社会・経済のうごき@しんぶん
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2007年03月27日号

国の借金、過去最大を更新

財務省は2006年末時点での国債や借入金などの「国の借金」は832兆2631億円となり、依然、過去最大を更新していると発表した。年間予算の約10倍、国内総生産(GNP)比で約1.6倍にも相当する。3ヵ月ごとの統計発表だが、前回の06年9月末時点より4兆3千億円増加している。赤ん坊から老人までの国民1人当たりに換算すると、約651万円となる。国の借金の約82%を国債が占めているが、今後、長期金利上昇によっては、利払い費の増加圧力で、さらに国債は膨らみ続けかねない状況にあって、歳出削減か増税かの選択が迫られることになりそうだ。



国内粗鋼生産、過去2番目の高水準に

日本鉄鋼連盟は、2006年度の国内粗鋼生産が、7年連続で1億トンを上回り、過去2番目の高水準になるとの見通しを発表した。これは、07年2月までの11ヶ月間での生産量が1億748万トンに達し、この3月も自動車用などの高級鋼材や建築資材などが好調なことから、過去最高だった1973年度の1億2千トンを上回るとの予測に基づいたもので、景気改善傾向を裏付けている。



家計の資金余剰が企業を上回る

日銀は、2006年の資金循環統計で、家計部門の資金余剰金が大幅に増えて、企業部門を6年ぶりに上回ったと発表した。景気回復感のある企業が投資に前向きで資金調達を増加させたことが主因とみられる。家計部門の資金余剰額は前年比2.7倍の17兆円にも及んでいるが、金融資産残高が過去最高になるなどしている状況から見て、借入れには依然慎重で、投資信託や国債購入などに向けている側面が伺える。家計と企業の資金余剰額の逆転現象についてエコノミストは、「貯蓄超過の家計から、設備投資など借入れが必要な企業に回り始めたマネーの正常化現象へとシフトした」とみている。



公示地価、16年ぶりに上昇に

国土交通省は、2007年1月1日時点での公示地価が住宅地と商業地を併せた全国平均で前年比0.4%上昇し、16年ぶりにプラスに転じたと発表した。地方圏では2.8%の減少になっているのに対して、東京都の商業地が14%も上昇するなど3大都市圏では3.8%上昇し、都市圏がけん引している構図となっている。バブル崩壊後、16年ぶりに「土地デフレ」から脱却した。ただ、公示地価の評価を担当した土地鑑定委員会の鎌田委員長は「上昇の著しい地域では、利便性や収益性で合理的に説明できない事例も散見される」として、バブル再来のような土地取引の過熱に警戒感を表している。



高齢者の外来診療を定額制に

厚生労働省は、75歳以上の高齢者を対象に、2008年4月から、同一の病気で外来診療を受ける場合に、検査や投薬の数量に関わらず、医療費を定額とする「包括払い方式」を導入する方針を固めた。現行の診療報酬は、検査や投薬などのそれぞれの単価を積み上げて算定する仕組みだが、医療機関が報酬を増やすために、不要な検査や投薬が行われるなどの過剰診療を生みやすい環境にあり、定額制で無駄な診療を抑制できるとしている。75歳以上の後期高齢者の医療費が40代の5倍以上という実態にあり、後期高齢者世代への医療費過多が指摘されてきていたが、定額制には医師会などからの反発も予想される。



飲酒違反歴者に自動車装置の義務

政府は、飲酒運転での違反歴がある人の車に、アルコールを検知するとエンジンがかからなくなる「飲酒運転防止装置」を備え付けることを義務付ける方向で検討を開始した。装置は「アルコールインターロック」と呼ばれるもので、シートベルトに検知器を装置し一定のアルコール量を検知するとエンジンが始動しないもの。関係省庁を交えた検討会では、装置1台約20万円の設置費と1ヵ月当たり1万円の整備費がかかるとの見通しで、その負担方法や装置義務期間などが話し合われている。政府は、2008年通常国会に道路交通法改正案として提出する方針だ。



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