社会・経済のうごき@しんぶん
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2010年06月08日号

原油供給が途絶えるリスク高い日本

政府がまとめる「2010年版エネルギー白書」で、日本は原油などの必要エネルギーの輸入先が限られており、とくに原油は供給が途絶えるリスクが高いと警告を発していることが分かった。自前の油田を持たず、海外資源の権益獲得を進展させている中国と比べて調達が脆弱であり、不足の事態への備えを強化すべきだと提言している。また、白書では、日本はエネルギーの質こそは高いものの、量の確保には不安があるとの見解を示している。経済産業省では、今後海外での資源の自主開発を強化する方針である。



依然として年25兆円ものの需要不足に

内閣府は経済全体でみた実際の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」試算によると、2010年1~3月期はマイナス4.8%となり、年換算で約25兆円の需要不足に陥っている実態が明らかになった。前年同期のマイナス8.1%(約40兆円の需要不足)からは改善してきてはいるものの、依然として、需要不足にあり、物価を押し下げる圧力となっている。需要不足を企業サイドからみれば、雇用や設備の過剰感があり、採用や設備投資には消極的となり、景気には悪影響を及ぼす。



出生率の上昇が4年ぶりに止まる

厚生労働省が発表した2009年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は08年度と同じ1.37になったことが分かった。景気低迷により、結婚や出産を見送る女性が影響したとみられる。出生数は09年11月までの集計値で約97万人となり、年間100万人を超えることは確実視されるものの、08年実績からは約2%減る見通しである。出生率にブレーキが掛かったことで、今後、出生率を上げるための政策や子育て環境の整備が急務といえる。



労働時間、15ヵ月ぶりに増加に転じる

厚生労働省は全産業の正社員の「総労働時間」(実際に働いた時間)が今年1月で155.9時間となり、15ヵ月ぶりに前年比で増加に転じたと発表した。今年3月まで3ヵ月連続で前年を上回っている。業種で見ると、飲食店・宿泊業が2009年平均で、月180.8時間と全産業を約17時間も上回った。長時間労働を減らすことが少子化対策に有効とされており、今後、企業でのワークライフバランス対策(仕事と私生活の調和)が重要となってくる。



使用済み家電回収は45%もの増加に

環境省と経済産業省は、家電リサイクル法に基づく2009年度の使用済み家電製品4品目(テレビ・エアコン・洗濯機・冷蔵庫)の回収台数は過去最高の1879万台となり、前年度比45.8%もの大幅増加を記録したと発表した。09年5月から始まったエコポイント制度で、消費電力の低いテレビに買い換える需要が大きかったことが反映された。また、使用済み家電で部品がどれだけリサイクルされたかを示す再商品化率では、エアコンが88%と最も高く、液晶・プラズマテレビは74%で最も低かった。



既婚女性の専業主婦志向が強まる

国立社会保障・人口問題研究所が行った「全国家庭動向調査」によると、「夫は外で働き、妻は主婦業に専念」という考え方に賛成する既婚女性は45.0%となり、これまで15年間低下傾向を示してきたものから一転して「専業主婦志向」へと上昇していることが分かった。同研究所では「伝統的な家族観に回帰する兆しがみられる」と分析している。また、妻の平均家事時間は30代までが約5時間で、40代が4時間30分ほどとなっている。



中小企業向け貸出し残高、最低水準に

日銀によると、中小企業向け貸し出し残高は178兆円余りとなり、調査開始の1993年以来で最低水準にあることが分かった。不良債権化を危惧する銀行側が貸し出しに慎重姿勢になっているのに加えて、設備投資などへの資金需要が企業サイドで乏しいことが反映されている。



梅干にインフルエンザ抑制効果が

和歌山県立医大は、梅干にH1N1型インフルエンザの増殖を抑制する物質があることを発表した。抑制物質はポリフェノールの一種で、世界で初めて見つかった物質とされ、エポキシリオニレシノールと命名された。H1N1型インフルエンザのウィルスを感染させた細胞にエポキシリオニレシノールを加えたところ、約7時間後にウィルス増殖を約90%抑えられた。同大では、「1日に5粒の梅干を食べることでウィルスは抑制できる」としている。



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