社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2011年03月29日号

震災被害額は15~25兆円と政府が試算

政府は東日本大震災や津波により損壊した道路や港湾、工場、住宅などの直接的な被害額は15~25兆円に上るとの試算を、震災後初めて示した。市町村や省庁が保有している被害地域での道路や住宅などの評価額を評価した直接的な被害を試算したもので、福島第1原発事故や計画停電による経済活動の損失額は含まれていない。東日本という広域に及ぶ被災であるために、阪神大震災時の約10兆円を大幅に上回っている。試算は今後数次に及ぶとみられる補正予算編成や復興計画策定の基礎となる。



今夏の電力不足予測、850万キロワット

東京電力は今夏のピーク電力需要は5500万キロワット、電力供給力は4650万キロワットと見込み、差し引き850万キロワットの電力供給不足が生ずるとの見通しを発表した。ただ、経産省は供給力不足は東電見通しの約2倍の1500万キロワットと想定し、双方には大きな隔たりがある。大震災による福島第1・2原発や鹿島・常陸那珂発電所の被災により供給力は大幅に落ち込み、その後被災した発電所の復旧を急いでも、夏場の需要には供給不足は避けられない。需要を抑えるため、計画停電をはじめ節電呼び掛け、工場の稼働分散化、電力料金の引き上げなどの具体策の検討が始まった。電力需要不足は国民生活のみならず企業活動にも大きな影を落としそうだ。



家計金融資産、現預金は過去最高に

日銀は2010年10~12月期資金循環統計で、家計が保有する金融資産残高は12月末時点で、前年同月比0.1%減少の1489兆2881億円になったと発表した。減少した背景には円高と株安があり、家計の金融資産のうち、債権が前年同月比5.7%減少、投資信託が同5.5%減少した。しかし、家計の金融資産の5割以上を占める現金・預金は同1.3%も増加し、過去最高となっている。家計の潤沢な資金が銀行などの金融機関に回り、金融機関での国債消化を通じて政府の資金調達が支えられているという資金循環の構図に変化はない。



計画停電での休業手当は対象外

厚生労働省は企業の自己都合で従業員を休ませた際に支払いを義務付けている休業手当に関して、計画停電の時間帯は支払わなくてもよいとの見解をまとめ、都道府県労働局に通知した。電力供給が行われないことを理由にした休業は企業の責任ではないとしたうえで、数時間の停電時間だけを休業にすることが経営上不適当な場合には終日休業にしても手当の支払いを行わなくてもよいとした。



2月の求人広告18%増も、先行き減少

全国求人情報協会は2月の求人広告掲載件数は前年同月比18.6%増加の約54万件に達したと発表した。求人広告はアルバイトやパート募集で活用され、昨年末以降回復基調を続けてきたが、東日本大震災と計画停電を背景に、「停電による営業時間短縮で首都圏の小売業などが現有スタッフで対応できるとして募集を見合わせている」実情にあり、今後、求人広告件数は減少に転じるとみられる。震災は、新年度に向けて人材確保を進めてきた小売会社や飲食店の求人と広告業界にも冷や水をかけた格好だ。



働く女性を支える認可外保育所が増加

厚生労働省は昨年3月末時点で、認可外保育所の施設数は前年比116カ所増加の7400カ所となり、同保育所に通う子供の数は17万9676人になったと発表した。認可外保育所は国や自治体の設置基準や参入条件を満たさずに、認可を得ていない保育所。国からの補助金は交付されないが、認可保育所が増えていない現状にあって、働く女性のニーズに認可外保育所が応えている構図となっている。東京都などの一部の自治体では、独自に認可外保育所に補助金を交付するなど、認可外保育所の事業者数が増えるよう対応している。



働く女性の年貯蓄額、10~50万円未満

コクヨの子会社のカウネットの調査によると、働く女性が1年間で貯金できた額は「10万円以上50万円未満」が36.4%と最多で、「10万円未満」(27.8%)が続いた。また、貯金したい希望額(年間)では「100万円以上200万円未満」(34.7%)が最も多く、「50万円以上100万円未満」(33.3%)となった。同社では、景気低迷で望む額まで貯金できる余裕のある人が限られていることや、「今の楽しみを犠牲にしてまで貯蓄したくない」と考える人もいることなどが背景にあるとみている。



トップへ