社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2008年05月13日号

欧米ともに、景気減速の懸念強まる

欧州連合(EU)の欧州委員会は、2008年のユーロ圏での実質成長率を2.2%から1.7%に下方修正する一方、物価上昇率を2.1%から3.2%に上昇修正した。原油と食料品価格の急激な上昇で消費需要を冷え込み、経済成長が鈍化し、景気減速感が拡がり出した。また、全米の民間景気予測会社約50社の1-3月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比0.1%とほぼゼロ成長を見込み、景気後退の懸念があるとしている。住宅市場が不振なのに加え、金融不安やガソリン価格上昇で、個人消費が低迷している。欧米の景気減速は世界経済を後退させかねない要因を含んでいる。



自動車輸出割合、22年ぶりに最高を更新

日本自動車工業会は、2007年度の自動車輸出が前年度比10.4%という大幅な伸びを示し、国内生産台数1119万台に占める輸出割合が過去最高となる57.4%に達したと発表した。1985年度以来22年ぶりに自動車輸出が最高を更新した。国内での自動車販売は不振が続いているが、中近東(前年度比43.1%増)やアジア(同28.6%増)向けの輸出が大幅に増えている。アメリカ向け輸出は、2.8%減少した。



3月の住宅着工戸数、15%減少に

国土交通省は、3月の住宅着工戸数は前年同月比15.6%減少したと発表した。9ヶ月連続の減少。昨年度は、改正建築基準法の施行によって、厳格な建築確認により着工件数が大幅に減少したものの、今春からはその影響も薄らぎ、住宅着工戸数が増加に転じ、景気の底上げ期待があったが、大きく落ち込んだ。同省では、減少した要因を「改正法の影響に加えて、国内外の金融情勢、鋼材価格の高騰、住宅会社での分譲住宅の在庫増など響いた」とみている。



非正規社員の割合は33%に

総務省は、雇用者に占めるパート等の非正規社員は2007年10-12月平均で約33%を占め、10年前と比較して約10ポイント増加したと発表した。飲食店・宿泊業・卸小売業といった労働集約型産業での非正規社員の雇用が高くなっている。また、非正規社員の賃金は07年平均19万2900円で、正規社員の31万8200円のほぼ6割程度となっている。差別的な雇用管理を禁じたパート労働法の厳格な適用指導が今後見込まれる。



ふるさと納税スタートで、自治体PR活発

地方自治体に寄付した場合に住民税からの税額控除ができる「ふるさと納税」が可決成立したのを受けて、財政難で苦しむ自治体は、地元出身者からの寄付に期待を込め、自治体ホームページに専用コーナーを設けたり、職員がリーフレット持参で県人会や同窓会に説明に赴くなどPR活動を活発化させている。「ふるさと納税」は5千円を超えた寄付から税額控除が適用され、例えば4万円寄付すると、5千円を差し引いた3万5千円が控除対象となり、うち3500円が所得税控除として還付され、残りの3万1500円は住民税の税額控除として、翌年差し引かれる仕組み。



北京五輪特需は過去の五輪に及ばず

第一生命経済研究所は、北京五輪の期間にあたる7-9月期の個人消費の押し上げ効果(特需)は3454億円との試算になると発表した。1996年のアトランタ大会以降では最低。同研究所では「食料品の相次ぐ値上げなどで家計の節約志向が強まり、薄型テレビなど関連商品の売上げが伸び悩む」とみている。三菱UFJ証券の景気循環研究所も「今回の五輪特需は空振りに終わる可能性がある」との厳しい見方を示している。日本の代表選手の活躍次第では北京五輪特需が起きる可能性も否定はできない。



成人の5.6人に1人が糖尿病の疑い

厚生労働省の2006年国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる人とその可能性が否定できない人の推計合計人数が1870万人に上り、成人の5.6人に1人が糖尿病の疑いがあることが分かった。調査は無作為抽出した1万8千人の血液検査や運動調査などを行い、集計分析したもの。血液中のヘモグロビンの値が高く糖尿病が強く疑われると思われる人が約820万人、同数値がやや下回った糖尿病の可能性が否定できない人が約1050万人だった。02年の調査より約250万人増加している。現在、糖尿病で実際に治療を受けている患者が約246万人いると推計されており、今回の調査で今後おびただしい患者数の増加が懸念される。



トップへ