社会・経済のうごき@しんぶん
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2010年02月16日号

戦後初めて労働人口が6割を下回る

総務省が発表した2009年労働力人口は前年比0.5%減少の6617万人となり、比較可能となる統計がある1953年以降で初めて60%を下回る59.9%となった。労働力人口は15歳以上の人口のうち、企業で働く人や自営業者などの就業者に加えて、働く意欲があるものの求職している完全失業者の合計数となる。高齢化による現役引退者が増加するのに加え、景気低迷による厳しい雇用環境の中で就職活動をしない人が増えていることが労働人口減少の背景にある。労働人口の減少は日本経済の潜在成長力の低下を招く要因ともなり、若年層や女性層のなどを含めた積極的な雇用政策が急務だ。



税・社会保障の国民負担率は39%に

財務省は2010年度の国民負担率は2年ぶりに上昇に転じ、39.0%となるとの見通しを発表した。国民負担率は税金と社会保険料などの社会保障費の負担を合計し、それらが国民所得に占める割合を算出したもの。租税負担率は地方税収の落ち込みを反映して前年度比0.3ポイント低下の21.5%となるものの、社会保障負担率は0.5ポイント上昇の17.5%だった。ただ、将来、国民が負担しなければならない財政赤字を加えた「潜在的国民負担率」は52.3%に膨らみ、過去最高だった09年度の54.0%に次ぐものになる見通しだ。



死刑制度「容認」が最高の85.6%に

内閣府が行った「基本的法制度に関する世論調査」で、死刑制度について「場合によっては死刑もやむをえない」とする回答が過去最高の85.6%に達する一方、「どんな場合でも死刑は廃止すべき」が過去最低の5.7%になったことが分かった。死刑容認の理由として、「被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」が54.1%(複数回答)と最多で、「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」(53.2%)、「凶悪な犯罪が増える」(51.5%)が続いた。また、死刑に相当する重大犯罪の公訴時効が現行25年になっている点については、「短すぎる」「どちらかといえば短すぎる」を合わせると54.9%で半数以上を占めた。



有料老人ホーム数、過去最多に

厚生労働省のまとめによると、全国の有料老人ホーム数は08年10月時点で3400施設となり、過去最多を更新したことが判明した。5年前の03年時点での施設数は694施設で、約5倍もの急増となっている。施設数の増加に比例して、入所者数も過去最多を更新し14万人を突破した。こうした急増ぶりは、06年に老人福祉法が改正され、定員数に関わらず都道府県に届出が義務付けされたことや、大都市圏での老人ホーム入所需要が増加していることが挙げられる。こうした老人ホームの急増に伴って、保証金返還などのトラブルも増加し、全国の消費生活センターに寄せられる苦情や相談件数も増えている。



失業率、2010年中も5%台で推移

内閣府の外郭団体である経済企画協会は、民間エコノミストに経済予測を聞く2月の「ESPフォーキャスト調査」で、失業率は2010年中も5%台で推移する見通しになると発表した。10年中の予測推移平均値は、1-3月期が5.25%となり、その後高止まりが続き、10-12月期も5.20%となる。企業での採用意欲が弱く、雇用情勢は依然厳しい状態が続くと見られる。



「親の仕送りがゼロ」は1割を超える

全国大学生協連の学生生活実態調査によると、「親元からの仕送り額がゼロ」と答えた下宿生が10.2%に達し、1970年以来初めて10%を超えたことが分かった。前年の8.3%から1.9ポイント上昇した。長引く不況で親元の所得減少が学生生活をより厳しく直撃している実態を浮き彫りにした恰好だ。



女性メタボ基準、腹囲80cm以上に

厚生労働省研究班はメタボリック症候群の「診断基準」で、現在の女性の腹囲(ウェストサイズ)90㎝以上を80㎝以上にと厳しくすれば、より脳卒中や心疾患を予防できるとの研究結果を発表した。2005年に日本肥満学会が腹囲の診断基準を「男性85㎝以上・女性90㎝以上」とし、特定健診(メタボ健診)基準にも採用されたが、女性の腹囲基準は緩いとの指摘がされてきた。研究班は、腹囲と血圧・血糖値、血中の脂質との関係を調べた結果、女性の腹囲80㎝前後を上回ると、脂質異常・高血圧・高血糖などになる可能性が3倍に高まり、脳卒中や心筋梗塞が起きるリスクが大幅に上昇することが分かった。



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