社会・経済のうごき@しんぶん
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2011年04月26日号

3月、貿易黒字額は約8割減に

財務省が発表した3月の貿易統計によると、貿易収支の黒字額は1965億円となり、前年同月比で78.9%もの大幅な縮小となったことが分かった。輸出総額は5兆8660億円(前年同月比2.2%減)で、輸入総額は5兆6695億円(同11.9%増)。東日本大震災による輸出企業の生産停止などにより16カ月ぶりに輸出額が減少に転じる一方で、資源価格の上昇で輸入額は15カ月連続での上昇となった。景気をけん引してきた輸出の減少によって日本経済の減速感が強まっている。ただ、輸出ではアジア向けの貿易黒字額と中国向け輸出額は過去最高を記録した。



消費税を20%にとOECDが提言

経済協力開発機構(OECD)がまとめた「対日審査報告書」によると、日本の公的債務残高が国内総生産(GDP)比200%にも上る財政状況について「極めて厳しい状況」としたうえで、債務残高縮減のために「消費税率を20%相当までの引き上げが求められる」と提言した。また、報告では今後の日本経済について、「東日本大震災による経済低迷は短期にとどまり、7~9月期には復興関連の投資が伸び、生産が急回復する」と分析し、11年の実質経済成長率は0.8%と予測した。



金価格、過去最高値を更新

4月中旬、ニューヨーク金先物価格が1トロイオンス=1500ドルを突破し、過去最高値を更新した。背景には、東日本大震災や中東・北アフリカでの緊迫情勢に加えて、米国債の格付け引き下げ見通しがあり、投資家がリスクを回避する動きを強め、インフレをヘッジするために金市場に余剰マネーが加速して流れ込んでいる構図がある。また他方、余剰マネーは対外債権国である日本の円を買う動きもみられ、高値圏の1ドル=82円台まで上昇している。



中国、特許出願数が日本を抜き2位に

中国国家知識産権局は2010年の特許出願件数は39万件を突破し、米国に次いで世界2位になると発表した。前年比24%もの増加で、日本の35万件を上回っており、技術レベルの向上を裏付けた。中国での出願申請コストは低いのに加えて出願しやすい環境にあり、一概に比較できない側面もある。日本の出願件数は05年まで世界最多を占めていたが、06年から4年連続で減少に転じている。



限界集落の総数が1万を突破

総務省の過疎地に関する調査で、昨年4月時点での「限界集落」は前回調査の2006年度より2213増えて1万91に上ることが分かった。「限界集落」は65歳以上の高齢者が半数以上を占め、共同体機能が低下している集落で、増加に歯止めがかからない実情にある。限界集落のうち3908集落は市町村役場から20キロ以上離れた場所に位置し、行政の目も届きにくく、東日本大震災で生じた大津波のような災害時には避難もままならずに取り残される危険性もある。地域ブロック別の限界集落数は、中国(2672)が最も多く、九州(2094)、四国(1750)が多い。国や自治体での対策が急がれる。



派遣スタッフ、時給平均は1363円

日本人材派遣協会が派遣スタッフ1万人を対象にした調査で、派遣で働く人の時給平均は1363円であることが明らかになった。派遣スタッフの時給分布をみると、「1200~1400円未満」が24.9%で最も多く、次いで「1400~1600円未満」(23.6%)となり、この2つの層で全体の半数近くを占めた。平均時給を従事職種でみると、「事務・販売系」が1377円、「製造・軽作業系」が1035円となっていた。また、賃金の支払い方法をみると、「時給」が78%と大部分を占め、「月給」(19.8%)、「日給」(2.1%)、「年俸制」(0.1%)となっていた。



新入社員55%、10年後は良い社会に

日本能率協会が発表した今春の新入社員の意識調査によると、55.9%の新入社員が「10年後の日本社会は、より良い社会になっている」と答えていることが分かった。「より良い社会になっている」と答えた上司・先輩社員を12.4ポイント上回っており、新入社員の前向きさがみられた。新入社員が「良くなる」と思う理由として、「今後に期待」が1位を占め、「震災からの復興」「日本という国と国民性」が続いた。また、「良くなる」と回答した新入社員の自由記述では「震災をバネにする」「新社会人が良い社会をつくる」といった復興を担う覚悟もみられた。



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