社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2008年09月16日号

経常利益、前年同期比10.5%減少

財務省が発表した2008年4-6月期の法人統計によると、経常利益は前年同期比10.5%も減少し、企業の収益動向が厳しい実情にあることを裏付けた。売上高も減少。減収減益の経営を企業が強いられている背景には、原材料価格の上昇がある。また、雇用者数が前年同期比3%減少するなどして、全産業での人件費は同1.8%減少している。経常利益確保のため、人件費を削減しようとする企業の動きが見られる。企業収益減少が雇用者の所得減少を招き、さらに個人消費を冷え込ませる景気の悪循環の相関が見られ始め出した。自動車関連企業の輸出不振が高まってくれば、一段の警戒感が強まってくる。



世界の成長率、08年度は2.9%に減速

国連貿易開発会議(UNCTAD)は、2008年版貿易開発報告で、08年の世界の実質経済成長率は前年の実績見込みより0.9ポイント減少の2.9%になるとの減速予測を発表した。日米などの先進国だけでなく、中国などの発展途上国も軒並み減速すると予測している。減速要因は、原材料や商品価格の上昇によるインフレ圧力とサブプライムローン問題による金融不安で、これらは09年の成長率見通しにも大きな影を落としていると指摘している。



株のネット取引、ピーク時の1/3に

SBI証券などインターネット証券大手5社の8月の株式売買代金は、8兆8400億円となり、ピークだった05年12月の25兆円の約3分の1にまで落ち込んでいることが分かった。売買代金の減少は3ヵ月連続で、売買代金が10兆円台を割り込んだのは、05年7月以来となる。サブプライムローン問題以来、価格変動リスクのある金融商品への投資を控える傾向に加え、ここに来て建設や不動産業を中心とした倒産が増加していることなどが、投資家心理を冷やしたものとみられる。売買代金が減少する一方で、口座数は05年5月の2.4倍にも達する467万口座に増えており、売買せずに好機到来の様子見をしている投資家が多いとみられる。



来年1月、出産一時金を38万円に

厚生労働省は、来年1月に導入を予定している「産科医療補償制度」に併せて、健康保険の加入者に支給している出産一時金を3万円引き上げて38万円にする方針を決めた。産科医療補償制度は、分娩を扱う医療機関が加入し、出産時の医療事故で脳性まひの子が生まれた場合、医師の過失がなくても、妊産婦に3000万円の補償が支払われる制度で、出産1回あたりの掛け金3万円は医療機関が負担する。医療機関は補償に必要な保険料分を分娩費に転嫁する公算が強いことから、同省では、この3万円の掛け金分を出産一時金に上乗せ支給することで、医療機関の補償制度加入を促進する狙いがある。



政管健保の保険料率、値上げ不可避

10月1日に、政府管掌健康保険(政管健保)が社保庁から事業を切り離し、公法人「全国健康保険協会」(協会けんぽ)が発足されるが、厚生労働省は2009年度の保険料率について、現行の8.2%から0.1-0.3%を引き上げる必要があるとの試算を発表した。政管健保は医療費増大によって、2007年度に赤字に転落し、これまで財政安定のために積み立ててきた「事業運営安定資金」が09年度にはマイナス約900億円と、枯渇する実態にあるとしている。このため、03年度から据え置いてきた保険料率を、09年度に全国平均で0.1-0.3%引き上げることが避けられないとしている。



教員も今後、大量退職時代に

文部科学省の2007年度学校教員統計調査によると、教員の平均年齢は小学校で44.4歳、中学校で43.8歳と、いずれも過去最高となった。同省では、第2次ベビーブームに大量採用された教員が50歳代に達し、今後教員の大量退職とともに、教員の入れ替わりが増加するとみられる。事実、年齢構成別にみると、小学校は50-55歳が20.8%、中学校は45-50歳が21.4%と、それぞれ最多の年齢層となっている。同省は、今後10年間で教員の4割が入れ替わるとみている。



トップへ