社会・経済のうごき@しんぶん
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2010年09月14日号

社会保障費増・税収減が国債増加の要因

財務省は、バブル崩壊後の1991年度以降の、いわゆる「失われた20年」で、国の社会保障費は累計で148兆円増加した一方で、税収は同211兆円減少したため、国債発行残高は増加したとする分析結果を公表した。20年間の歳出でみると、公共事業費(累計62兆円増)と社会保障費が突出して伸びたのが際立っている。歳入は景気低迷による税収減に加えて、相次いだ減税が響いている。このため国債発行残高は471兆円増加し、旧国鉄債務の継承などの増加分(約53兆円)を差し引くと実質的には361兆円となる。このうち、歳出をカバーする分が192兆円、歳入不足をカバーする分が169兆円となっている。



負債100億円超倒産、20年ぶりにゼロ

東京商工リサーチが発表した8月の全国倒産企業状況で、負債額100億円を超える大型倒産が1990年9月以来、20年ぶりに件数がゼロであることが判明した。全体での負債総額も前年同月比で33.5%減少の1889億円となり、19年10か月ぶりに2000億円を割り込んでいる。負債額100億円を超える大型倒産や負債総額が大幅に減少した背景には、中小企業金融円滑化法などの政府支援策が奏功したものとみられるが、急激な円高進行で景気悪化が懸念される。また同社では、「倒産件数は減少しても、小規模企業を中心に業績不振に直面しているところが増えている」とみている。



教育への公的支出、日本は最低

経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本の教育機関への公的支出が国内総生産(GDP)に占める割合は3.3%となり、主要28か国中で最下位にあることが分かった。OECDでの平均は4.8%。最も公的支出の高かったアイスランド(7.0%)はじめ北欧諸国や欧州が高くなっている。また、教育費の私費負担割合をみると、日本は33.3%とOECD平均の17.4%の2倍ほどになっており、公的支出の不足を私費で埋め合わせている実態も浮き彫りになった。



職場健診でストレス検査を義務付け

厚生労働省の「職場でのメンタルヘルス対策に関する検討会」がまとめた報告書によると、職場の定期健康診断に併せてストレス検査も行うことを企業に義務付ける考えが明らかになった。ストレス検査は、問診で「眠れない」「食欲がない」「ゆううつ」「イライラする」などのうつ病やストレイ障害についての自覚症状を調べ、医師が必要だと判断すれば、産業医が配置転換や勤務時間短縮などの対応を本人の同意を得て、事業者に意見を伝える仕組みとなる。



救急搬送時間、過去最悪を更新

総務省消防庁のまとめによると、救急車が通報を受けてから医療機関に収容されるまでの救急搬送時間の2009年の全国平均は36.1分となり、記録が残る1984年以降で過去最悪を更新したことが明らかになった。遅れの原因について、同庁は「出動件数の増加で次の現場に行くのに時間を要したり、他の管轄の救急隊に駆けつけてもらうケースが増えたことが影響している」と分析している。昨年の出動は約512万件で、6.2秒の1回の頻度で救急車が出動している計算となる。搬送車の50.8%が軽症などで入院は不要だった。



猛暑に関わらず、ビール出荷は減少

ビール大手5社が発表した8月のビール系飲料の課税済み出荷量は4260万ケース(1ケース大瓶20本)で、前年同月比0.3%減少した。猛暑となったものの、前年同月比12%増と売り上げを伸ばしたミネラルウォーターなどの清涼飲料に消費が流れるとともに、高齢化や若者のアルコール離れが影響したものとみられる。また、前年の40倍もの売り上げ拡大を見せたハイボール缶がビール系飲料の需要を削いだのも響いたものとみられる。



健保組合、過去最大の赤字に

健康保険組合連合会によると、2009年度決算が5235億円の赤字となり、赤字幅が過去最大となったことが判明した。健保組合は、主に大企業の会社員と家族が加入するが、全組合の8割にあたる1184組合が赤字に陥った。加入者数が約20万人減少したのに加え、景気低迷で給与・ボーナスが減少したことが影響している。また、高齢者医療を支えるために健保組合が拠出した支援金が増加し、現役世代が負担する保険料の46%が高齢者医療に回っている実態で、健保財政は厳しさを増している。



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