社会・経済のうごき@しんぶん
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2006年12月12日号

人口の2%が「世界の富」の半分以上所有

国連の調査機関である国連大学世界開発経済研究所の調査によると、世界の成人人口の2%が「世界の富」の51%を所有していることが分かった。南北問題ともいえる、地球規模での豊かさに格差があることを浮き彫りにした。「富」は預貯金や不動産などの資産から負債を差し引いたもので、「世界の富」の総額は125兆ドルで、国内総生産(GDP)の約3倍。1人当たりの「富」の平均は2万6千ドル(約306万円)だが、日本は18万1千ドル(約2136万円)で、2位のアメリカの14万4千ドルを抑えてトップに立った。



東アジアの経済成長は7%成長に減速

アジア開発銀行は、日本を除く東アジア地域の2007年の経済成長は、今年より0.7ポイント低い7%になるとの予想を発表した。同銀行の成長見通しは中国・韓国・台湾・香港・アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国を対象にまとめたもの。連年2ケタ成長を遂げてきた中国は、国内投資の加熱抑制に向けた引き締め策の影響で、約1ポイント低下の9.5%に止まり、韓国も国内消費や投資の減速・欧米への輸出不振などを背景に4.6%に止まると見ている。



雇用増で人件費、9年ぶりの高い伸び

財務省が発表した7-9月期の法人企業統計によると、企業の人件費は前年同期比4.4%増と約9年ぶりの高い伸びとなっていることが分かった。雇用増加や賃上げによる人件費増と見られ、今後、本格的な景気回復の目安となる消費支出を押し上げる可能性が出てきたといえる。とくに、人件費のうち、従業員給与は前年同期比6.4%増で、92年4-6月期以来、約14年ぶりの伸び率なっている。また、日本経済研究センターが法人企業統計をもとに、企業が生んだ付加価値のうち労働者に回った、いわゆる労働分配率を試算したところ、前年同期比0.2ポイント上昇し、労働分配率にも下げ止まりが見られると指摘している。
今後、団塊世代の大量退職後の人手不足感も広がってきており、ニッセイ基礎研究所では、「パートなどの正社員化も加わって、来年にかけての賃金上昇がみられれば、個人消費は底堅く推移する」とみている。



1時間単位の有休取得の新制度が

厚生労働省は労働政策審議会に提出する最終報告案で、有給休暇を1時間単位で取得できる制度を新設する方針を明らかにした。現行での有給休暇取得は、同省の通達で最短半日単位での取得しか認められておらず、育児や介護などの取得を確保するとともに、有休の取得率向上を図る狙いがある。しかし、1時間単位での取得については、有給制度が健康維持のための休息という制度本来の趣旨と矛盾することから、その整合性は図るうえから、1時間単位の取得には法定労働時間(1日8時間)で最大5日分に限るとしている。



保証付き融資が増加傾向に

2006年4-9月期の全国の信用保証協会による保証付き融資の保証承諾額は前年同期比8.2%増の6兆7千億円となり、2年ぶりに前年同期を上回った。保証付き融資が増加に転じた背景には、企業業績回復に伴う設備投資の借入れが増えたことに加えて、今年4月から企業の経営体力に応じて保証料率を変える新しい制度がスタートし、企業で利用しやすくなったことが影響しているとみられている。中小企業庁は「年1.35%で一律だった保証率が、企業の体力や信用度で0.5%-2.2%の9段階になったことで、過去に保証が受けられなかった企業が高めの保証料率を支払えば借りられるようになったことに加えて、経営者以外の連帯保証人が原則不要になったことも伸びた大きな要因」とみている。



働く女性の半数が「管理職志向」

リクルートの調査によると、働く女性の約半数が管理職志向を持っていることが分かった。年収130万円以上の20-49歳までの東京都と周辺3県の女性を対象にした調査。既に管理職になっている女性を含め、「機会があればぜひ管理職に就きたい」と考えている人が21.5%、「機会があれば検討したい」人が28.1%で、合計49.6%が管理職に意欲を持っている結果となった。管理職積極派の女性に理由を尋ねたところ、「自分が成長できる」が最多で、「大きな仕事に挑戦できる」との回答が寄せられた。



米財務次官、「日本はデフレ終わった」

アダムズ米財務次官は会見で、「個人消費には疑問符があるが、設備投資と輸出が景気をけん引し、回復は時間の問題。多くの指標を見ると既に日本のデフレ局面は終わっている」と、日本経済への見解を示した。



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