社会・経済のうごき@しんぶん
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2007年05月29日号

国の事務の7割を地方へ移管を

政府の経済財政諮問会議は、登記や農業農村整備などの国が地方で実施している91事業のうち約7割に相当する61事業を地方自治体に移管し、地方分権を加速するよう求めた民間議員からの提言をもとに具体策の検討に入った。これら国の出先機関での事務を自治体に移管することで、国家公務員の3分の1にあたる10万人が削減できると試算している。



医師の偏在で医療格差が顕著に

「都市と地方」「開業医と勤務医」の偏在による「医師不足」が深刻化している。厚生労働省の04年調査によると、人口10万人当たりの医師数が最も多いのは東京都23区中央部で1190人なのに対して、最も少なかったのは宮城県黒川地域の45人となっており、地方ほど患者の受診機会が少ない実態にある。また、勤務医は1998年から2004年にかけ7%増の16万4千人となったものの、開業医は同時期で11%増の9万3千人で、開業医の増加が目立っている。また、05年6月の月額報酬でみると、開業医は平均229万円に対し、勤務医は96万円となっており、過酷な勤務を強いられ、報酬も低い勤務医を避ける医師が増えている実態が、医療格差を生んでいる。



地方中小企業での倒産が増加

東京商工リサーチによると、2006年度中に銀行取引の停止処分を受けたり、破産や民事再生などの法的手続きを申請した倒産件数は前年度比1.2%増の約1万3千件に及んだことが分かった。5年ぶりの増加に転じたが、負債総額は11%減少している点を考慮すると、景気回復の浸透が遅れている地方小規模企業の倒産が増えたとみられる。また、帝国データバンクでは、開業30年経過している「老舗倒産」が全体の3割を占めている点に着目し、「後継者難から事業再建を放棄した」とみている。



改正パート労働法案が成立

労働条件を明示した文書の交付等を事業主に義務付けるとともに、パート労働者と正社員の差別待遇を禁止することなどを盛り込んだ改正パートタイム労働法が5月25日成立し、来年4月から施行されることになった。同法案は、賃金や教育機会、福利厚生施設利用などに関して正社員と同等な扱いを求め、違反の場合は過料が課せられる。



裁判員制度の裁判員日当は1万円

最高裁啓示規則制定諮問委員会は、裁判員制度で裁判員となる市民に支払う日当を上限で1万円程度とする規則案を答申し、最終的には6月の裁判官会議で正式決定される。また、日当以外では、裁判所までの交通費について、最も経済的な経路分を支払うとし、宿泊が必要とみとめられる場合は、国家公務員規定に準じて、1泊8700円~7800円を支給すべきだと答申した。



厚生年金未加入は6.3万事業所に

社会保険庁の調べによると、正社員を雇用する全ての法人に加入が義務付けられている厚生年金保険法だが、加入義務にあるのに関わらず加入していない事業所が6万3千事業所に上ることが判明した。未加入割合は約4%で、同庁では事業所の責任者を呼び出したり、個別に訪問し加入を促すことにしている。調べでは、従業員から厚生年金保険料として給与から天引きしているにも関わらずに納入しない「横取りケース」もあった。



今夏は、「酷暑」と「水不足」の予想

気象庁は、今夏はラニーニャ現象の影響で全国的に平年を上回る高温になるとともに、渇水になるとの今年6月~8月までの天候見通しを発表した。ラニーニャ現象は日本近海の太平洋高気圧を強め、気温を上昇させる。3か月間の平均気温が平年を上回る確率は東日本・西日本・南西諸島で50%、北日本でも40%と高めとなっている。一方、降水量は平年並みと見られるが、今春の降水量が四国や東海地方などで平年の半分になったこともあり、同庁では「渇水になる恐れがある」とみている。目となっている。



個人情報流出、昨年の2.5倍に

特定非営利活動法人(NPO法人)の日本ネットワークセキュリティ協会は、2006年の国内情報漏えい事件の調査結果で、流出した個人情報は、前年の2.5倍増の2223万人分に上ったと発表した。同協会がインターネットのニュースなどで公開された情報をもとにした調査で、漏洩の原因は記憶媒体の紛失・盗難が約5割に上り、ファイル交換ソフトの悪用によるものが約2割弱となっている。単純に計算すると、国民の5-6人に1人が被害にあっている計算になり、情報管理体制の強化が求められる。



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