社会・経済のうごき@しんぶん
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2010年11月02日号

日銀の物価見通し、12年度も0%台に

日銀は「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で、2012年度の消費者物価上昇率は「0%台半ば」にとどまるとの見通しを明らかにした。先に日銀は「物価上昇が1%程度」水準の状態が見通せるまで政策金利を「0~0.1%」とするゼロ金利政策を明言しており、今後2年間はゼロ金利政策を継続する可能性が強くなってきた。日銀の展望レポートで予測する消費者物価指数は、10年度がマイナス0%台半ば、11年度が0%前後、そして12年度が0%半ばとしている。ゼロ金利は長期化する様相だ。



医療費の将来推計を減額修正へ

厚生労働省が高齢者医療制度改革に伴う財政試算で、2025年度時点での国民が1年間に使う医療費の総額である「国民医療費」見通しを従来推計の56兆円から52兆3千億円に減額修正した。これまで同省の25年度国民医療費の推計については、「制度を改めないと医療費が膨らむと強調したい政府が過大試算している」との指摘がされていた。過去5年間の実績を基に医療費は年3%台で伸びるとしてきたが、今回の試算では、今後の人口減少など25年度までの伸び率は年2.2%にとどまるとしている。今回の財政試算で保険料など国民の将来負担も少なくなったとみられる。



タクシー市場規模、ピーク時の6割に

国土交通省の調べによると、2009年度のタクシー市場規模(法人・個人の合計)は1兆7749億円となり、ピークだった1991年度の6割強の規模にまで落ち込んでいることが明らかになった。大きく市場が縮小したことについて、東京乗用旅客自動車協会では「節約志向を強める個人の利用が減少したのに加え、企業や自治体もコスト削減からチケット利用を大幅に減らした」とみている。事実、東京地区で91年度の1日1台当たりの売上高は5万6825円だったが、09年度は4万1148円に落ち込んでいる。利用者激減に追い打ちをかけるように、タクシーの供給過剰で料金競争も激化し、タクシー会社の収益構造は弱体化が進んでいる。



65歳以上まで働ける企業は46%どまり

厚生労働省の雇用状況調査によると、今年6月1日時点における「希望者全員が65歳以上まで働ける企業」の割合は46.2%にとどまり、今年度末までに50%とする目標に届いていないことが判明した。この調査は、31人以上の企業を対象に、「定年廃止」「継続雇用」などによる高齢者の雇用状況を調べたもの。同省では、目標にまで到達していない点に関して、「景気低迷が響き、高齢者雇用の取り組みが遅れている」とみている。



セメント販売量、43年ぶり2千万トン割れ

セメント協会は2010年上期(4~9月)のセメント国内販売量は1954万トンとなり、43年ぶりに2千万トンを割り込んだと発表した。1990年のピーク時と比べ半分以下にまで落ち込む低水準となっている。公共事業の縮小と企業の設備投資の回復が遅れていることが影響している。同協会では、「下期に老朽化した高速道路の更新需要や民間の設備投資が回復することを期待している」と、需要低迷からの脱却を切望している。



依然、私大の約4割が赤字経営

日本私立学校振興・共済事業団の調査によると、全国の4年生私立大の39%にあたる226校が09年度決算で赤字経営に陥っていることが分かった。教員人件費や研究経費などの支出総額は前年度より減少しているものの、収入総額が支出総額を上回って激減している実態があり、赤字構造となっている。規模別にみると、学生数が1千人未満の大学の65.2%が赤字で、1万人以上は7.1%にとどまっており、小規模校ほど赤字傾向にある。また地区別では、京都府と大阪府を除く近畿地区の赤字校割合が54.3%と最も高くなっている。同事業団では、「少子化のため学生納付金の伸びが見込めず、先行きが厳しいことには変わりはない」とみている。



障害者雇用率、過去最高の1.68%に

厚生労働省のまとめによると、全国の民間企業で働く障害者の全労働者数に占める割合は、6月1日時点で1.68%となり、過去最高となったことが分かった。障害者雇用促進法で56人以上の民間企業に法定雇用率(1.8%)が義務付けられており、全体の47%の企業が達成した。同省では、「コンプライアンス意識の高まり、ここ10年は大企業が障害者雇用をけん引した」とみている。



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