社会・経済のうごき@しんぶん
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2011年10月25日号

円、史上最高値を更新

ニューヨーク外国為替市場で10月21日、円相場が1ドル=75円78銭の史上最高値となった。今年に入ってから円が最高値を更新したのは3回目となる。欧州債務危機問題で、投機筋が相対的に安全通貨である円に逃避先を求め、円買い・ドル売りが進んだものとみられる。リスク回避の円買いだが、不透明な欧州情勢に加えて、米国の金融緩和策によって先行き日米金利差が縮小するとの思惑から円買いが進むとみられ、円高は長期化の様相を見せ始めている。



電力不足続くなら、国内生産を縮小・停止

経団連が行った節電対策に関するアンケート調査によると、製造業の59%が「今後2~3年電力不足が続けば、国内生産の縮小・停止を余儀なくされる」と回答していることが分かった。また、電力不足の状態が続けば、製造業の77%が「収益が悪化する」と答えており、深刻な事態にある。超円高という為替水準と併せ、電力不足が産業空洞化を加速しかねない岐路にあることだけは確かなようだ。



大学の秋入学への賛否は二分

教育情報会社のライセンスアカデミーが4年制大学を対象にしたアンケート調査によると、東京大学が検討している入学時期を秋に移行することについて、他の大学では賛否が二分していることがわかった。「四月入学を廃止」(16.4%)、「四月入学と併存させる」(26.6%)といった肯定する向きは43%だったのに対して、「秋入学は不要」(39.5%)といった否定する大学とが拮抗した。秋入学移行のメリットとして「留学生の増加」(49.8%)が挙げられる一方、デメリットして「高校卒業から大学入学までのブランクが生じる」(46.0%)が挙げられた。



円高で訪日外国人観光客数は減少に

独立行政法人・日本政府観光局が発表した9月の訪日外国人数は前年同月比24.9%減少の53万9千人になっていることが分かった。3月の東日本大震災以降、7カ月連続での前年割れとなっている。原発事故による放射能汚染への危惧に加え、急激な円高が訪日数の下押し圧力となっている。その一方で、9月の日本人の海外旅行者数は前年度同月比6.7%増の164万5千人となっている。円は各国通貨に対して高値圏で推移しており、海外旅行には有利に作用している状況にある。



精神障害の労災認定で新基準を

厚生労働省の専門検討部会は、長時間労働によるうつ病などを労災として認定する基準について、「発症直前の3週間で約120時間以上の時間外労働」があった場合に認めるとする報告書をまとめた。報告書での新評価表では、心理的負荷を総合評価する際、「弱」から「強」までの段階ごとに負荷内容を例示している。「強」と判断する要因の一つとして「極度の長時間労働」を挙げ、うつ病発症直前1カ月に約160時間以上か、3週間に約120時間以上の時間外労働をした場合と明記した。また職場のセクハラでの心理的負荷も具体的に例示し、労災認定しやすくする。



有給休暇の取得日数平均は8.6日

厚生労働省の2011年就労条件総合調査によると、労働者1人当たり1年間平均有給休暇付与日数は17.9日となっているが、取得日数は8.6日で取得率は48%にとどまっていることが分かった。また、定年を定めている企業は93%で、82%の企業は依然「60歳定年」としていた。さらに、派遣労働者の活用状況をみると、61%の企業が「3年前と比べて派遣労働者が減少した」と答えており、景気低迷の影響で派遣労働者を雇い入れる必要が薄らいだことを浮き彫りにした。



1等米比率は16ポイント増の80.3%に

農林水産省が発表した2011年産新米の1等米比率は昨年より15.9ポイント増加の80.3%になったことが分かった。昨年は記録的な猛暑により品質が極度に悪化していた。1等米比率が最も高かったのは長野県(98.2%)で、北海道(95.2%)が続いた。同省では、新米の取引価格上昇に加え、品質向上により農家の収入回復につながるものとみている。なお、東日本大震災の被災地県での1等米比率は、福島県と岩手県が95.1%で、宮城県は81.3%となり、いずれもが全国平均を上回った。



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