厚生労働省がまとめた公的年金の財政検証によると、09年度に現役世代収入の62.3%の年金が受け取れるものが、年金財政悪化により、2038年度以降は50.1%に落ち込み、約2割目減りするとの試算結果が明らかになった。今回の試算前提として、①出生率1.26、②運用利回り4.1%、③賃金上昇率2.5%、④物価上昇率1.0%、⑤経済成長率0.8%としているが、少子化の進展や急激な経済危機などの実勢からは程遠い試算の前提条件には甘さがあると指摘する識者も多く、2004年の年金制度改革で、政府が公約した給付水準の下限を現役世代収入の50%は辛うじて確保するための「つじつま合わせ」の批判もある。年金財政は極めて厳しい実情だ。 |