社会・経済のうごき@しんぶん
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2011年04月12日号

企業の約6割が「震災で需要減」に

帝国データバンクが行った東日本大震災に関する影響調査によると、57.6%の企業が「製品やサービスの需要が減少」と答えていることが分かった。被災地から遠く離れた近畿や九州でも50%を超える企業が「需要減」と答え、全国的に影響が拡大していることも分かった。また、震災復興のために必要な施策について、「電気・ガソリンなどのエネルギーの安定供給」を挙げる企業が最も多い75.8%に達し、今後予定される計画停電に対する企業の生産活動への警戒感が強いことをうかがわせる。



46%の自治体、津波ハザードマップなし

国土交通省によると、今年3月時点で、海に面した地域を持つ全国の市町村のうち46.4%の自治体が、同省が2004年から整備を促してきた津波ハザードマップを作製していないことが分かった。津波ハザードマップは、過去の津波被害を基に、各自治体が浸水が想定される規模や範囲、避難経路と避難場所をまとめた地図で、市民の防災対策の目安として有効に機能している。



地震保険支払、過去最大の50万件に

東日本大震災に伴う被災した個人向け地震保険の支払件数は、阪神大震災時の6万5千件をはるかに上回り、過去最大の約50万件に達する見通しが明らかになった。支払金額も損害保険会社の業界全体で1兆円規模になるとみられる。業界では早期支払いに応じるため現地調査要員を増員するなどの態勢を整える一方で、日本損害保険協会が航空写真を使い津波被害が激しい地域を「全損」扱いにするなどの申し合わせをする「査定の統一」も図っている。また、保険証券を失くしても免許証による本人確認ができれば支払を行う統一ルールも今回初めて導入した。



2年連続で外国人の日本株買い越し

東京証券取引所によると、外国人投資家(海外投資家)の日本株買いが売りを上回る、いわゆる日本株買い越しが09年度以降2年連続で続いていることが明らかになった。2010年度は約4兆円近い買い越しとなり、09年度以降の2年間で約10兆円に達する。とくに、3月以降は東日本大震災の株価急落で割安感が広がり、買越額は急増している。外国人投資家の買越額増加は、外国人の動向で株価の値動きが左右されかねない、不安定さも今後は危惧される。



震災災害廃棄物、阪神大震災の1.7倍に

環境省が東日本大震災で被害を受けた宮城・岩手・福島の3県での災害廃棄物は約2490万トンに達するとの推計値を発表した。同省が衛星画像と地図で災害廃棄物の量を推定したもので、その量は阪神大震災の約1.7倍にも達する。ただ、推計値には倒壊した家屋やビルなどの量だけで、自動車や船舶、ヘドロなどは含まれていないため、実際の廃棄物量はこれをさらに上回ることは確実であり、処理費用も阪神大震災時の3400億円をはるかに超えることは必至である。



大学生の7割が震災による就活不安抱く

新卒採用支援会社のレジェンダ・コーポレーションの調査によると、東日本大震災により2012年3月卒業予定の大学生の67%が「就職活動に不安」を抱いていることが分かった。不安の理由として「採用数の減少や採用中止」「選考スケジュールの延期・中止」などが数多く挙げられた。事実、86%の大学生が「説明会や選考の中止・延期があり、支障があった」としている。不安を抱く大学生を地域別にみると、東北が80%で最も高く、九州や中部では60%となっている。同社では「就活の長期化を考える学生が増えており、企業は採用日程を明確にするなどの配慮が必要」と指摘している。



街角景気、景況感の落ち込み最大に

内閣府が発表した3月の景気ウォッチャー調査(街角調査)によると、足元の景況感を示す現状判断指数は前月比20.7ポイント低下し、景況感の落ち込みは過去最大を記録した。とくに、東北は同32.1ポイントと急激な低下となったほか、計画停電が実施された関東でも同24.2ポイント低下した。東日本大震災や福島原発事故で、企業や個人の景況感が急激に冷え込んでいることを浮き彫りにした。しかし一方では、建設資材や建設重機などへの復興需要も見られるとともに、家電量販店では関東以北で冷蔵庫や洗濯機といった白物家電が売れ始めるなど、夏以降、回復基調となる動きもみられる。



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