社会・経済のうごき@しんぶん
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2008年06月10日号

景気への不安要因が増し、先行き懸念

政府が発表した主要経済指標によると、4月の完全失業率は前月比0.2ポイント上がり4.0%に上昇、有効求人倍率が前月比0.02ポイント下がり0.93倍に下落、鉱工業生産指数も前月比0.3%下がり、106.2に低下、さらに家計消費支出は前年同月比2.7%の減少となるなど、日本経済の先行き懸念が強まっていることを裏付けた。資源・食品価格の高騰が企業と家計部門ともに弱含みに陥れている実態がある。大田経済財政担当相は、「原材料価格が上がるだけの物価上昇は、いずれ企業収益を圧迫し、賃金上昇に結びつかない」として、先行き経済への影響を懸念する考えを示している。



アメリカの倒産件数、48%もの大幅増に

米民間調査会社のジュピター・イーソーシズによると、今年1-4月に裁判所に申請した倒産件数は1万8千件を超え、前年同期比で48%もの増加になったと発表した。景気低迷を背景に、レジャーやホテル、小売業といった内需型企業は客足が遠のき資金繰りが悪化しているほか、原油高騰のあおりを受けた航空会社の破綻も目立っている。同社では、「景気低迷や金融不安による信用収縮もあって、年内は企業倒産が高水準で続く」とみている。



消費者の節約指向は一段と強まる

内閣府の外郭団体である日本リサーチ総合研究所が行った「今後1年の消費と貯蓄の見通し調査」によると、今後1年間の消費支出を「減る、または節約したい」とする向きが43.5%にも上り、前回調査の昨年10月の40.4%を上回る結果となり、消費者の節約志向が強まってきていることが分かった。支出が減る理由でも、「給与や事業収入が伸びない」が56.7%で最も多く、次いで「物価が上がった」が52.9%となった。同研究所では、「所得が伸び悩む一方で生活必需品の値上げが相次ぎ、家計への圧迫感は厳しさを増している」とみている。



長寿家電品の劣化での事故に注意喚起

経済産業省は長期間使用した家電製品の劣化による事故を防止するため、注意喚起を呼びかけるチラシを全国世帯に配布すると発表した。普及台数の多いブラウン管テレビ、扇風機、換気扇、洗濯機、エアコンの5製品についてそれぞれ注意症状を挙げて注意を促すことにしている。



コメ・小麦、今後10年は高値で推移

経済協力開発機構(OECD)と国連食糧農業機関(FAO)がまとめた「2008年版農業アウトルック」よると、現下の食糧価格高騰は来年かけて一旦収束するものの、新興国の需要拡大と原油高、バイオ燃料向け穀物需要といった構造的な要因が定着して、今後10年間は高値で推移していくと分析している。今後10年の穀物の平均価格は、小麦で4割強、コメは3割強上がると予想している。



一般ゴミは1.3%減少、95年度水準

環境省の調査によると、2006年度の家庭ごみなどの一般廃棄物の総排出量は前年度より1.3%減少の5202万トンとなり、11年前と同じ水準になることが分かった。総排出量のうち、資源として再利用された量は前年度比1.8%増加の1021万トンに達し、リサイクル率は過去最高の19.6%になった。リサイクル率が最も高かった市町村は長野県清内路村で93.3%にまで達する。1人1日あたりのゴミの排出量は前年度比1.4%減少の1115グラム。同省では今回のごみ減量とリサイクル率の高まりを受け、2012年度に目標としている5千万トンは「達成できる」とみている。



気象庁、都市部ほど気温上昇を実証

気象庁は、1936年-2007年の全国62地点の気温データを分析したところ、郊外地より都市部の気温が高くなる「ヒートアイランド現象」を実証した調査結果をまとめた。年を追うごとに都市化の進む地域ほど最低気温が0度未満の「冬日」が減少する一方、同25度以上の「熱帯夜」の増加していた。東京・京都・名古屋・横浜の都市では、1940年代に冬日は50日以上あったが、80年代以降は10日を下回っていた。



少子化対策に1.5-2.4兆円が必要

政府の社会保障国民会議は、少子化対策で国・地方合わせて1.5-2.4兆円の追加支出による支援が必要との考えをまとめた。同会議では、「出産や育児などにかける費用の国内総生産(GDP)に占める割合は欧州に比べて著しく低い」として、保育所の入所基準の緩和、放課後に児童を預かる児童クラブの開業時間の拡大などの公共サービスが必要との考えを示した。また、育児を抱える労働者への短時間労働適用することの企業からの子育て支援策も求めている。



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