社会・経済のうごき@しんぶん
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2010年01月26日号

日本の借金、先進国で最悪に

経済協力開発機構(OECD)がまとめた2009年12月時点での国内総生産(GDP)に対する純債務比率予測によると、国と地方、社会保障基金を合わせた一般政府ベースの純債務のGDP比率は2010年に104.6%に達し、初めて100%超えの深刻な事態に陥ることが分かった。これまで最悪だったとされるイタリアを上回り、日本の財政悪化が世界で突出することになる。純債務は政府の総債務残高から保有する年金積立金などの金融資産を差し引いた金額で、今後、国民が無年金になったとしても債務だけは利払い費が膨らみ、雪ダルマ式に残っていく計算になる。



3割強の国民が1年後「物価下落」を予測

内閣府は2009年12月の消費動向調査で、31.9%の消費者が「1年後の物価が下がる」と予測していることが分かった。「下がる」と予測した人の割合は04年以降で最高となり、初めて物価が「下がる」を「上がる」を上回った。デフレ認識が広まったものとみられる。駒澤大学の飯田准教授は「将来にわたって物価下落が続くという見通しは買い控えを招き、消費低迷につながる」と指摘している。消費不況は内需からの景気回復に大きな圧力を掛け、経済活動全般にわたって停滞させる可能性がある。



定額給付金での消費支出増は6300億円

内閣府が行った「定額給付金に関するアンケート調査」によると、定額給付金によって増えた消費支出は前政権が見込んだ8千億円を大きく下回る6300億円で、名目国内生産(GDP)に占める割合は0.13%だったことが分かった。約2兆円もの財政支出に見合った経済効果が得られたかについては否定的な声が多い。支給された定額給付金のうち、64.5%が消費に、35.5%が貯蓄や税、社会保険料の支払などに回った。消費に回ったとされる給付金の使い道は、テレビや旅行などの教養・娯楽が37.6%と最多で、外食を含む食料が11.7%、家具・家事用品が10%だった。



外国人研修生の受け入れ減少が続く

外国人研修・技能実習制度を利用した研修生の受け入れを支援している国際研修協力機構(JITCO)によると、昨年1~11月に企業が同機構を通じて受け入れ申請をした新規の研修生は前年同期比27.5%減の約4万8千人にとどまり、減少傾向に歯止めがかかっていないことが分かった。とくに、全体の約8割を占める中国からの研修生も26.5%減少している。「主要受け入れ先となっている中小製造業の業績不振が長引き、安い労働力である研修生の受け入れができないほど経営は疲弊している」と専門家はみている。



約4割が「耐震補強工事はしない」

内閣府が行った「防災に関する特別世論調査」によると、39.8%の人が自分の住む住宅の耐震補強工事を「実施するつもりがない」と答えていることが分かった。「実施するつもりがない」「予定はない」とする人の理由は「お金がかかる」が50.6%で最も多く、経済的理由から耐震工事をなかなか行えないものと推察できる。内閣府は「耐震補強のための助成金制度の拡充を含めて自治体や関係省庁と連携する」と話している。



個人向け国債の販売は過去最低に

 2009年度の個人向け国債の販売額は1兆3597億円となり、本格的に個人向け販売を開始した03年度以来、最低となった。前年度比4割もの大きな落ち込みとなり、ピークだった06年度の5分の1程度となっている。長期金利の低迷で利率低下が影響し、乏しい魅力から国債離れが背景にある。財務省では、有識者会議で提言された「より償還期限の短い商品の投入」を受けて今夏に3年物個人向け国債販売を計画しているが、市場関係者は金利低迷で販売額は低調になるとみている。



国有財産の売却、ピーク時の4分の1に

 2009年度の国有地などの国が持っている国有財産の売却額が1000億円前後になる見通しで、ピークだった03-04年度の4分の1にまで落ち込む実態にあることが判明した。08年度が1200億円となっており、国有財産の売却は不振が続き、税外収入の期待も縮んできている。不動産市況の悪化や不動産業者や金融機関などの購入者の余力が落ち込んできているものとみられる。



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