社会・経済のうごき@しんぶん
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2010年09月28日号

採算確保の為替レートは1ドル=93円

日本貿易振興機構(ジェトロ)行った「円高緊急アンケート調査」によると、損益分岐点となる為替レートは1ドル=93.4円、1ユーロ=121.15円だった。会員企業3595社を対象にした調査で、4分の3の企業が円高によって業績が悪化するとみていることも分かった。企業の円高対策としては、輸出先変更やサプライチェーンの再構築、国内事業の縮小などが挙げられたが、大企業では「海外事業の拡大」を挙げており、一段の円高が進めば、日本の産業空洞化が危惧される。また、中小企業では需要減少やコスト上昇の悪影響に加えて、「取引先からの値下げ圧力が強まった」との深刻な回答も寄せられている。



銀行の国債保有残高は過去最高に

日銀の統計によると、7月末時点での国内銀行が保有する国債残高は過去最高となる141兆1039億円に達することが分かった。前年同月末比で24%もの増加となる。また、日本証券業協会の統計によると、国内銀行の1~6月末期の国債買越額(買いから売りを差し引いた持ち高)は14兆5075億円となり、半期ベースでは過去最高となった。先行き不安を抱える企業や個人への貸し出しが伸びないため、余剰資金を抱える銀行が国債で運用している実態が浮き彫りとなった。銀行の大量の国債保有は長期金利の上昇を抑制する効果がある半面、財政不安によって長期金利が上昇すれば債券価格は低下して、含み損を抱える危惧もある。



生活保護受給は190万人を突破

厚生労働省のまとめによると、今年6月時点での生活保護受給者数は全国で190万7166人に上ることが明らかになった。景気低迷の影響で受給者の増加に歯止めがかからない状態で、95年度を底に右肩上がりを続けており、前年同月比でも20万人も増加している。1955年度(月平均約193万人)の水準にある。受給世帯数は約138万世帯となり、世帯の内訳をみると、高齢者世帯(約59万世帯)が最も多く、傷病世帯(約30万世帯)、障害者世帯(約15万世帯)、母子世帯(約11万世帯)の順となっている。



値上げで「禁煙に挑戦」、53%

製薬会社ファイザーがインターネットで行った調査によると、10月からのたばこ値上げを契機として喫煙者の53%が「禁煙に挑戦する」と答えていることが分かった。過去最大の増税による値上げとなるだけに、2年前の調査での「禁煙挑戦」は43.1%から10ポイントも高まっている。禁煙の挑戦方法でみると、「自分の意志のみ」が約6割を占めて最も多く、「薬局で買える禁煙補助剤」や「禁煙グッズ」はそれぞれ1割前後にとどまっている。成功への自信を尋ねると、「ある」との回答は52.5%と半数だった。



国保保険料、負担上限を引き上げへ

厚生労働省は、自営業者などが加入し市町村ごとに運営する国民健康保険の保険料について、来年度から高所得者層の負担上限(介護保険料を含む)を現行の年73万円から年77万円へ引き上げる方針を固め、次の通常国会へ法案を提出する。今回の上限見直しによる数百億円の保険料増収財源をもとに、中所得者層の保険料を引き下げるよう市町村を指導する考えだ。中小企業の社員が加入する「協会けんぽ」の都道府県単位で定める保険料の上限が平均108万円となっており、今回の国保保険料改正で負担格差を是正する狙いもある。



薄型テレビ、2台目需要で出荷増

電子情報技術産業協会(JEITA)は8月の薄型テレビ国内出荷台数は前年同月比66.7%増加の171万台に達したと発表した。画面サイズ別にみると、29型以下が同83.6%増、30~36型が82.3%増、37型以上が37.6%となっている。大画面テレビの買い替えが一巡し、寝室や子供部屋に置くといった、画面サイズの小さい「2台目需要」が出荷増を支えたとみられる。



肥満対策で日本での死者は年15万人減

経済協力開発機構(OECD)と世界保健機構(WHO)の共同調査でまとめた「肥満と予防の経済学」によると、学校で規則正しい食生活を指導したり、医師がカウンセリングするといった総合的な肥満対策を講じれば、日本では慢性疾患による死者を年間で15万5千人減らせると分析した。執筆したフランコ・サッシ氏は「日本は高齢化率が高く、慢性疾患を抱える人の割合も多いため、肥満対策の効果が大きくなる」と分析している。



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