社会・経済のうごき@しんぶん
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2009年03月03日号

年金給付、30年後は現在の約2割目減り

厚生労働省がまとめた公的年金の財政検証によると、09年度に現役世代収入の62.3%の年金が受け取れるものが、年金財政悪化により、2038年度以降は50.1%に落ち込み、約2割目減りするとの試算結果が明らかになった。今回の試算前提として、①出生率1.26、②運用利回り4.1%、③賃金上昇率2.5%、④物価上昇率1.0%、⑤経済成長率0.8%としているが、少子化の進展や急激な経済危機などの実勢からは程遠い試算の前提条件には甘さがあると指摘する識者も多く、2004年の年金制度改革で、政府が公約した給付水準の下限を現役世代収入の50%は辛うじて確保するための「つじつま合わせ」の批判もある。年金財政は極めて厳しい実情だ。



不動産向け融資、3年半ぶりに減少

日銀が3ヵ月ごとにまとめている「貸出先別貸出金」の統計によると、2008年12月末の不動産事業向け貸し出し残高は59兆800億円で、前年同期比0.8%減少し、前年実績を3年半ぶりに下回ったことが分かった。不動産価格の下落によって業績を悪化している不動産業者への融資に銀行が慎重になっていることが伺える。不動産業向けの貸し出し残高は07年前半に前年比2ケタの増加率を示していたものの、サブプライムローン問題が明らかになってきた07年後半は2%台まで急落、金融危機が表面化した08年9月末には横ばいとなり、そして12月にはマイナスに転じた。



世界粗鋼生産は主要各国、2ケタ減少

世界鉄鋼協会の調べによると、1月の世界粗鋼生産は前年同月比24.0%減少し、減少は5ヶ月連続に及んでいることが分かった。米国の52.7%減をはじめ、ロシア(49.1%減)、EU27カ国(45.9%減)と主要各国で、2ケタもの減少幅を記録している。日本も37.8%減で、下落率は過去最高を更新し続けている。ただ、世界最大の粗鋼生産国である中国は昨秋から生産調整を急ピッチで進めた結果、在庫圧縮にメドが立ったとして増産に踏み切り、前年同月比2.4%増に転じた。しかし、世界的な鉄鋼需要の回復には兆しすらも見えず、下げ止まりには程遠いものと市場関係者はみている。



5年ぶりに広告費は減少に

電通は2008年の国内広告費は6兆6926億円となり、前年比4.7%減少し、5年ぶりに前年を割り込んだと発表した。北京五輪があったものの、景気悪化が影を落とし、企業が広告を控えたものとみられる。新聞・雑誌・テレビ・ラジオの「マスコミ4媒体」は前年を7.6%減少し、なかでも新聞と雑誌は過去最大のマイナスとなった。一方、インターネット広告は広告費全体で初めて10%を超えて10.4%を占めるほどに増加、伸びも前年比16.3%と2ケタの伸びを示した。とくに、キーワードで検索する検索連動型広告が22.9%増加し、携帯電話向けモバイル広告も47.0%増加した。



昨年の金取引量は過去最高を記録

国際金融サービス協会(ロンドン)の推計によると、2008年の全世界での金取引量は20兆2千億ドル(約1900兆円)に達し、過去最高を更新したと発表した。昨秋からの経済危機を背景に、主要通貨から安全資産としての金にシフトする動きが顕著になったことが背景にある。また、国際価格も先月中旬に1トロイオンスあたり1000ドル台に回復した。日本でも、個人投資家の買いが鮮明になり、国内で販売された地金は前年同月比2.6倍にまで膨れ上がった。



税制改正の企業減税規模は3500億円

財務省は2009年度税制改正による企業に対する減税規模は国税ベースで約3500億円に上ると発表した。内訳は、中小企業への法人税率の引き下げが2220億円で最も多く、次いで省エネルギー投資の一括計上できる「即時全額償却制度」の1280億円となっている。また、個人向けの「住宅関連減税」を含めた税制改正全体での減税規模は6850億円になるとしている。



高校生の1日の勉強時間は7.6時間

日本青少年研究所が日米中韓の4カ国の中高生を対象にした生活意識調査によると、学校の授業と宿題や塾を合わせた1日の勉強時間は、日本の高校生の平均は7.6時間で、中国が12.9時間、韓国が11時間であることが分かった。学校の勉強が「きつい」と感じている高校生は、日本が77.2%、米中韓は54-60%で、日本が突出した。同研究所では、「日本の子供は学習習慣が身に付かないまま勉強嫌いになっている恐れがある」と指摘している。



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