社会・経済のうごき@しんぶん
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2008年01月08日号

経団連、今春の賃上げに容認姿勢を

日本経団連が発表した「2008年春季労使交渉の経営側指針」によると、賃上げが消費底上げの材料になると指摘したうえで、今春の賃金決定にあたっては経営側に賃上げを促す内容を盛り込んだ。指針では、「企業と家計を両輪とした経済構造の実現」を意識すべきであり、定率減税廃止などで労働者の実質手取り収入の伸び悩みが続いているのに加え、社会保険料の増大も見込まれることから、「家計の購買力への配慮」をする上で、賃上げを容認する姿勢を示した。ただ、賃上げに当っては、企業の業績改善は賞与や一時金に反映されるのが基本であり、横並びの賃上げは過去のものであるとして、個々の企業の業績に応じた対応を求めている。



欠損法人の割合は66.5%に

国税庁がまとめた「平成18年分税務統計から見た法人企業の実態」によると、法人数は約258万社で、このうち欠損法人割合は66.5%となり、前年比0.6ポイント減少したものの依然厳しい経営環境にあることが分かった。利益計上法人の益金処分のうち、配当支払いが約8兆7千億円で前年比12.3%の大幅増が際立っており、株主重視の姿勢が反映されている。また、交際費は2年連続の増加で約3兆7千億円になった。営業収入金額10万円当たりの平均交際費は247円で、業種別にみると、建設業が551円、出版印刷業が419円、サービス業が375円と高い一方、機械工業が150円、金融保険業が169円、鉱業が179円と低かった。



「役員退職慰労金」ない企業が過半数に

野村総合研究所は、東証上場企業のうち「役員退職慰労金制度」を持たない企業が前年度比11.2ポイント増加し、過半数を超える52.6%に達したと発表した。04年度に89.3%の企業が導入していたが、株主総会で利益処分として処理していたものから、会社法改正により損益計算書で費用計上することになったのを契機に、経営の透明性を意識して制度を廃止する動きが広がっているものとみられる。同研究所では、「役員報酬に賞与の一部を繰り入れる企業が増えたことが減少につながっている」とみている。



小児・産科医師数、大きな都道府県格差

医師不足が深刻な社会問題化している中、厚生労働省は都道府県別に子供と女性それぞれ10万人当たりの小児科と産婦人科・産科の医師数を公表したが、地域間格差が大きいことが判明した。15歳未満の子供10万人当たりの小児科医師数は徳島県が295.2人でトップなのに対して、最下位の岩手県は118.4人と約2.5倍の開きがあった。また、15-49歳の女性10万人当たりの産婦人科・産科の医師数は鳥取県がトップの60.5人で、最下位は滋賀県の26.8人と約2.3倍もの格差があった。



「老後、年金では無理」が82.3%

生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査」によると、82.3%の人が「国民年金や厚生年金などの公的年金で老後の日常生活費をまかなえない」と考えていることが分かった。同センターが3年に1度実施している調査で、前回の2004年調査時点より3ポイント、1993年比で24ポイントも「年金で老後生活はまかなえない」とする否定的な見方が増えている。年金記録問題などで公的年金への不信が高まっているものとみられる。



国・地方公務員人件費は27.5兆円

2008年度予算の政府案によると、国家公務員と地方公務員の人件費総額は前年度より総額で3468億円減額の27兆5352億円となることが判明した。これらの人件費総額は、法人税等の租税収入の53兆円のほぼ半分、社会保障関係費の21兆円や国債費の20兆円の約8割に相当するほどの規模になっている。人件費総額は減額になっているとはいえ、累増する赤字国債や年金財政などを考慮すれば、一段の切込みを求める声が高まってきそうだ。



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