社会・経済のうごき@しんぶん
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2012年01月10日号

2011年貿易収支、31年ぶりに赤字に

昨年1~11月における輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2.3兆円の赤字となり、2011年の貿易統計は31年ぶりに赤字に転落することが確実となった。歴史的な円高の長期化に加え、原発事故により火力発電で使用する液化天然ガスの輸入が膨らんだことが背景にある。原発の低位発電が続き燃料輸入が増大し、欧州債務危機での輸出低迷となれば、貿易収支の赤字解消に至るまでは期間を要し、日本経済への下押し圧力となる。加えて、資金の海外流出で国債の国内消化に障害が生じかねない。



中小の業況、震災前水準に回復

金融庁が行った昨年11月の中小企業の業況判断によると、「良い」との回答から「悪い」を差し引いた全業種の業況判断指数はマイナス64となり、震災直前の2月調査(マイナス71)の水準に回復した。震災復興の建設需要の増加が後押ししたとみられ、建設業と運輸業は前回調査(8月)よりマイナス幅が15縮小している。震災以前の水準に回復しつつあるとはいえ、円高の長期化や消費低迷を懸念する声も少なくない。



復興債の販売、通常国債の2倍に

東日本大震災の復興費に充てる「個人向け復興国債」の販売を扱う大手7行の販売額が1000億円に達し、通常の個人向け国債の約2倍もの売れ行きとなったことが分かった。政府が定期的に販売している「個人向け国債」は昨年12月販売分から、2011年度中に発行されるものについては、全て東日本大震災の復興費に資金使途が限定される「復興国債」に切り替えられ、銀行や証券会社など約1100の金融機関で販売されている。被災地支援を目的に購入する人が増えたものとみられる。



IMFが邦銀を対象に初のストレステスト

国際通貨基金(IMF)が邦銀を対象にしたストレステスト(資産査定)の調査に既に着手し、3月の実地調査を経て、今夏に査定結果を発表することが明かになった。ストレステストは、欧州債務危機が日本に及んだ場合に、邦銀の財務の健全性や資金繰りがどう変化するかを試算するもので、IMFが世界的な金融危機後の2010年に金融システムの安定性を事前測定する上から導入された。今夏の結果発表によっては、自己資本の増強などの新たな対応を邦銀に迫られる可能性もある。



今春の大学志望、「理高・文低」型に

予備校の代々木ゼミナールが昨年10―11月の全国模試で第1志望の学部系統を集計したところ、法額・経済・人文などの文系学部の人気が低迷し、工学などの理系学部や資格を取得できる看護系・保健系の学部に人気が高いことが分かった。代ゼミでは「国公立・私立ともに同傾向があり、難関大でも理高・文低の傾向が顕著である」と指摘している。「理高」の背景には、在学中の資格取得が可能であり、理系の就職内定率が文系より高く、就職に有利とみる受験生が多いとみられる。



77%の新成人が「日本変えたい」と願う

調査会社のマクロミルが新成人男女を対象にしたインターネット調査によると、80%が「日本の未来は暗い」としながらも、77%が「自分たちの世代が日本を変えていきたい」と考えていることが分かった。日本を変えるとする具体的な意見として、「世界にアピールできる国にしたい」「教育や医療に力を入れるべきだ」「個々が社会貢献すれば日本は変わる」などがあった。同社では、「若者が真面目に社会に向き合っていこうと考えている」と分析している。



昨年の有感地震、震度5弱以上は最多

気象庁がまとめた昨年1年間の震度1以上の有感地震発生数は9723回に及び、統計開始した1926年以降で3番目の多さとなり、このうち震度5弱以上は統計史上最多になった。同庁では「記録的な発生数」としたうえで、「大震災の余震域を中心に列島各地で地震が活発化し、今後、有感地震の発生回数はさらに増える」との可能性を指摘している。有感地震のうち、気象庁が余震域としている岩手‐茨城県沖のエリア内で起きた地震は6843回に及んだ。



110番通報、災害関連が急増

警察庁は昨年1~11月に全国の警察で受理した110番通報は前年同期比0.8%増加の856万件に及んだと発表した。交通事故などの交通事案が全体の29.9%を占め最多となったが、災害事案が前年同期比23.3%増加と急増していた。また、110番通報に当たっては、携帯電話など移動電話からの通報が全体の66.2%を占め、依然、増加傾向が続いている。



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