社会・経済のうごき@しんぶん
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2012年02月07日号

将来財政の足かせとなる「利払い費」

財務省が2012年度予算案をベースに歳出・歳入の見通しを推計した「後年度影響試算」よると、2015年まで段階的に消費税を10%に引き上げたとしても、2021年度末に国債残高は1007兆円にまで達し、その利払い費は2012年度の10兆円から倍増の20.7兆円になることが分った。長期金利を2%としての試算だが、国債格付け引き下げや市場から国債が売り浴びせられれば、一段と金利は跳ね上がり、利払い費は増加し、予算編成もままならない事態ともなりかねない。



国民負担率、39.9%に低下

財務省の発表によると、2012年度の国民負担率は前年度比0.2ポイント低下の39.9%になることが分った。国民負担率は、国民所得に占める税と社会保障負担の割合を示すもの。内訳をみると、租税負担率は22.7%(前年度比0.2ポイント減)、社会保障負担率は17.1%(同0.1ポイント減)となる。日本の国民負担率は経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国で26番目となる。この国民負担率に将来負担しなければならない財政赤字を加えた潜在的国民負担率は51.2%となる。



国の負債超過額が初めて400兆円超に

財務省が発表した2010年度末の国の貸借対照表(一般会計と特別会計の合計)によると、負債が資産を417.8兆円上回る負債超過になることが明かになった。負債超過額が400兆円を上回るのは初めてで、3年間で約100兆円もの債務超過額が増えたことになる。基礎的財政収支のバランスを加来、いわば財源不足の穴埋めとしての国債の大量増発が背景にある。特別会計でみると、4兆円の資産超過となっているものの、外国為替資金特別会計は初めて負債超過に陥った。



50年後、労働力人口は半減へ

国立社会保障・人口問題研究所がまとめた将来推計人口によると、日本の総人口は減少ペースが加速し、50年後には現在の3割減ともなる8674万人になることが分った。結果、15~64歳までの生産年齢人口は2010年の8173万人が、2030年に6773万人、2060年に4418万人と、現在の半分ほどにまで減ることになり、経済への大きなダメージとなる。生産性を高めていくことが次代のキーワードとなることは必至である。



パワハラ行為を初めて類型して整理

厚生労働省のワーキンググループは初めて職場でのパワーハラスメント行為を6つに類型化した報告書をまとめた。パワハラに当たる可能性のある行為を、①身体的な攻撃、②精神的な攻撃、③人間関係からの切り離し、④過大な要求、⑤過小な要求、⑥個の侵害、の6つに分類整理した。今回の報告書で注目されるのは、権限を持った上司からだけでなく、同僚間、あるいは部下からの上司いじめもパワハラに含めるべきだと提案している。全国の労働局に寄せられている職場でのいじめや嫌がらせに関する相談件数は2010年度に約4万件に達し、深刻化している。



喫煙率、初めて2割を割り込む

厚生労働省の2010年国民健康・栄養調査で、習慣的喫煙者の人の割合が19.5%となり、初めて20%を割り込んだことが分った。直近の1か月間に毎日または時々吸っている人を「習慣的な喫煙者」としており、男性の喫煙率は前年比6.0ポイント減少の32.2%、女性が同2.5ポイント減少の8.4%で、男性の減少が際立った。習慣的喫煙者のうち、「たばこをやめたい」と思っている人の割合は男女合計で過去最高の37.6%に上っていた。



新設住宅着工戸数、2年連続での増加

国土交通省の発表によると、2011年度の新設住宅着工戸数は83万4117戸(前年比2.6%増)となり、2年連続で前年比を上回っていることが分った。東京や埼玉などの首都圏で前年比5%増となり、全国平均を上回った。住宅金融支援機構のフラット35による金利優遇が住宅購入を促進したとみられる。ただ、昨年秋以降、住宅着工戸数は4ヵ月連続でマイナスになるなど、足下での冷え込みが見られるが、同省では、「東日本大震災での復興事業が本格化すれば一定の需要が見込める」とみている。



全国38地点で最低気温を記録

気象庁は2月3日の東北から九州にかけての観測地点38地点で観測史上最低気温を記録したと発表した。大雪を伴った強い寒気による猛烈な冷え込みによるもので、気温を観測している927地点のうち874地点で最低気温が氷点下となった。温暖化での暖冬化傾向が続く中にあって異例の低温となった背景には、地表の熱が奪われる「放射冷却現象」が発生したと同庁では分析している。



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