社会・経済のうごき@しんぶん
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2009年06月09日号

基礎的財政収支の黒字化、2020年以降

政府の経済財政諮問会議は、基礎的財政収支(プライマリーバランス)が黒字化するのは早くとも2020年以降になるとの財政見通し試算を近く公表する方針を固め、これまで2011年度の黒字化するという政府目標は先送りされることが明らかになった。基礎的財政収支は、毎年度の政策に必要な経費を、国債などの借金に頼らずに、その年の税収などで補えるかどうかを示す指標で、06年の小泉内閣の「骨太方針」で11年度の黒字化を目標に掲げてきていた。同会議では、消費税率を10%に引き上げた試算ケースも示し、黒字化の時期を算出するとしているが、その際でも黒字化は2020年以降にずれ込む見通しである。



「この1年間で収入減った」は44.6%

内閣府の国民生活モニター調査によると、「この1年間で世帯収入が減った」とする回答が、昨年8月調査から10.5ポイント増加の44.6%になったことが分かった。また、今後1年の世帯収入の見通しについても、「少し少なくなる」「かなり少なくなる」との答えが55.6%(同19.5ポイント増)に達し、これに対応するため、今後1年間の消費支出は「少し少なくなる」「かなり少なくなる」が同25.4ポイント増加の35.3%と、減る収入に支出を削って凌ぐ実態が浮き彫りとなった。さらに、先行き1年間に、失業や廃業の心配があるかについての問いに、「ある」「少しある」と3割強が回答を寄せ、雇用不安が根強いことが明らかとなった。



廃家電台数の回収、過去最高に

環境省と経済産業省は、家電リサイクル法に基づく使用済み家電製品4品目の2008年度の回収台数は1289万台に達し、過去最高を記録したと発表した。4品目はブラウン管テレビ・エアコン・洗濯機・冷蔵庫で、テレビが最も増加した。背景には、北京五輪もあって、地デジ放送に対応したテレビへの買い替えが進み、ブラウン管テレビへの廃棄につながったものとみられる。両省では、5月からの「エコポイント制度」スタートに伴い、制度利用の増加が見込まれ、さらに使用済み家電製品の回収台数は増えるものとみている。



出生率、3年連続上昇へ

厚生労働省は、2008年の合計特殊出生率が1.37になったと発表した。日本の出生率は1975年に2.0を割り込んでから下がり続け、過去最低を記録した05年の1.26を底に、3年前から連続で上昇していることになる。この上昇に転じた背景には、デフレ期を脱し、景気好転により子供を持つ余裕が広がったものとみられる。今後は、昨秋の世界金融危機による筧経済への影響や晩婚・晩産化が不安材料になるとの指摘もあり、「結婚や子作りに二の足を踏む可能性がある」(ニッセイ基礎研究所)として出生率上昇にはブレーキがかかる懸念がある。



来年の世界の経済成長率、1%止まり

内閣府がまとめた「世界経済の潮流-世界金融・経済危機の現況」によると、2009年の世界の経済成長率は戦後初めてマイナスに転じ、10年は回復テンポが緩やかで成長率は1%程度になるとの見通しを示した。内閣府が示した見通しは、個人消費の低迷が大きく響くとして、国際通貨基金(IMF)や経済協力機構(OECD)の経済成長率見通しよりも弱含みで厳しい分析をしている。また、内閣府の分析では、米欧は回復が大きく遅れるものの、中国は4兆元規模の経済対策が功を奏し、今年後半から回復すると予測している。



世界穀物生産は3%減、輸入国にはプラス

国連食料農業機関(FAO)は2009年の穀物生産量は前年比3%減少の22億1880万トンになるとの見通しを発表した。昨秋の世界金融危機などで穀物価格が急激に反落したため、採算悪化を余儀なくされた生産者が作付けを抑制したことによるもの。FAOの穀物価格指数は09年1-5月期が181で、08年通年より31%引低く、09年の世界の食料輸入額は前年比22%減少するものとみられている。輸入額減少により食料を海外に依存する日本などの輸入国にとっては、プラス材料となる。



EUの温暖化ガス排出削減ペースは加速

欧州連合(EU)の欧州委員会は、加盟15カ国が2007年に排出した温暖化ガスの総量が前年比1.6%減少したと発表した。減少は3年連続で、京都議定書基準年(1990年)に比べ4.3%減少という計算になり、排出削減ペースが加速してきている。排出削減は、家計だけでなく、鉄鋼業の寄与が大きかったと同委員会は指摘している。



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