社会・経済のうごき@しんぶん
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2008年04月30日号

世界の輸出が急速に減少し、景気減速へ

世界貿易機関(WTO)が発表した2007年世界貿易統計によると、モノの実質輸出の伸びは前年比5.5%となり、06年の8.5%から大幅な減少となった。輸出減速の背景には、先進国での輸入が鈍化したことによるもので、事実、米国と日本の実質伸び率が1%、欧州連合(EU)が3%にとどまっている。同機関では、08年は4.5%までさらに減少すると見ている。貿易縮小は世界景気への下支え効果が弱まり、景気減速の要因ともなりかねない。国別の輸出額をみると、中国が前年比26%増の1兆2180億ドルに達し、米国を抜き世界第2位に躍進し、ドイツはユーロ高によるドル換算でのかさ上げ効果も手伝って1兆3270億ドルで世界1位を堅持した。日本の輸出額は7130億ドルで世界4位。



企業で働く65歳以上高齢者は209万人

総務省の2007年労働力調査によると、企業で働く65歳以上の高齢者は前年度比15%増加の209万人に達していることが分かった。07年の平均雇用者は5174万人で、前年比2%増加しているが、高齢者雇用の伸び率がこれを大幅に上回っており、「年金受給年齢にも達しているが、働き続けたい」とする高齢者が多いことを裏付けた。政府は、人口減少社会の中で労働力確保に寄与する高齢者層への支援策として、現在フリーター対策として行っている「ジョブカード」を09年度から60歳以上にも拡大し、職業訓練と転職支援を行う考えだ。



法人取引停止の負債額は7年ぶり増加

全国銀行協会は、2007年度の法人取引停止処分者の負債総額が前年度比12.2%増加の1兆2299億円に達したと発表した。手形の不渡りなどで銀行との取引が停止となった法人の件数は5255件で前年度より1.1%減少したものの、負債総額が大幅に伸びた背景には、負債金額10億円以上の大口法人の取引停止が30.1%増加し、全体の負債金額を押し上げた。取引停止の原因として「売り上げ不振」(48.2%)が最大のウエイトを占め、次いでコスト高・採算悪化等(11.5%)、高利金融(7.1%)の順であった。



コメが高騰で、アジアにインフレ懸念

コメの国際価格の指標となるタイ貿易取引委員会の輸出価格が最近1ヶ月で約1.5倍に急上昇。この1年では約2.5倍にまで跳ね上がってきており、アジア域内でのインフレ懸念が強まってきている。深刻なコメ不足に悩むフィリピンがベトナムからの輸入価格を高値で契約したのに加えて、インドや中国が輸出禁止したことがコメ高騰の要因となっている。コメを主食とするアジアやアフリカの一部の国では貧困層を中心に抗議活動や暴動も発生しており、社会不安も高まってきている。



育児休業等は企業のコスト削減に

内閣府の専門調査会はワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に取り組む企業にインタビュー形式で調査を行った結果、育児休業や短時間勤務制度を整備し、女性社員が出産後も働き続けられれば、大企業では社員1人当たり22万円、中堅企業で16万円のコスト削減ができるとの試算を発表した。試算では、出産を契機に退職した社員に対する給与相当分と、新たに補充採用する社員にかかる採用と研修費などのコストの収支を計算したもので、育休制度がコスト削減に役立つと企業にアピールしている。



約9割が「家族の絆は弱くなっている」

読売新聞社が行った「家族観に関する意識調査」によると、89%の人が「家族の絆やまとまりが弱くなってきている」と意識していることが分かった。前回調査の3年前と比較して「弱くなってきている」と見ている人が5ポイントも上昇し、とくに70代以上の階層では93%にも達していた。その一方、「現在の自分の家族や家庭への満足」を尋ねると、87.2%が「満足している」と答えている。



全国の半数の病院で「院内暴力」

社・全日本病院協会が全国の会員病院を対象にした初めての実態調査で、医師や看護婦・職員が患者や家族から「暴言や暴力を受けた」という院内暴力が51.8%の病院で起きていたことが分かった。院内暴力の内訳をみると、「暴言など精神的暴力」が最多の49.9%、次いで「殴られたりした身体的暴力」が33.6%、「セクハラ」が13.6%となっている。院内暴力を警察に通報したのは僅かで約6%にとどまっている。同協会では、「患者や家族は心身的に弱っており、普通の精神状態でないと認識しているが、病院は毅然とした態度で臨むべき」としている。



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