社会・経済のうごき@しんぶん
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2009年10月20日号

米財政赤字が前年度の3.1倍に

米政府は、2009会計年度(08年10月~09年9月)の財政赤字が戦後最悪となる1兆4171億ドル(約130兆円)になると発表した。前年度比3.1倍にも膨れ上がっている。この財政赤字は、財務長官が「向こう5年間、国内総生産(GNP)比4―10%前後で赤字幅が推移する」と指摘するように、財政赤字からの脱却には相当の年数を要するとみられる。このため、ドルに対する国際的な信認が薄らぐとともに、米国債を中心とする外貨準備高世界一となった中国の発言力が増し、世界経済や国際政治にも今後大きな影を落とすことは必至である。



今年、米金融機関99社が経営破綻

今年の米国金融機関の経営破綻が10月中旬までに99社が破綻した。破綻は不動産や建設向け融資の焦げ付きが主因で、今後も年末にかけて増えるものとみられており、年間100社超は必至な状況にある。日本の中小金融機関と違って、米国の中小金融機関は不動産融資への依存が高いことを浮き彫りにしている。ビル建設資金を用立てるものの借り手からの賃料が得られずして、返済が滞り、借入金の返済ができない構図となっている。中小金融機関の破綻で預金保護のための金融当局の基金も底を尽きかけ、2年先までの預金保険料を前払いさせるなどしており、事態の深刻さを物語っている。



温室ガス25%削減でも所得は増加

新政権は2020年の温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減を国連で国際宣言したが、前政権での試算によると、光熱費の上昇を織り込んだにしても、世帯あたりの可処分所得は経済成長などに伴って2005年比で76万円増加することが明らかになった。厳しいと受け止められている地球温暖化対策としての温室効果ガス25%削減だが、可処分所得の伸びが続くとの試算は、今後の議論に好影響を及ぼすものとみられている。また、この前政権による試算には、ハイブリッドカーや太陽光発電パネルなどの価格が低下することは想定されておらず、この低価格化効果が見込まれれば、さらなに可処分所得は増えるとみられる。



富裕層の資産、半年間で31%減少

野村総合研究所がまとめた「金融危機が個人資産に与えた影響に関する調査」によると、昨年9月からの半年間で1億円以上5億円未満の金融資産を持つ富裕層の資産が31%減少したことを明らかになった。また、同調査では金融危機以降、安全性を重視する傾向も強まり出し、「元本割れのある金融商品のリスクを気にするようになった」という向きも7割を超えたことも判明した。



介護職員の月給は6475円増加に

介護職員の労働組合である「日本介護クラフトユニオン」が09年4月の介護報酬引上げが職員の賃金に与えた影響を調査したところ、報酬引上げ前に比べて、月給で6475円増加していることが判明した。慢性的に人手不足が続く介護職員の確保を目指し、今年4月から事業主に支払う介護報酬を3%引き上げが行われ、その増収分が職員への賃金に回れば、月給が2万円程度増えると見込まれていた。しかし、実態としては、赤字経営が続く介護事業者にとっては、経営改善のための資金に回ったものとみられる。



全ての都道府県で職員年収は減少へ

2009年度の都道府県の職員給与に関する人事院勧告によると、44都道府県で月給の引下げが勧告されるとともに、期末・勤勉手当は47の全ての都道府県でマイナス勧告が出され、年収ベースでみると全自治体で減額となる。地域の民間企業との給与差を基準に勧告が行われるが、景気低迷により民間企業での賃金低下でマイナス勧告となった。月給の引下げ率が大きかったのは、静岡の1.12%減を筆頭に、岩手(0.84%)、鳥取(0.80%)が続いているが、引下げ率を見る限りでは、民間企業の実態とは乖離している感が否めない。



介護・福祉の就業者数、過去最多に

総務省の調べによると、介護・福祉事業の就業者数は過去最多の291万人となり、前年同月比でも20万人も急増していることが明らかになった。全産業の8月の有効求人倍率が過去最低の0.42倍という環境にありながらも、人手不足が続いた介護現場に、失職者の流入が相次いだものとみられる。厚生労働省では年末にかけて、雇用対策の切り札として、介護職員の処遇を改善し、介護・福祉分野への流入を一段と加速させる検討を本格化させる考えだ。



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