社会・経済のうごき@しんぶん
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2007年11月06日号

08年度税制改正で法人税下げ、見送り

政府・与党は、産業界から強く求められていた法人課税の実効税率引き下げについて、財源見通しがないことから見送る方針を固めた。また、個人所得課税でも課税所得から一定額を控除する所得控除の見直しを検討してきたが、これも見送られることとなった。これまで政府・与党は07年度税制改正大綱の中で、「07年度をメドに消費税を含む税体系の抜本改革の実現」を目指すとしてきたが、消費税率引き上げの時期や規模についての結論が出ていないことから、抜本改革が09年度以降への先送り要因となっている構図を鮮明にした形だ。



個人マネー流入で資産運用ビジネス活況

野村総合研究所の調査によると、株や債権などの投資商品を手掛ける資産運用ビジネスの受託残高が2007年3月末時点で430兆円となり、4年間で倍増していることが分かった。株価の回復を受け、投資信託に個人マネーの流入が加速するのに加えて、財政投融資への預託など政府内で運用していた公的年金資金が投資顧問会社や信託会社への運用委託が進んだものとみられる。国内銀行の預金残高(3月末時点で約530兆円)が横ばいで推移している状況を加味すると、『貯蓄から投資へ』の流れが加速していることが明らかである。



基礎年金の全額税負担なら消費税12%

政府の経済財政諮問会議の民間議員がまとめた公的年金改革に関する試算によると、基礎年金を全て税で賄うとすれば、消費税率は最大で12%に引き上げなければならないと発表した。現在の基礎年金部分については加入者の保険料で賄うことが原則となっているが、基礎年金の財源のうち3分の1は国庫負担(約7.4兆円)しており、今後2009年度までに2分の1まで国庫負担を増やすとしている。試算では、この2分の1国庫負担を行うためには消費税換算で1%の引き上げが必要としている。また試算では、基礎年金給付額を保険料方式ではなく、①全て税で賄う場合は消費税率換算で5%(約12.4兆円)の引き上げが必要で、さらに、②これまで保険料を払っていない人も含めた65歳以上の全ての高齢者に基礎年金を支給すると消費税率7%の引き上げが必要だとしている。



国公立病院の赤字は深刻に

2年に1回、厚生労働省が病院を対象に6月時点での単月経営形態別の医業収入・収支調査によると、2年前と比較して国公立病院の収入は約10%減少の4億1940万円で、収支の赤字額は2倍の約14%に拡大していることがわかった。国公立病院は、地域拠点医療としての役割を担うため、救急をはじめ、産婦人科や小児科といった黒字の出にくい医療分野を受け持っており、費用を圧縮できない状況にある。この調査結果をもとに、中央社会保険医療協議会では、08年度の診療報酬改定に際して、勤務医の負担軽減を図るため、医師や看護師を多く集めたり、医療事務を担当する事務員の増加を図る国公立病院を対象に診療報酬の引き上げるなどの支援策を検討する。



来年度、雇用保険料率は据え置きに

厚生労働省は、2008年度の雇用保険の保険料率を据え置く方針を固め、労働政策審議会に諮問し決定される見通しとなった。景気回復基調にあって雇用改善が進み、保険財政の収支も改善してきており、今年度から保険料率を引き下げている。来年度も雇用が堅調な見通しにあり、同省は法改正なしで変更できる料率の下限に現況があるとして据え置くことにしたもの。



公務員給与、地方が国より11%高い

財務省は、ラスパイレス指数に変わる新たな指数で国と地方の公務員給与を比較したところ、地方公務員給与が国家公務員より11.5%高いと発表した。これまで、学歴と年齢に基づくラスパイレス指数での算出で総務省は国と地方公務員給与に差はないとしてきたが、財務省は学歴・年齢に加えて、役職(職責)を加味する新たな算出法で比較したもの。国を100とした場合、都道府県全体では108.7、政令指定都市全体では120.5となっている。



06年度労働生産性、1.7%上昇

社会経済生産性本部は「生産性年次報告書」で、06年度の日本全体の労働生産性は799万円で前年度比1.7%上昇したと発表した。労働生産性は、従業員1人当りが生み出す付加価値を示す数値で、06年度は製造業が3.3%、情報通信業が3.1%上昇したものの、サービス業では0.6%減少した。同本部では、サービス業の労働生産性を向上させるためには、人材育成と組織形態の変更が必要だと指摘した。



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