社会・経済のうごき@しんぶん
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2009年02月03日号

輸出の急減で、下振れリスク拡大

財務省は2008年12月の輸出額は前年同月比35%もの大幅な減少を記録したと発表した。08年通年での輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支黒字額は前年比80.0%も減少したが、08年10月以降は3ヵ月連続で赤字を記録しているなど、輸出の急減が続き、このままだと1980年度以来の年度ベースでの赤字に転落する可能性が高くなってきた。輸出業界にとってのリスクは円高だが、「この先1年程度は円高基調」(大和総研)と見られているだけに急激な改善は見込めない。外需頼みで成長してきた日本経済にとって、下振れリスクが拡大してきた。



08年の投信減少額は過去最大に

投資信託協会は、2008年12月末の公募投信の純資産残高は40兆8千億円となり、前年末より25兆9千億円も減少し、減少幅ではバブル崩壊後の1990年の10兆4千億円をはるかに上回り、過去最大となったと発表した。世界的な株価下落と円高による評価減が響いたものとみられる。分類別にみると、外国株に投資する投信タイプが6割強で最も大きく減少した。08年の投信への資金流入額は2兆3千億円で、前年より8割強減少した。投信への資金流入額が5年ぶりに前年を下回ったことで、投資リスクを冒してまで、より高利回りを期待する動きは一転したものとみられる。



年金受給の辞退者は、昨年は96人だけ

社会保険庁の集計によると、昨年、年金受給者が自主的に受け取りを辞退する「公的年金支給停止制度」を利用した人は96人にとどまることが分かった。同制度は、2007年4月に導入され、富裕層を中心に受給辞退を促すことで年金の給付削減につながるものとの期待されたが、3400万人もの年金受給者数に対して96人に留まり、効果は表れていない。また、同制度では、受給辞退はいつでも撤回して再び受給することもできるが、返上分を将来上乗せして受け取ることはできない。繰り下げ受給などと違い、返上による特典は特にない。受給辞退者の中には、元厚労省大臣もいる。



冷え込む、世界のCEOのマインド

米大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパーズ(PWC)が、世界の主要企業の最高経営責任者(CEO)1124名を対象に行った意識調査によると、「今後1年に自信あり」と回答したのは21%にとどまり、前年調査の50%から大幅に下落し、米国発の金融危機が世界経済に与えた影響の大きさを伺わせた。「自信あり」としたCEOを地域別にみると、北米と西欧は15%、中・東欧と中南米が21%、アジア太平洋は31%だった。同社では、「景気後退のスピードが非常に速かったため、CEOらの心理が凍り付いた」と分析している。



定額給付金の使い道は「旅行」などに

日本経済新聞社が、定額給付金の使い道について、全国の1千人を対象にしたインターネット調査を行ったところ、58%もの人が「消費に回す」と回答していることが分かった。消費派で最も多かったのは、「旅行・レジャー・買い物などの不要不急の消費に使う」が31%、次いで「日々の生活費の補填に充てる」は27%だった。また、「貯蓄・ローン返済などに充てる」人は29%に上り、このうちの8割弱が「預貯金する」としている。1999年の「地域振興券」では経済企画庁の調べで6割強が貯蓄に回ったとされており、今回の給付金では消費性向が強いとみられる。調査では、「辞退する」が1.0%、「寄付する」が0.4%、それぞれあった。



障害者雇用にも不況の冷たい風が

厚生労働省の調べによると、ハローワークを通じた障害者の就職件数は近年、年1%で増えてきたが、昨年度後半の10月は前年同期比3.5%減、11月は9.8%減と悪化する状況に転じてきたことが分かった。また、障害者の解雇も昨年10月が125人、11月は234人、12月は265人と急激に増加してきている。景気後退による不況が障害者雇用にも直撃している実態を浮き彫りにした。



世界の失業者は過去最多に

国際労働機関(ILO)の年次報告書によると、2008年末時点の世界の失業者数は1億9千万人に達し、過去最高だったと発表した。失業率は6.0%。また、ILOでは、最悪のシナリオでは09年中に、さらに4千万人の失業者が発生しかねないと警告を発している。欧州では失業問題でのデモも発生し、雇用問題は世界共通の課題である。



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