社会・経済のうごき@しんぶん
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2008年03月11日号

外貨準備高が初めて1兆ドルをとっぱ

財務省は、2008年2月末現在の日本の外貨準備高が1兆79億ドルとなり、初めて1兆ドルを突破したと発表した。過去に円高阻止のために円売り・ドル買い介入したことで巨大なドル資金を抱え、その後、そのドル資金を米国債などで運用してきているため、運用益が膨らみ続けてきていた。政府が円高阻止などで市場介入する場合に必要な資金を、政府短期証券(FB)を発行して金融機関から調達してきており、我が国の外貨準備高が増えることは取りも直さず負債も増えることに他ならない。加えて、ドル安が進めば、円換算での資産が目減りし、国家の財務体質が悪化しかねない側面をはらんでいる。



サブプライム損失、世界で20兆円を超す

米財務省は、世界の金融機関が抱えるサブプライム関連の損失は20兆7千億円に達したとの集計結果とともに、その9割が米欧に集中していると発表した。このため、米連邦準備理事会(FRB)は金融機関に資本増強を促し、貸し渋りを阻止する姿勢を打ち出している。また、欧州連合(EU)の財務省理事会は、「サブプライムローン関連の損失は今年の年末まで一段と拡大する恐れがある」とする金融報告書を採択し、長期に亘り連鎖的な拡大への警鐘を鳴らした。



農水省が小麦製品価格の転嫁を要請

農林水産省は、小麦価格が高騰し続けている問題で、小売業界に対して「小麦価格の上昇を製品に適切に反映する」ことを求める要請書を通知した。関係する省庁が製品価格への価格転嫁を業界に要請するのは異例ともいえる。小麦は輸入の全量を政府が買い付けて製粉会社に売り渡しているが、その売り渡し価格を昨年4月に1.3%、10月に10%それぞれ引上げ、そして今年4月には30%引き上げるとしている。同省事務次官は「国際価格が上昇している場合に製品価格の見直しは止むを得ない」とした上で、「価格転嫁が行われない場合、消費者にとって中長期的に不利益になる」との見解を示した。



中小企業の収益環境は一段と悪化

中小企業金融公庫がまとめた「2月の中小企業景況調査」によると、利益額が「増加した」企業の割合から「減少した」企業の割合を差し引いた指数(DI)はマイナス8.4となり、前月比6.2ポイントも下落し、中小企業の収益環境が悪化していることを示した。同調査で、食料品や化学、運送などで、約9割が収益悪化要因を原油高と指摘している。また、商工組合中央金庫の2月調査では、個人消費の低迷で小売業や飲食・宿泊などの採算も厳しいと指摘している。2002年初から始まったとされる現在の長い景気回復局面も転機にあるとの見方も出てきている。



新規住宅ローン、6年ぶりの低水準に

日銀のまとめによると、2007年の国内銀行の住宅ローン新規実行額は14兆8千億円で、前年を10.1%も下回り、6年ぶりの低水準にあることがわかった。住宅価格が上がる傾向にあるのに加えて、日銀の追加利上げ観測が弱まり、「急いで借りて住宅を求める必要がない」との心理が住宅ローン減少につながったとみられる。また、株価下落で富裕層での高額マンション購入を控えたことも影響しているとみられる。



償却年数の改定、4月から即時適用

政府は2008年度税制改正で改定する減価償却制度の法定耐用年数の適用について、制度の猶予期間は置かずに4月開始事業年度から即時適用するとともに、既存設備も対象として適用する方針を固めた。08年度税制改正では、製造設備の法定耐用年数区分を従来の390から55に圧縮し、その耐用年数も実態に合ったものに改定される。新たな制度の施行に当っては、適用範囲や適用時期などが焦点になっていたが、設備投資の促進を図る上から、4月開始事業年度からの適用にするとともに、既存設備も適用対象としたもの。



中国野菜の2月輸入、激減へ

農林水産省の輸入検査実績によると、2月3日-23日の3週間での中国産の野菜輸入量は前年同期比で約4割減の2万704トンとなったことが分かった。中国製冷凍ギョーザの中毒事件発覚以後、激減してきている。品目でみると、キャベツ(前年同期比67%減)やサトイモ(66%減)、ゴボウ(39%)などの大幅な減少が目立っている。



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