社会・経済のうごき@しんぶん
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2011年01月18日号

家計貯蓄と借金、初めて減少に

総務省の全国消費実態調査によると、2009年の1世帯当たりの貯蓄額は前回調査の04年より2.2%の減少の1521万円となり、負債額も前回より7.0%減少の543万円となったことが分かった。家計貯蓄と負債額のいずれもが調査開始の1969年以来初めて減少に転じた。同省では、厳しい雇用と所得環境で貯蓄が目減りする一方で、住宅などの高額消費を手控えているため、双方が減少に転じたとみている。貯蓄額の減少は全ての年齢層で減っているが、とくに30歳未満の10.8%減、70歳以上の8.7%減が突出している。第一生命研究所では「家計にお金が回るような状況にならなければ、デフレからの早期脱却も難しくなる」として、今後の経済成長の制約要因になりかねないと指摘している。



金保有、新興国での急増が際立つ

金の国際調査機関であるワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)がまとめた2010年時点での各国中央銀行の金保有量によると、これまで上位10位以内に入っていなかった中国やロシア、インドといった新興国が10位以内入りを果たし、新興国の金保有量の急増ぶりが目立った。1位・米国(約8133トン)、2位・ドイツ(約3401トン)は2000年時点と変わらないものの、中国が13位から5位に、ロシアが13位から7位に、そしてインドが15位から10位に入るなどしている。新興国の中央銀行が金保有量を急増させている背景には、これまでのドルに偏った外貨準備を金などに分散保有する傾向がある。このため、世界的な金相場を押し上げる要因となっている。日本は8位(約765トン)だった。



起業時の平均年齢は42.6歳

日本政策金融公庫がまとめた開業1年以内の企業を対象とした調査によると、2010年開業時の平均年齢は42.6歳で、3年連続して平均年齢が上昇していることが分かった。こうしたシニアの起業に当たっては、自分の専門分野の技術の活用、過去の取引先や在籍時の同僚などの人脈、さらに資金面でも退職金を活用できるなど、どれをとってもノウハウも資金も不足がちな若手起業家より恵まれていることが背景にあるとみられる。また、開業者に占める60歳以上の割合も過去最高の7.7%に上った。



学生の8割超が「学業より就活を優先」

新卒採用支援を行っているレジェンダ・コーポレーションが2012年3月に大学を卒業する就職希望者を対象の意識調査によると、今後の学生生活で就職活動と学業の両立について選択してもらったところ、「就活に専念」(27.9%)、「就活を優先」(55.5%)と、83.4%の就職予定大学生が「学業より就活を優先」する実態が明らかになった。大卒者の就職内定率が過去最低となるなどして、新卒者の就職環境が厳しいことを浮き彫りにした。同社では、「大学で学びの機会が損なわれている」と指摘している。



自殺者、前年比減も依然高水準に

警察庁のまとめによると、2010年の全国の自殺者数は3万1560人に達し、不況が深刻化した1998年から13年連続で3万人を超える高止まり状態が続いていることが分かった。前年比で3.9%(1285人)減少している。男女別にみると、男性が2万2178人、女性が9382人。都道府県別でみると、11府県で増加し、滋賀と香川は9%以上の増加を記録した。一方、前年より大幅に減少したのは三重(24.6%減)や青森(17.3%減)、秋田(16.0%減)となっている。自殺を月別にみると、3月が最多の2947人で、最少は12月の2418人だった。



出産育児一時金増額も、費用追いつかず

厚生労働省の調べによると、出産した女性が受給できる出産一時金は政府が2006年以降段階的に増額し、現在は原則42万円になっているものの、出産費用も上がっているため、負担が軽くなっていない実態が明らかになった。10年8月時点での平均出産費用は47万3626円となっており、出産女性の支援策として税金や保険料が投入して引き上げられたにも関わらず、奏功していない実態を浮き彫りにしている。



銀行預金、融資より国債に向かう

全国銀行協会によると、2010年末の預金残高は前年比1.5%増の564兆円に達する一方で、貸出残高は2.1%減の416兆円となり、その差額は過去最大の150兆円にも達した。預金が貸し出しに回ったかを示す「預貸率」も過去最低の73%にまで低下した。銀行が保有する国債保有残高は142兆円に上っていることから、融資に回らない資金を国債に振り向けている実態にある。



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