社会・経済のうごき@しんぶん
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2009年01月27日号

11年度基礎収支、最大22兆円の赤字

内閣府が経済財政諮問会議に提示した2011年度の基礎的財政収支は、最大で22.1兆円もの赤字となる見通しであることが分かり、政府が目標として掲げてきた11年度黒字化は困難な実勢となった。基礎的財政収支は、社会保障費や公共事業費などの政策経費を新たな借金を行わずに賄えるかどうかの基準指標。今回示された中長期展望によると、世界経済が順調に回復し、社会保障以外の歳出を12年度以降据え置く前提で、15年度に消費税率を10%に引き上げるなどの4パターンを試算しているが、最良のケースでも黒字化の達成は18年度までにずれ込む見通しである。財政再建見通しは大幅に後退した。



米国、小売売上高が初の減少へ

米商務省が発表した08年12月の小売売上高は前月末比2.7%減少の3432億ドルとなり、08年通期でも0.1%減少の4兆4783億ドルと、統計開始の1992年以来初めて前年を割り込んだ。サブプライムローンをはじめとする住宅バブルがはじけ、個人消費も縮小したことによるもの。米国の国内総生産(GDP)の約7割を占める個人消費の減速で、大幅なマイナス成長へ転じる可能性が大きくなってきただけでなく、生産・雇用への負の連鎖を加速させる危惧が広まり出している。同時に米国内の個人消費の冷え込みは対米輸出依存の大きい中国や日本への影響も深刻さを増すものとみられる。



大量解雇する企業が急増中

厚生労働省の集計によると、30人以上の従業員をまとめて解雇した件数が08年4-11月までの8ヶ月間で1882件にも達し、07年度の1年間での1593件を上回ることが分かった。直近でピークとなった02年度(3531件)を上回るほどの勢いで増加している。集計は、1ヶ月間に自己都合を除いて、30人以上の正社員や正規社員と同様に働く直接雇用の非正規社員の離職者が出る場合の公共職業安定所届出を基礎にしている。同省では、「大企業では店舗の統廃合や工場閉鎖の際の大量解雇、中小企業では倒産による解雇があった」とみている。景気の急激な悪化が雇用環境に大きく影を落としている。



中小の景気回復時期は「2011年以降」

日本経済新聞社が行った中小企業経営者調査によると、国内景気の回復時期は「2011年以降」とする向きが42.9%と最多で、次いで「2010年中」が35.2%で続き、中小の経営者の8割近くが「本年中の景気回復」には否定的なことが分かった。また調査では、「大手から不当な値下げ圧力を受けた」(32.4%)、「不当な納期短縮を求められる」(15.5%)も指摘されるなど、取引条件等で苦慮する実態も指摘された。



就職内定率、大卒・高卒ともに悪化

厚生労働省は、2009年春の新卒者内定状況(08年11月末時点)は、大卒が80.5%、高卒が78.0%で、それぞれ前年同期を1.1ポイントと1.7ポイント下回ったと発表した。大卒は5年ぶり、高卒は6年ぶりに内定率が低下。景気回復が全く不透明な状況を脱しきらない来春卒業の就職活動は、一段と厳しさを増している。同省では、「求人の掘り起こしや集団面接会の開催」による学生と企業の橋渡しを通じて、就職支援を強化する考えだ。



笑顔を得点評価する装置を開発

オムロンは自社が持つ独自のセンサー技術を活かし、人間の笑顔の度合いを数値化して測定する装置「スマイルスキャン」を開発した。装置は、目や口の形状を分析し、目尻や口角を分析して笑顔の度合いを0-100%で表示するもので、笑顔になるほど数値が高まる。接客の質を高める狙いから、接客研修用としてサービス業や患者満足度を高めたいとする医療機関に売り込むとしている。価格は専用端末と小型カメラがセットで24万円。



生活保護世帯数、16年連続の増加

厚生労働省の調べによると、昨年10月時点での生活保護世帯数は114万7千世帯を超えたことが分かった。16年連続での増加は確実とみられ、過去20年間で最も少なかった1992年度の58万6千世帯の2倍もの水準になる。背景には、高齢化の進展で低所得の単身高齢者の増加がある。生活保護費の4分の3を負担し、残りを地方が負担する仕組みだが、今後、受給世帯数の急増は財源難で制度自体の行き詰まりを招きかねない。社会保障制度を含めた制度の抜本改革の議論が急務である。



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