社会・経済のうごき@しんぶん
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2011年03月01日号

人口、38道府県で減少に

総務省は2010年10月1日時点での日本の総人口は1億2805万人になったと発表した。前回調査の05年時点より0.2%の微増だった。都道府県別にみると、東京や神奈川県などの9都府県では人口増加がみられたものの、38道府県では減少に転じた。都道府県で最も人口減少率が高かったのは、秋田県のマイナス5.2%で、青森県(▲4.4%)、高知県(▲4.0%)が続いた。また、市町村で最も減少したのは奈良県の野迫川村のマイナス29.7%で最も高かった。地方の人口減少が深刻になりつつあり、地方経済だけでなく、医療・福祉、行政サービスなど多岐にわたる地域間格差が広がる懸念がある。



失業1年以上の完全失業者は過去最多

総務省の2010年の労働力調査によると、実業機関が1年以上に上る完全失業者数は前年比26万人増加の121万人に達していることが分かった。同省で比較可能な02年以降で最多となった。完全失業者を年齢階層別にみると、25~34歳が前年比6万人増の32万人になっているほか、55歳以上も同7万人増の30万人となっており、若年層と高齢者層での就業困難状態を浮き彫りにしている。また、雇用者のうち、アルバイトや派遣などの非正規社員が占める割合も前年比0.6ポイント上昇し34.3%を占めるなどしており、依然厳しい雇用環境にある。



6割以上の食品・日用品店頭価格、上昇

日本経済新聞社が食品・日用品60品目の1月時点での価格を調査したところ、37品目が昨年10月時点より上昇していることが明らかになった。一方で14品目は下落しているが、同社の2009年調査開始以来、初めて値上がり品目数が値下がり品目数を上回った。2ケタもの大きな上昇がみられた品目では、「衣料用防虫剤」(12.5%上昇)と「白砂糖」(11.5%)だった。原料高を背景とする世界的な食料高などの影響が今後さらに本格化するものとみられている。



需給ギャップ、5四半期ぶりに拡大へ

内閣府が発表した2010年10~12月期の需給ギャップはマイナス3.8%となり、年率換算で約20兆円の需要不足にあることが分かった。需給ギャップは経済全体でみた実際の需要と潜在的な供給力の差を示すもので、需要不足は企業の雇用や設備が過剰な状態にあり、投資や雇用には消極的姿勢となって表れてくる。需給ギャップのマイナス幅は5四半期ぶりに拡大に転じた。需給ギャップが大きく、依然「不況状態」にあるといえる。



高校の約4割でキャリア教育「できず」

リクルートの調査によると、学校の授業で職業観などを学ぶ「キャリア教育」に4割超の高校で「対応できていない」実態が明らかになった。文部科学省は高校の新学習指導要領で2010年度からキャリア教育推進を義務付けて、地域や産業界と連携してインターンシップなどに組織的に取り組むよう求めている。しかし、全日制高校を対象に調査したところ、自校のキャリア教育が指導要領に対応できているのは全体の61.4%にとどまり、対応できていない高校は37.1%もあった。



成田空港での覚せい剤押収量、最多に

東京税関成田税関支署の発表によると、2010年に成田空港で押収された覚せい剤が1978年開港以来で過去最多の量となる232キログラム(末端価格約209億円相当)に上ることが明らかになった。前年比2.6倍もの増加で、同支署では「国内の薬物乱用が危機的な水準にある」と指摘している。アフリカからの密輸摘発が急増しているが、同支署では「中東から成田への直行便の趣向でアフリカからの乗り継ぎがしやすくなったのが増加の要因」とみている。摘発では高齢者や若い女性が目立っている。



大卒・大学院卒者の賃金、3年連続減少

厚生労働省の賃金構造統計調査によると、2010年の大学・大学院卒の男性(平均41歳)の残業代を除く平均賃金は月額39万5300円であることが分かった。前年を0.4%減少しており、減少は3年連続となった。全体でみれば、0.6%増の29万6200円と5年ぶりに増えている実態にあることから、企業側では高い賃金を要する大学・大学院卒の賃金を抑制する傾向がみられた。プラスに転じるのは時間がかかるとみられている。



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