社会・経済のうごき@しんぶん
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2011年07月19日号

貧困率、過去最悪を更新

厚生労働省が発表した2010年国民生活基礎調査によると、生活に苦しむ人の割合を示す相対的貧困率が16.0%となり、調査データのある1985年以降で過去最悪となったことが分かった。相対的貧困率は、年間所得が全人口の可処分所得の中央値(2009年は1人当たり224万円)の半分に満たない人が全国民に占める割合。18歳未満の子どもが生活の厳しい家庭で育っている割合を示す「子ども貧困率」も過去最悪の15.7%に達した。同省では「所得が低い65歳以上の高年齢者や非正規労働者の割合が増えたため」と分析している。



国民年金保険料納付率、過去最低を更新

厚生労働省が発表した2010年度の国民年金保険料の納付率は59.3%となり、過去最低を更新していることが明らかになった。納付の全額免除者や猶予を受けている人を除外せずに計算しており、実質的な納付率は42.1%となった。納付率は5年連続での低下。低下の背景には、雇用状況の悪化による経済的困窮で保険料が納付できない人が増加しているのに加え、年金制度への不信感がある。納付率の低下によって、将来、低年金・無年金者が増えるだけでなく、生活保護受給者の増加を招きかねない。



大震災被災3県で約3万人の転出超過

総務省がまとめた今年3~5月の人口移動報告によると、東日本大震災で被災した岩手・宮城・福島の3県からの転出超過数は3万1752人となり、前年同期比で3.4倍にも達することが分かった。転出数から転入数を差し引いたもので、福島県からの転出超過数が3県合計の半数以上を占め、原発事故の影響による転出超過を浮き彫りにしている。転出先は東京都が最多で、神奈川県、埼玉県が続いている。



企業倒産、一転して増加へ

東京商工リサーチが発表した全国企業倒産状況によると、6月の倒産件数は前年同月比1.4%増の1165件となり、2カ月連続で前年を上回ることが明らかになった。震災に加え消費の自粛での倒産が増えた一方で、中小企業金融円滑化法で資金繰り支援を受けてきた企業倒産も目立ってきている。また、帝国データバンクの調べによると、東日本大震災で被災地に本社を置く企業の約4割にあたる2070社が営業不能・不全状態にあることが分かった。



世界の自然災害での損失額、過去最大に

世界最大の再保険会社であるミュンヘン再保険会社は本年1~6月までの上期における世界の自然災害による経済損失額の推計が約2650億ドル(約21兆円)に達し、上期で過去最大を記録したと発表した。全体の損失額の約8割を東日本大震災が占めた。このため、再保険会社が日本の損害保険会社の再保険の料率を来年度に引き上げる可能性が高まった。再保険料の引き上げ分は日本の損害保険会社が火災保険などの保険料に上乗せするとみられる。



来春の高卒求人数、9%減少に

厚生労働省は6月20日~24日までにハローワークへ求人申込みがあった2012年春卒業予定の高卒向け求人数は4万346人で、前年度比9%減少したと発表した。とくに、東日本大震災での被災地である福島県は41%減、宮城県は28%と大きく下回っている。この時期の企業からの求人状況は採用姿勢を伺う指標とされるだけに、同省では「震災や原発事故による電力供給不足もあり新卒採用に企業の慎重姿勢がみられる」としている。また、来春卒業予定の大卒者向け求人でも、「減少した」する大学が全体の44%を占めており、来春も厳しい就職戦線が伺える。



脳死移植は過去最多の55例に

家族の承諾だけで臓器提供が可能な改正臓器移植法施行から1年を経過した時点での脳死移植は過去最多の55例に急増していることが明らかになった。55例のうち家族承諾は約9割となる49例となったが、法改正で可能となった15歳未満の脳死からの臓器提供は1例にとどまった。臓器提供は、心臓停止後に移植できるのが腎臓・膵臓・眼球のみである一方、脳死であれば心臓・肺・肝臓などの多くの臓器が可能となっている。心臓死と脳死を合せた移植件数は今年6月末までの半年間で法改正前の一昨年の約2倍に達している。



津波遡上高、国内最高の40.4mを確認

津波合同調査グループは岩手県宮古市での津波が陸地をはい上がった高さ(遡上高)が国内最高となる40.4mに達していたと発表した。また、岩手県・宮城県にわたる沿岸部の約300kmで高さ20m以上の津波が記録された。さらに、仙台平野では高さ10m以上の津波が内陸部に向け5km以上移動したことも明らかになった。



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