社会・経済のうごき@しんぶん
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2007年08月21日号

来年度の公共事業費3%削減へ

経済財政諮問会議は、2008年度予算の全体像を議論し、「骨太方針2006」に基づいた構造改革路線を継続することとして、公共事業費の3%削減、社会保障費の自然増分の2200億円削減、国と地方を合せた公務員人件費を5千億円削減、ODAの3%削減といった財政健全化のための歳出削減策を前面に押し出した。ただ、参院選での自民党惨敗を招いた地方の声に応えるため地方向け歳出の積み増しを求める与党圧力も強いことや、増え続ける社会保障費への切り込みは国民への痛み批判を招きかねないこともあり、来年度予算編成も紆余曲折が予想される。



金融庁への相談・苦情、保険関連が最多

今年4-6月に金融庁の金融サービス利用者相談室に寄せられた相談・苦情のうち、保険関連が全体の38.3%に達し、最多を占めた。保険金不払い問題を契機に、保険会社に対する不信感が依然大きいことを物語っている。保険に関する相談・苦情は4641件で、全相談に占める保険関連の割合は過去最高となった。保険関連以外では、「預金・融資」「投資商品・証券市場制度」「貸金」などの相談・苦情が次いだ。利用相談室に寄せられた苦情は、金融庁や証券取引等監視委員会が事実関係を調査・精査の上、法令違反行為と認定されれば、業者は行政処分されることもある。



法人税率下げ容認も、時期を言及せず

政府税制調査会の香西会長は記者会見で、主要国で最高水準にある日本の法人課税の実効税率に関し「税率を下げて課税ベースを広げる考えが世界的な流れ」と法人税率引下げを容認しつつも、その具体的な時期については明言を避けた。また、今秋に議論を行うとしていた消費税率引き上げについては「詰めた議論にはなっていない」と尚早的な見解を示した。さらに、勤続年数が長いほど控除額が大きいとされる退職金課税について課税強化を行うとともに、雇用流動化が進む社会構造の変化に対応した中立的な税制に改める必要があると指摘し、退職金課税が今秋の税制改正論議の焦点になる考えを示した。



温暖化ガス、公約達成は困難に

政府は2010年度の温暖化ガス排出量が1990年比0.9%増加するとの見通しを発表し、京都議定書で公約した1990年比6%削減には到底及ばない情勢となった。6%削減の公約達成のために、政府は1.6%分を発展途上国などの海外からの排出権を購入し、3.8%分を森林整備による温暖化ガス吸収効果でカバーする方針だが、これらを差し引いても目標達成まで2千万トン超の追加削減が必要となってくる。この追加削減をさらに海外からの排出権で賄うとすると、660億円-1100億円が必要となり、温暖化ガス排出業者が負担する「環境税」の導入が現実味を帯びてきた。



海外在留邦人数は過去最高の106万人

外務省は、2006年10月1日現在で、海外永住もしくは3ヵ月以上の長期滞在をしていた日本人は106万3695人となり、前年同期比5.05%増加し、過去最高になったと発表した。永住・滞在先は、米国が約37万人の最多で、次いで中国が約12万人、ブラジルとイギリスが約6万人となっているが、中国が9.15%と大幅な増加となっている。



肥満は医療費増大で、財政に悪影響

京都大学の古川研究員らの研究チームは、食べ過ぎや運動不足などで肥満になり、糖尿病治療にかかる年間医療費は平均的な人と比較して2.5倍、さらに高血圧では同1.3倍に増加すると発表した。体重が男性で約20kg、女性で約17kg増えたBMI(体重を身長の2乗で割った数値)が30の人が費やす糖尿病医療費は22.7万円、高血圧の医療費は6.5万円だった。同研究チームは、「肥満は健康だけでなく国家財政や家計にも悪影響を及ぼし、将来の財政負担軽減のためにもダイエットを」と呼び掛けている。



HIV新規感染者、過去最高

厚生労働省のエイズ動向委員会は、本年4月2日から7月1日までの4半期に報告されたエイズウィルスの新規感染者は270人となり、4半期ベースでは過去最高を記録したと発表した。男性251人、女性19人で、同性間の性的接触による感染が182人、異性間の性的接触が54人だった。「感染そのものが拡大している」と同委員会でみており、積極的な予防と検査を呼び掛けている。



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