今月下旬に決定される2012年度の実質経済成長率について、今夏に予測していた2.9%から2%台前半に下方修正することで内閣府は財務省との調整に入った。東日本大震災での復興需要が本格化する一方で、米欧の低成長で輸出が鈍化するとともに、欧州のソブリンリスクによる円高の進展が経済成長率を押し下げる要因として挙げている。政府の実質経済成長率見通しは2012年度予算案編成で税収見込みの基礎となる。
米経営コンサルティング会社のA・T・カーニーが世界68か国の投資先を聞いた「2011年度海外直接投資先信頼度調査」によると、上位3位に、中国、インド、ブラジルの順で占めたことが分かった。上位25か国には、3か国のほか新興国が半数以上を占めた。日本は復興需要の高まりから前年の圏外から21位となった。前回2位だった米国は財政赤字が影響し4位となったほか、フランスもEU圏での債務危機問題を背景に13位から17位に後退した。
日本証券投資顧問業協会のまとめによると、年金基金などから資産の運用を受託している投資顧問会社の9月末時点での契約残高は146兆円となり、6月末比で12兆円も激減していることが分かった。激減の背景には、欧州での債務危機問題や長引く円高の影響で、国内外の株式や外国債券の運用実績が大幅に悪化したことがある。同協会では、「年金の給付資金を捻出するため、運用資産の一部を売却した可能性が高い」とみている。
厚生労働省は来年の通常国会に法案提出を予定しているパートなど短時間労働者の厚生年金加入拡大について、激変緩和措置を設ける方針を固めた。現行では、週30時間以上働くパートなどの短時間労働者だけが厚生年金と健康保険に加入しているが、同省で「週20時間以上」にまで拡大する方針。これによって、企業の保険料負担が重くなることを配慮し、中小企業への適用に猶予期間を設けるなどの激変緩和措置を講ずることが検討されている。
日本経済新聞社がまとめた2011年ヒット商品番付の横綱に、「アップル」「節電商品」がランクされた。アップルはスマートフォン「iPhone4S」を10月に発売し、発売僅か3日間で400万台を売り上げるとともに、今春発売のタブレット端末機「iPad2」も好評でアップルが話題を集めたことが反映された。また、東日本大震災を契機とした電力不足を反映した節電商品が横綱に輝いた。また、番付には、「なでしこジャパン」「フェイスブック」「東北応援」などもランクインした。
米海洋大気局(NOAA)がまとめた報告書によると、北極の海氷の減少に伴って暖かくなるなど、2006年以降激変していることを指摘した。今後、低緯度地域に大雪をもたらすなどの大きな影響を及ぼす恐れもあるとしている。報告書によると、今年の現在までの北極域の平均気温は最近30年間の平均と比べ1.5度高く、夏の海氷面積は観測史上2番目の小ささ記録した。 他の地域と比べ気温が大きく上昇しており、地面や海域が露出したことで、 太陽熱が吸収されやすくなっているのが原因と考えられるとしている。
厚生労働省の調査によると、高齢者虐待に関する相談や通報を基に、自治体が訪問調査によって虐待と判断したケースは1万6668件で、過去最多に上ることが分かった。虐待の加害者で最も多かったのは「息子」(42.6%)で、次いで「夫」(16.9%)、「娘」(15.6%)となっている。虐待内容では(複数回答)、暴力をふるう「身体的虐待」(63.4%)で最も多く、暴言などの「心理的虐待」(39.0%)となっていた。虐待によって死亡した高齢者は21人もいた。
住友生命保険は今年の世相を反映した創作四字熟語の優秀作品を発表した。サッカー女子ワールドカップを制した「なでしこジャパン」を讃える「才足兼美」、津波に耐えた「奇跡の一本松」を表した「一松懸命」、野田内閣発足とドジョウ(ドジョウ)を掛け合わせた「鰌名披露(しゅうめいひろう)」など選ばれた。このほかに、夏の節電を表す「電考節夏」、交通網寸断を表す「帰路騒然」もあった。