社会・経済のうごき@しんぶん
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2010年03月09日号

経常益、3期連続で2ケタの増益に

財務省は2009年10-12月期の法人企業統計で、経常利益が前期比(7-9月期)35.2%増と3期連続で2ケタの増益になったと発表した。多くの業種で赤字に転落した08年度後半以降、一転して直近3期連続で黒字が拡大している。しかし、売上高でみると、前期比2.9%と微増にとどまっており、増益の要因は大幅なコスト削減が寄与している実態がある。前年比でみると、従業員数は1.7%減、給与は0.4%減、賞与は11.4%減となっているのをはじめ、他のコスト減らしもあり、売上原価は前年比5.9%も減少している。また、設備投資は11四半期連続でマイナスとなっており、投資に対する企業の慎重な姿勢を浮き彫りにしている。



10年度予算での公共事業費、約2割減

衆議院で可決された2010年度予算案での公共事業費は約5兆7700億円となり、前年度当初予算比18.3%もの大幅な減少となった。減少幅は過去最大で、6兆円を下回るのは32年ぶりとなる。道路関係は新規を認めない方針を掲げるなどして25.1%の削減、農道整備事業は廃止されるなどした。これに対して政権与党である民主党内からも「地域の産業政策と一体化している公共事業がある」と予算削減を批判するとともに、国土交通省内からも「地方の景気は間違いなく冷え込む」との声も上がっている。



新規住宅ローン貸出し、8年ぶりの低水準

日銀によると、2009年の住宅ローン新規貸出額は前年を3%下回る14兆4974億円となったことが分かった。02-06年までの住宅ローン貸出額は15兆円を上回る水準で推移してきた。しかし、07年に耐震偽装問題を受けた建築基準法改正の影響で前年を10%割り込む14兆8454億円に落ち込む事態に陥ったが、09年はこれすらも下回るものとなった。住宅ローンの冷え込みは、個人所得の減少による住宅購入意欲が減退したのに加えて、ローン返済遅滞の増加で金融機関が新規貸出しに慎重な姿勢になったためとみられる。



法テラスでの電話相談、100万件を突破

日本司法支援センター(法テラス)は、2006年10月スタートした法的トラブル解決のための情報提供を行うコールセンターの利用累計件数が100万件を突破したと発表した。同コールセンターは、電話や電子メールで法的トラブルの相談を受けて、弁護士会をはじめとする専門機関を紹介したり、解決のための情報提供を行っている。スタート時点では知名度不足もあり、低調な利用状況となっていたが、「存在が知られてきたことに加えて、不況の影響で解雇や賃金トラブルなどの相談が増えてきた」(同情報提供課)。相談の内訳では、借金に関する相談がもっとも多く、夫婦間の相談、解雇・賃金トラブルなどの労働問題が続いている。



不慮の事故死で、「窒息」がトップに

厚生労働省の人口動態統計特殊報告によると、2008年の日本人の死因の第5位となっている「不慮の事故」のうち、食べ物を喉に詰まらせる「窒息」がこれまで最も多かった「交通事故」を上回りトップになったことが分かった。交通事故が道交法改正などの厳罰化により激減したことが背景にある。「不慮の事故」では、「窒息」「交通事故」に次いで、「転倒・転落」、「水死」が続いた。



中国、上位と下位層との所得格差は23倍

中国の全国人民代表大会で、収入の上位10%の階層と下位10%の階層での所得格差は1988年の7.3倍から2007年には23倍に拡大したとの活動報告が行われた。貧富格差の拡大へ危機感を募らせた中国政府は、農民などの低所得層への財政支出拡大や社会保障制度の整備を重点施策として打ち出した。



依然、30兆円もの需要不足に

内閣府は2009年10-12月期の「需給ギャップ」はマイナス6.1%となり、金額換算(年ベース)で30兆円の需要不足に陥っていると発表した。国内総生産(GDP)がプラスに転じ、前期比約6兆円の需給ギャップは圧縮したものの、需要不足の水準は依然高い水準にあり、物価下落圧力となって、デフレ克服には多くの時間を要するものとみられる。また、需給ギャップは労働力と設備の過剰感を生み、リストラや設備投資の意欲減退を招き、一段の負のスパライルを招きかねない。



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