社会・経済のうごき@しんぶん
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2011年11月15日号

イタリア国債利回り、危険水域を突破

イタリア財政に対する市場不安を背景に、11月9日、同国の10年物国債利回りが財政運営の持続が危ういとされる危険水域7%を超える7.4%に達した。利回りの上昇は国債価格の下落を意味する。国債の買い手難から自力での資金調達が困難となるとともに、高い金利を払い続けながらの財政運営にも限界があり、欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)から資金支援に頼らざるを得ない実態に陥ったことになる。



異例の4次補正予算案編成へ

政府は2011年度第4次補正予算案を編成する方針を固めた。1年間で4度の補正予算を組むことは全くの異例で、終戦直後の1947年に15回の補正が組まれて以来のこととなる。東日本大震災関連の復興対策で1次から3次までの補正が組まれたことをみても震災の衝撃の大きさを物語る年度補正予算編成といえる。4次補正予算では、被災地での住宅ローン対策や環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加で影響がにらんでの農業対策費を求める声が出ているが、税収不足が確定的なだけに予算規模は小さくなるとみられる。



建設業従業員数、過去最低に

国土交通省のまとめによると、2010年の建設業の従業員数は16万5千人となり、調査開始の1994年以降で最低になることが分かった。ピーク時(1994年)と比べ4割近く減少したことになり、売り上げベースでも3年連続の減少となる。景気低迷に加えて、2001年からの急速な公共事業削減の流れがある。今後の建設業の経営見通しについて、「東日本大震災の復興需要で2011年は改善の見込みはあるものの、公共事業費削減の流れから、依然低迷する」と、同省ではみている。



羽田空港の出入国者数は1年で倍増

東京入国管理局がまとめによると、羽田空港での国際定期便運航再開の昨年11月から今年10月までの出入国者数は693万人となった。前年同期(323万人)の2.1倍にも達していることが分かった。このうち、日本人の出入国者数は504万人(前年同期192万人)となり、海外旅行の発着利用者が2.6倍にも増え、日本の玄関口としての機能を果たしたことを浮き彫りにしている。



7~9月期GDP、年6.0%増に

内閣府は2011年7~9月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比1.5%増となり、4四半期ぶりにプラス成長になったと発表した。年率換算で6.0%増(約542兆円)となる。東日本大震災でのサプライチェーンの復旧で自動車生産が回復して輸出が伸びたことや個人消費や設備投資の回復も寄与した。ただ、今後は欧州危機による世界的な財政緊縮の動きが加速するとともに、円高の長期化、タイ洪水といった要因が下押し圧力となり、回復が鈍ると民間エコノミストは指摘している。



海外投資信託から2500億円流出

野村総合研究所の推計調査によると、10月に外国株や外国債券などの海外資産で投資運用する投資信託からの資金流出額は2530億円となり、前月比で倍増する実態にあり、個人投資家の海外投信離れが顕著になってきている。東日本大震災以降、海外資産への投資信託への資金流入が続いてきたが、円高の長期化や欧州各国での財政不安が拡がり、海外資産への投信に警戒感を強めた流れとみられる。また、投資信託協会が発表した10月の投信概況では、株式などのリスクの大きい資産への投資を組み込んだ「株式投信」では、977億円の資金流出となった。リスクを回避する個人投資家の心理が顕著になってきている。



新成人の支出、モノより交際費を優先

日経産業地域研究所が来年成人を迎える大学生を対象に行った新成人調査によると、自由に使えるお金の使い道を尋ねたところ、「友人との交際費やデート代」が最多の70.3%に達していた。3年前の同調査では「本、マンガ、雑誌」(40.2%)が最多だったことを考慮すると、モノより交際のための支出を優先している姿が分かった。また、SNS(交流サイト)の利用経験者は73.6%にのぼり、そのうち3割は「友達に会う機会が増えた」と答え、ネット上の交流が広がっている、今どきの若者像が見えた。



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