社会・経済のうごき@しんぶん
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2011年08月30日号

普通預金へ拡大滞留する個人マネー

日銀がまとめた6月末時点での国内銀行(ゆうちょ銀行を除く)に預けている普通預金の残高は前年同月比6.0%増の190兆9千億円に達し、過去最高の残高となった。個人の普通預金の伸び率は昨年平均3%で推移していたが、東日本大震災以後、伸び率は5%を超えている。災害時にいつでも引き出しができる普通預金への流入が強まったことに加えて、所得や雇用不安から手元資金を厚くしておこうという指向があると、銀行筋はみている。



日本国債、上から4番目に格下げ

米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは8月24日、日本国債を「Aa2」から「Aa3」に1段階格下げし、21段階中で上から4番目にランクした。中国と同水準。日本経済の成長力の弱さと、膨らみ続ける政府債務に加え、政治の不安定さが格下げ理由に挙げられている。国債格付けが格下げとなれば、長期金利の指標となる10年物国債利回りは大きく上昇するが、今回は前日比0.005%低い1.01%で取引を終え、債券市場に反応は見られなかった。



国民年金保険料納付に顕著な地域差

厚生労働省の調べによると、国民年金保険料の納付率に都道府県ごとに大きな差が生じていることが明らかになった。2010年度の全国の納付率は59.3%となっているが、都道府県別にみると、最も納付率が高かった島根県(納付率70.8%)と最も低かった沖縄県(同37.8%)とでは33%の開きがあった。納付率が低い都道府県は所得が低い非正規社員の割合が高くなっている。年金制度維持のためには納付率80%確保が必要であり、日本年金機構は地域実情に応じた収納対策を講ずるとしている。



医療費、金額も伸び率も過去最大に

厚生労働省が発表した2010年度の概算医療費は前年度比3.9%増の36兆6千億円となったことが明らかになった。金額、伸び率ともに過去最大になった。2010年度に医療機関に支払う診療報酬が0.19%増に改定したことに加え、高齢者の増加と高度医療技術の進展が医療費増加の背景にある。とくに、高齢者の増加によって医療費全体の44.3%を70歳以上の患者が占めている。同省では、入院日数の短縮化や後発薬の使用促進によって、医療費抑制の方針を打ち出している。



「老後は年金で」、20代は38%どまり

厚生労働省が行った意識調査で、老後の生計を立てる手段について尋ねたところ、20代は「就労」が最も多い42.2%に達し、「公的年金」は37.8%にとどまり、若者の社会保障に対する不信感を浮き彫りにしていることが分かった。65歳以上での「公的年金」を当てにしている人は76.9%にも達する反面、20代の若者はその半数以下となっている。20代から民間の個人年金保険に加入する人も全体で16.2%もあり、世代間扶助が基本にある公的年金制度は年金保険料の未納付問題と併せ、将来、瓦解しかねない要素を覗かせている。



車燃費水準の24%改善を義務化へ

経済産業省と国土交通省は20202年度までに自動車燃費基準を09年度実績比で24.1%改善することを義務付ける原案をまとめた。また、原案ではメーカーごとに全車種の平均値を基準に燃費を規制する制度に改めることにしている。新しい燃費基準では、ガソリン車で09年度に1リットル当たり16.3km走行できたものを20年度には20.3km走れるように改善しなければならない。メーカーでは技術開発を促進しなければならないこととなり、同時に国際競争力も高めようとする国の狙いも伺える。



施設の半数以上が「介護職員が不足」

介護労働安定センターが行った「介護労働実態調査」によると、「職員の不足を感じている施設」は前年度比3.5ポイント増加の50.3%に達し、半数以上の施設で職員不足を感じていることが分かった。平均月給は216,494円。看護職員や介護支援専門員が25万円以上だったのに対して、訪問介護員は189,718円、介護職員は196,142円となっており、「人材の定着・確保のために十分な賃金を払えない」と施設側では指摘している。



通販市場、12年連続でプラス成長

日本通信販売協会がまとめた2010年度の国内通信販売の売上高(推計)は前年度比8.4%増加の4兆6700億円となり、12年連続してプラス成長となっていることが分かった。従来型のカタログやテレビなどによる通販が鈍化する反面、ネット通販が拡大している。とくに、スマートフォンを活用した通販の拡大が目立っている。冷え込む個人消費をスマートフォン活用のネット通販が牽引している構図となっている。



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