社会・経済のうごき@しんぶん
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2008年08月26日号

GDP、年率換算でマイナス2.4%に

内閣府は、4-6月期の国内総生産(GDP)は年率換算でマイナス2.4減になったと発表した。1年ぶりのマイナス成長に陥ったことになり、明らかに日本経済は景気後退局面入りとなったことを裏付けた。資源や食料品価格の高騰を背景に、個人消費をはじめとする内需が減退したのに加えて、輸出の減少で外需も落ち込んだことによるもの。2001年7-9月期にマイナス1.1%となって以来の大幅なマイナスとなっており、資源や原材料が高止まりを続ける経済環境のなかで、本格的な景気回復は2009年後半からと見るエコノミストが大勢を占め、厳しい景気が続くと推察される。



中国産の輸入物価が軒並み上昇

中国からの輸入品物価が軒並み上昇していることが、日銀がまとめた輸入物価指数調査で分かった。7月時点で、中国産の割合が5割を超える輸入品を対象として調べたもので、玩具が前年同期比9.9%上昇しているのを筆頭に、手袋やカバンが同9.2%、ポロシャツが同8.5%、オーディオが3-4%の上昇で、広範囲な分野で価格上昇が見られた。また、財務省の貿易統計でも、中国からの輸入品の価格指数は、04年度にプラスに転じてから上昇傾向にあり、07年度は前年比7.7%も上昇している。値上がりの最大要因は、人件費が上昇しているのに加えて、人民元高がある。安価な中国産輸入品に頼ってきた日本経済にとって、消費者物価を押し上げる要因になりそうだ。



物価高でも、来年の年金受給額は据置き

厚生労働省は、物価高が続いているものの、来年度の公的年金受給額は据え置く方針を固めたことが、来年度予算の概算要求で判明した。公的年金の受給額については、毎年1月に、前年平均の消費者物価指数を反映して決定するのが原則だが、07年平均は物価が横ばいだったことや、2000-02年度に物価が下落した折に、受給額を減額しなかったことの相殺という考えから、据え置きを決定した。今後予定される衆院選をにらんだ形で、年金受給額の引上げ決定される局面も想定され、なお、曲折が見込まれる。



製造の個人事業主、60歳以上が71%

総務省がまとめた、2007年末時点の個人企業経済調査によると、事業主の年齢が60歳以上の個人企業の割合は、製造業が71.1%(前年比7.5ポイント増)、卸・小売業が70.7%(同8.0ポイント増)となり、調査開始以来初めて両業種で7割を超え、高齢化が進んでいることがわかった。また、後継難が言われる中、「後継者がいる」と答えた個人企業は、製造業が17.8%、卸・小売業が24.4%、サービス業が20.3%で過去最低を記録するとともに、飲食店・宿泊業も18.2%に留まり、事業の継承の困難な実情を露呈している。経営上の問題では、「原材料価格・仕入れ価格の上昇」を第一に挙げた。



34%が「生活水準が低下している」

内閣府が行った「国民生活に関する世論調査」によると、「生活水準が昨年より低下している」と感じている人の割合が34.1%に達していることが分かった。1974年の第一次オイルショック時の34.6%に次ぐ高い水準となっている。日常生活で悩みや不安を感じている人の割合は70.8%となり、4年連続の上昇。悩みや不安の内容(複数回答)は、「老後の生活設計」が57.7%で最多で、次いで、「自分の健康」(49%)、「今後の収入や試算の見通し」(42.4%)となっている。また、政府に対する要望(複数回答)では、「医療・年金等の社会保障構造改革」が72.8%と最も多く、「物価対策」(56.7%)、「景気対策」(56.1%)となった。とくに、物価対策を望む人は前年比21.8ポイントも大幅に増加した。



国産食料品の購入にポイント制を

農林水産省は、国産食品の購入意欲を高めて自給率向上に寄与する狙いから、「国産食料品を買うことで、地域特産物と交換できるポイントがもらえる仕組み」を来年度から創設する方針を固めた。仕組みは、国産農産物を使った食事や弁当などを購入した際にポイントがもらえ、そのポイントに応じて、スーパーで特産品と交換ができたり、地域への寄付に活用できるとしている。同省では2009年度予算に盛り込み、スーパーやコンビニエンスストアなどの協力企業を募り、来年度中にモデル事業として行う計画だが、消費者が同省が想定するように利用するかどうかは未知数である。



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