社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2008年07月22日号

基礎年金の国庫負担上げを先送りへ

政府・与党は、2004年の年金制度改革で「2009年度から国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げる」との決定を受けて、来年4月からの完全実施を目指してきたが、必要財源のメドがつかないことから、来年10月からの半年遅れ実施方針を固めた。来年9月までに予想される衆院選もあり、消費税増税への反対論が与党内に根強いことや、仮に消費税率引上げの増税法案がねじれ国会では成立が危ういとの見方が底流にある。来年4月実施となれば、約2兆3千億円を要し、消費税の約1%相当が必要とされる。



中国、6月の貿易黒字は20.6%減に

中国税関総署は、6月の貿易黒字額は前年同期比20.6%もの大幅減少になったと発表した。原油価格や鉄鉱石などの資源価格の高騰で輸入額が大きくなる一方で、世界経済の減速で需要が減退したために、輸出の伸びが一転して鈍化したことが大きいとみられる。1-6月の上期で見ても、貿易黒字額は前年同期より11.8%減少しているおり、高止まりを続ける原材料の現状を考慮すると、今後さらに黒字幅は縮小することは必至で、中国の経済成長を下押しすることは避けられない。内需の拡大策を講ずる政策転換が迫られそうだ。



今なお、130億株が「タンス株」

2009年1月に上場企業の株券が一斉に電子化されるが、今年3月末現在で、個人投資家が自宅や貸金庫で保管している、いわゆる「タンス株」が約130億株あると、証券保管振替機構と日本証券業協会が発表した。約14兆円分株券が個人投資家の手元にある計算になる。証券業界は、個人株主が電子化直前に店頭に殺到して処理が混乱する可能性もあることから、「タンス株」をできるだけ早期に証券会社の店頭に持ち込んで預け入れるよう強く呼び掛けている。都道府県別に人口に対するタンス株主数の割合が多いのは、奈良県(19.0%)、東京都(15.2%)、富山県(15.0%)となっている。



街角の景況感は01年以来の低水準

内閣府は、6月の景気ウォッチャー調査で、現状判断指数は前月比2.6ポイント低下の29.5となったと発表した。3ヵ月連続で前月を下回り、「横ばい」を表す指数の50を割り込むのは15ヶ月連続となった。現状判断指数は、全国を11地域に分けて、タクシー運転手など地域の景気動向を観察できる人の協力を得て、「雇用」「企業」「家計」の3分野から地域の景気判断を指数化しているもの。6月の調査では、「雇用」が5.5ポイント低下の26.4、「企業」が1.2ポイント低下の31.4、「家計」が2.7ポイント低下の29.3と、いずれの分野でも前月を割り込んだ。この調査結果をもとに、内閣府は「景気回復の実感はさらに一段と弱くなった」と基調判断を下方修正した。



CO2濃度は限界を超えた

米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙科学研究所のジェームズ・ハンセン所長は日本で行った講演で「大気中の二酸化炭素(CO2)濃度は許容できる上限を超えており、気候変動は取り返しのつかないところまできつつある」と警鐘を鳴らした。同氏は気象学の権威でもあり、「CO2濃度を下げても気候の変化を止められなくなる限界である350PPMを超えて、現在は約385PPMと上限を超えている」ことを明らかにした。このため、二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電を縮小することが急務であることを指摘した。



世界的なインフレ長期化の懸念

欧州連合(EU)の欧州委員会が世界経済の動向を分析した報告書によると、中国やインドといった新興国の安い労働力に支えられた安価な工業製品の供給によるデフレ圧力局面は終わりを告げ、資源の需給逼迫や地球温暖化による食糧供給の不安から、構造的なインフレに向かうと指摘した。また、報告書では、世界総生産(GDP)に占めるシェアは、西欧が現在の24%から2050年には13%、日本は14%から7%に低下するとの推計を示した。インフレに加えて、人口の高齢化での労働力低下と社会保障費負担の増加で経済が抑制されるとみているからだ。



トップへ