財務省が発表した7-9月期の法人企業統計によると、企業の人件費は前年同期比4.4%増と約9年ぶりの高い伸びとなっていることが分かった。雇用増加や賃上げによる人件費増と見られ、今後、本格的な景気回復の目安となる消費支出を押し上げる可能性が出てきたといえる。とくに、人件費のうち、従業員給与は前年同期比6.4%増で、92年4-6月期以来、約14年ぶりの伸び率なっている。また、日本経済研究センターが法人企業統計をもとに、企業が生んだ付加価値のうち労働者に回った、いわゆる労働分配率を試算したところ、前年同期比0.2ポイント上昇し、労働分配率にも下げ止まりが見られると指摘している。
今後、団塊世代の大量退職後の人手不足感も広がってきており、ニッセイ基礎研究所では、「パートなどの正社員化も加わって、来年にかけての賃金上昇がみられれば、個人消費は底堅く推移する」とみている。
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