社会・経済のうごき@しんぶん
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2008年06月03日号

世界の食料輸入額は1年で26%増加

国連食糧農業機関(FAO)は、2008年の世界の食糧輸入額は1兆354億ドル(約107兆円)にも達するとの予測を発表した。前年比26%もの大幅な増加で、穀物価格の急騰に加え、肉類や乳製品の値上げなどが輸入額を押し上げている。FAOの穀物価格指数(1998-2000=100)が4月には284となるなど急騰しており、輸入国が十分な量を確保できない事態も懸念されており、アフリカやアジアの低所得層を危機的状況に追いやることが懸念されている。FAOは、「08年の穀物価格は07年の水準には戻りそうもない」と悲観予想している。



2ケ月連続で、景気は『踊り場』判断に

大田経済財政担当相は「景気回復はこのところ足踏み状態にある」とした5月の月例経済報告を政府の関係閣僚閣議に提出した。 2ヵ月連続で、景気回復が一時的に停滞する『踊り場』にあるとの景気の基調判断を示したことになる。5月の月例報告では、3ヵ月ぶりに景気のけん引役である輸出を下方修正するとともに、住宅建設も「このところ横ばい」として下方修正しており、下振れリスクのある『踊り場』ともいえる。外需依存の高い我が国にとって、米国経済の停滞とアジア向け電子部品の輸出が落ち込んでおり、このまま輸出が滞ると景気が一層悪化する懸念がある。また、小売製品の値上げラッシュで消費者の買い控えによる個人消費の停滞も見込まれ、厳しい局面への警戒感も窺える。



金融庁、貸し渋りの再発生に警戒感

金融庁は、昨年秋以降、中小企業向けの銀行融資が前年割れになっているのに加えて、米国のサブプライムローン問題に端を発する銀行損失による自己資本比率の低下を懸念する大手行や地域金融機関が中小企業への貸し渋りや貸しはがしを起こさないよう緊急要請を行っている。とくに、今後、原材料高によって地方景気が不透明なこともあり、融資が不良債権化する危惧から、2000年前後に起きた貸し渋りや貸しはがしの発生をさせない強い姿勢を示している。銀行検査でも中小企業を適正に審査して積極的に貸し出しを行っているかどうかを点検するとともに、中小企業からの情報をメールなどで聞く「貸し渋り・貸しはがしホットライン」を開設した。



地方建設業者の倒産が41.2%増加

民間調査会社の帝国データバンクによると、4月の建設業の倒産が前年同月比で41.2%増加の274件に上ったことがわかった。07年度4月は14.2%の増加だったことを加味すると大幅な伸びと言える。負債総額も25.1%増の723億円。同社では、「住宅着工件数の減少が倒産に結びつくには一定の時間がかかり、昨年から続く住宅着工減は今後じわじわと倒産が増える」とみている。全国52万社あるとされる建設業者だが、淘汰の波は地方の中小ゼネコンから下請けまで拡がり、建設業への依存度の高い地域ほど地元経済に大きな影響を及ぼすとみられる。



新卒者の約6割が来春就職内定

就職情報サービス会社のディスコの調査によると、5月1日現在で来春就職予定大学生の63.0%が内々定を得ていることが分かった。学生1人が内々定を得た社数は平均2.1社となっている。同社では、「景気の減速感から採用が厳しくなると予測した学生が就職活動を早い段階から行った」ものとみている。大企業での採用選考がほぼ一段落し、今後は人材不足に悩む中小企業での採用が本格化するものとみられる。



過労自殺、2年連続で最悪を更新

厚生労働省のまとめによると、過労などが原因でうつ病などの精神疾患に陥って自殺し(未遂を含む)、2007年度に労災が認定された人は81人に上ることが分かった。前年度より15人も多く、2年連続で過去最悪を更新。自殺を含む精神疾患による労災認定者数は前年度比3割増の268人に達した。精神疾患の労災認定者を年代別にみると、30代が最多で、20代と40代が続いた。また、認定された人の約4割が1ヶ月80時間以上の残業時間だった。また、精神疾患以外に、脳梗塞や心臓疾患で労災認定された人も過去最悪の392人に達した。



公立校の図書室蔵書は不足ぎみ

文部科学省のまとめによると、本年3月末時点で、学級数に応じて揃えるべき標準冊数を達成している公立学校図書館は、小学校で42.0%、中学校で36.8%と、半数以上の公立学校で蔵書数が不足していることが分かった。学校図書の購入費は地方交付税で配分されているが、使途が限定されていないため、財政難の自治体が他の事業に回している実態が浮き彫りになっている。



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