社会・経済のうごき@しんぶん
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2011年09月13日号

経済成長率、唯一日本がマイナス成長

国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した2011年版貿易開発報告で、今年の世界経済の実質経済成長率は前年実績を0.8ポイント下落の3.1%になると予測した。日本については、東日本大震災と円高の影響もあり、昨年実績の4.0%から一転、マイナス0.4%に陥るとの予測を示した。日本は主要国の中で成長率が唯一マイナスとなる。中国(9.4%)やインド(8.1%)などの新興国・発展途上国での成長率は依然高い。



外国人投資家の日本株売りが鮮明に

東京証券取引所が発表した投資主体別の売買動向によると、8月の外国人投資家の売越額は1兆656億円に達し、リーマン・ショック直後の規模にまで膨らんでいることが明らかになった。外国人投資家の日本株売りが顕著になった背景には、欧米の財政・景気悪化からリスクのある株式投資の持ち高を減らす動きが顕著になり、日本株へも波及したことによる。さらには、円高も日本株売りを加速させた。ただ、株価が大きく下落した反動から割安感が広がり、主力株への買いも見られ始めている。



デフレ下でも日本は消費税増税を

国債通貨基金(IMF)は日本が2012年から消費税率を段階的に15%まで引き上げるよう提言した。IMFは「財政再建のためデフレの完全な脱却を待つのは賢明ではない」と指摘し、与党の一部にある増税の景気への悪影響論を一蹴したうえで、東日本大震災の復興需要により景気押し上げが見込まれる2012年からの消費税率引き上げを求めた。これに先立つ4月に、経済協力開発機構(OECD)も消費税率20%への引き上げを求めており、国際機関がこぞって日本に対して増税を求めている。



35%の企業が「円高は売上げに悪影響」

帝国データバンクが行った「円高に対する企業の意識調査」によると、35.5%の企業が「円高が売り上げに悪影響を与える」と答えた。また、「日本にとって円高は好ましくない」とする企業も67.6%にも上った。さらに4社に1社が「円高基調から長期的に反転は期待できない」と指摘し、円高からの好転には否定的な声も聞かれ、当分、円高が日本経済の下押し圧力となるとの企業見通しが明らかになった。



「不本意」にして非正社員に就く人が増加

厚生労働省がまとめた2010年就業形態の多様化に関する総合実態調査によると、正社員でない労働者の割合は3年前調査より0.9ポイント上回る39%に達し、非正社員の構成はパートが23%、派遣が3%、契約社員が4%になっていた。非正社員になった理由として、「正社員として働ける会社がなかった」との回答が増加した。景気悪化により正社員としての働き口がなく、自分の思いとは裏腹に不本意にして、やむなく非正社員として働いている実態が浮き彫りとなっている。



「日本の競争力」が9位に転落

世界経済フォーラムが発表した「2011年版世界競争力報告」で、日本の競争力総合順位が6位から9位に3年ぶりに順位が低下した。日本は「生産工程の先進性」「技術革新力」「研究開発投資」などといった民間部門での調査項目で首位となるなど高い評価を受けたものの、政府部門での「GDP比債務残高」が最下位となったのをはじめ「財政収支」「農業政策」など著しく低い評価となったことが総合順位に反映されている。また、同フォーラムでは「東日本大震災による悪影響は2012年版以降に反映される」ため、今後はさらに順位を落とすことは避けられない。



200万円以下の6割が「希望が持てない」

連合が年収200万円以下の人を対象にしたアンケート調査を行ったところ、64%が「1日7時間、週5人間働いているのに、生活が苦しく、将来に希望が持てない」と答えていることが分かった。年収200万円以下という収入面から推察すると、多くが非正規社員とみられ、連合では「正社員並みの労働実態にあるにも関わらず、賃金に反映されていない」と指摘し、賃上げの必要性を求めている。



医師の14%が後発医薬品を処方せず

中央社会保険医療協議会の調査によると、診療所の医師の14.6%が患者に対し後発医薬品を処方しないとの方針で臨んでいることが分かった。厚生労働省は、医療費抑制のため後発薬の使用を推進しているものの、医療の現場では、品質などへの疑問から後発薬の処方が進んでいないことが明らかになった。また、2010年の診療報酬改定の際に、医療機関が入院患者などに後発薬を使用できる体制を整備すると診療報酬が加算されるよう、後発薬の促進を図ったが、加算している病院は20.6%にとどまった。



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