が難しいとされる中小企業への支援措置も検討するとしている。



1~3月期成長率、3.4%に上方修正

経済協力開発機構(OECD)が発表した日米欧の短期的な経済見通しによると、日本の1~3月期の実質経済成長率は前期比年率3.4%となるとの見方を示した。昨年11月時点での予想の同1.8%から大幅に上方修正したが、円安や鉱工業生産の拡大に伴って、「強い回復が予想される」と指摘している。ユーロ圏は、債務危機問題が響きマイナス成長にとどまるとし、米国については個人消費の拡大により2.9%成長と予測している。



専業主婦世帯の12%が「貧困層」

労働政策研究・研修機構の調査によると、専業主婦世帯の12.4%が「貧困層」にあることが分かった。貧困層世帯とは、子どものいる世帯を年収の高い順に並べ、全体の真ん中にある世帯を算出し、真ん中の世帯の年収の半分以下で暮らす世帯を指す。専業主婦世帯の平均年収は617万円だったが、夫の年収だけで生活できる富裕層と、妻がパートなどの働きに出られずに貧困層となる二極化が進んでいた。妻がパートに出ている世帯の貧困率は専業主婦世帯より3.8ポイント低くなっており、子育てで妻が働けずに貧困層に陥っている実態を浮き彫りにしている。



大学生は、もっと学ぶ時間を

中央教育審議会の大学教育部会がまとめた提言によると、日本の大学生の勉強時間は授業を含めても1日4.6時間にとどまり、本来の卒業単位(124単位)を取得するために必要とされる1日8時間に満たない実態にあり、主体的に学ぶ時間を増やすよう各大学に求めた。大学全入時代にあって、入学学生の質の低下が懸念されている一方で、グローバルな社会に対応できる能力が培われていない実情にあり、「自らが主体的に考える力の育成」のために予習・復習に基づく課題解決型の授業を大学に求めている。



トップへ