社会・経済のうごき@しんぶん
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2008年09月02日号

現行のままだと、国民年金積立金は枯渇

政府が年金改革で09年度までに国庫負担を2分の1に引き上げると決定しているものの、その必要財源の2兆円余のメドが立っていない状況にあり、このまま国庫負担を現行の36.5%で据え置くと、2047年度に国民年金積立金は枯渇してしまうという、試算結果が厚生労働省から発表された。試算では、年金の給付水準を現行制度で約束している「現役世代の手取り収入の50%以上」よりも引き下げた40%強を前提にして算出したもので、約40年後には現在の10兆円弱の積立金は消失する。国庫負担率の引き上げがないとなれば、一段の給付水準引き下げか、保険料の引上げが必要となる。



金融庁、中小への「貸し渋り」を重点検査

金融庁が発表した2008事務年度の大手銀行や地方銀行に対する検査の基本方針で、資金需要のある中小企業に対して「貸し渋り」の発生がなく、円滑な融資が行われているかどうかに重点を置いて検査することが明らかになった。景気後退が鮮明になり、不動産業を中心に資金不足から倒産が増加傾向にあり、それらへの歯止めを講ずる狙いがあるものとみられる。中小向け融資に当たっては、不動産担保や個人保証だけでなく、企業の事業価値にも着目した融資実行を金融機関に求めていく考えである。また、サブプライムローンを組み込んだ証券化商品などのリスク管理の徹底が図られているかどうかも重点的に検査するとしている。



低調な「有給の裁判員休暇」の労働協約

連合の調査によると、来年からスタートする裁判員制度に当たって、「有給の裁判員休暇」に関する労働協約の締結を行った傘下の単位組合数は全体の6%にあたる741組合に過ぎないことが分かった。裁判員法では、労働者が裁判員を務めるに当たって休んだ場合などの不利益な扱いを受けることを禁止しているが、休暇を有給とするかどうかは定められていない。このため、1万円以内の裁判員日当よりも1日あたりの賃金が高い人にとっては収入減となり、不利益が生じることになる。連合では、さらに「裁判員として地裁に出席する場合は、全ての従業員を有給扱い(特別休暇)とする労働協約締結の促進をする」としている。



7月のコンビニ売上高、初の2ケタ増加

日本フランチャイズチェーン協会がまとめた7月のコンビニエンス売上高(11社)は前年同月比11.7%増の6891億円に達した。2ケタもの大幅な伸びは、調査開始の1998年以来初めて。商品別売上高を見ると、たばこなどの非食品部門が33%伸び、全体を押し上げている。たばこ自動販売機の成人識別ICカード「タスポ」の導入されたため、たばこをコンビニで買う人が大幅に増えたとみられる。また、猛暑で清涼飲料水の売上げが伸びたことも寄与している。



仕事に「やる気」ある勤労者は半数強

東京海上日動リスクコンサルティングが行った「仕事に関する意識調査」によると、現在の仕事に「やる気がある」勤労者は約半数の52.7%であることが分かった。20-50代の会社員・公務員を対象にした調査で、現在の「仕事にやる気を持っている」割合を年代別にみると、20代が57.3%、30代が50.5%、40代が49.2%となっており、年代が進む中堅や管理職層での意欲減退傾向がみられた。意欲が高まる仕事(複数回答)は、「自分のやりたい仕事」が35.2%で最も多く、次いで、「お客様に感謝される仕事」となっている。また、「高い金銭的な報酬につながる仕事」は7位になっており、同社では、「給与を高くしても、モチベーションを高める効果はそれほどない」と分析している。



宝くじ販売不振、自治体財政に影響

2007年度の地方自治体が発行する宝くじの売上高は、前年度比4.5%減少の1兆442億円となり、宝くじ収益を当て込む自治体にとって、財政への痛手となっている。宝くじは、全国の都道府県と17の指定都市が総務省の許可を得て発行し、売上の5割弱が当選金、1割強が販売費用、そして4割が収益金として自治体の納付される仕組みとなっている。収益金の規模は地方税の自動車取得税に匹敵するほどで、売上高減少は取りも直さず、自治体財政をさらに厳しくしている。宝くじの売れ行き不振は、個人消費の伸び悩みに加えて、購入の中心層である高齢者が買い控え傾向にあるとみられる。



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