社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2012年02月14日号

深刻な年金の負担と給付の世代間格差

内閣府経済社会総合研究所の試算によると、国民年金や厚生年金などの公的年金を受給する金額から負担する金額を差し引いた生涯収支を世代別に比較すると、50代半ば以下の現役世代の「負担超過」になる実態が明らかになった。試算で、1950年生まれ(62歳)で支払額よりも年金受取額が502万円の受け取り超過になるものの、1955年生まれ(57歳)では約1万円弱の受け取り超過に縮小し、その後の世代では負担超過となる。消費税増税による世代間格差の縮小は限定的で、高齢者の受給年金額の減額が避けて通れない課題も含んでいる。



日銀保有の日本国債は約90兆円に

日銀が保有する日本国債の残高は2011年末時点で約90兆円に達し、国債発行残高に占める日銀保有割合は10.1%となることが分かった。国債消化を日銀頼みとする構図が浮き彫りとなったが、日銀が国債を買い進めたことで長期金利はここ数年、年1%前後の低位推移で安定している。米連邦準備理事会(FRB)も米国債保有額は発行額全体の2割を保有し、欧州中央銀行(ECB)の保有残高は過去最高の2192億ユーロに達するなど、各国とも中央銀行の国債買い入れ傾向が顕著である。



米国の対中貿易赤字、過去最大に

米商務省が発表した2011年対中貿易赤字額は2955億ドルに達し、過去最大を記録した。米国の貿易赤字の約4割を占め、対中赤字が際立っている。このため、人民元に対する米国内の風当たりも強まっており、米財務省も「人民元相場には過小評価されている」との見解を示している。対中貿易赤字拡大は国内の雇用機会が奪われているとして、今後、一段と対中強硬論が拡大・過熱しかねない状況にある。



補助金追い風にハイブリッド車、2割超え

自動車業界団体のまとめによると、1月の新車販売台数のうちハイブリッド車の割合が初めて2割を超えたことが明かになった。エコカー補助金が昨年末に復活したことが追い風となって、メーカー各社のハイブリッド車が好調な販売ぶりを見せた。ホンダの「フリード」やトヨタの「プリウス」が前年同月比2倍以上の販売を記録したほか、「フィット」「アクア」も好調で、供給が追いつかず、納期が夏以降になるケースも出ている。



全国でインフルエンザの猛威続く

厚生労働省の発表によると、2月5日までの1週間で、休校や学級閉鎖などになった小中高や幼稚園、保育所は8578施設に達し、3週連続で4ケタ台を記録していることが分った。また、国立感染症研究所の調べで1医療機関当たりの患者数は警報レベルである30人を大幅に上回る42.62に拡大していることが判明し、同研究所では推定患者数は約211万人に上ると発表した。今シーズンはA香港型ウィルスが流行しているが、厚労省では「流行のピークを迎えつつある」と分析している。



公立中の子供の塾代等支出は約23万円

文部科学省の2010年度「子どもの学習費調査」によると、公立中学校に通う子供の塾や家庭教師、通信添削、参考書購入などの補助学習費の年間支出額は1人当たり平均22万9千円になることが分かった。世帯年収別にみると、年収400万円未満の家庭が17万7千円、400~599万円の家庭が19万4千円と年収が高まるほどに補助学習費の年間支出額は増え、1200万円以上だと34万1千円となっていた。全体の47%が年間20万円以上の支出をしており、不況下でも子供の教育にお金をかける親が多いことを裏付けた。



単身女性の3人に1人が「貧困状態」

国立社会保障・人口問題研究所の分析によると、20~64歳の単身女性は生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」が32%となっていることが分った。3人に1人の女性が貧困状態にあるといえる。同年齢の単身男性の相対的貧困率は25%と女性よりは低く、同研究所では「女性が働く環境で置かれている地位は低いため、貧困状態も男性より女性に偏る傾向がある」と分析している。



認知症予防に短時間運動が効果

筑波大研究グループの発表によると、総合的に注意・判断する能力が高齢者でも短時間運動で向上することが分った。認知機能の中で、自分の注意や行動を適切に制御する脳の働きである「実行能力」と呼ばれるもので、左脳の衰えた部分の代わりに運動によって活発化した右脳がバックアップすることを突き止めた。70歳前後の人を対象に色と文字を正しく判断させるテストで、10分間の自転車こぎ運動の前後で比較したところ、運動前は反応時間が約250秒だったのに対し、運動後は約210秒に短縮した。



トップへ