社会・経済のうごき@しんぶん
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2006年10月24日号

育児休業中の賃金に雇用保険で上乗せ

厚生労働省は、育児休業の取得率を引き上げる上から、育休を取る社員に対して企業が経済的支援を行った場合に、雇用保険の財源で賃金の上乗せ助成を行う新たな支援制度を2007年度から実施する方針を固めた。現在、雇用保険には「育児休業基本給付金」があり、育児休暇を取る社員には原則4割の賃金が補償されているが、これに企業が3ヵ月以上の経済的支援を行う場合、雇用保険から大企業には企業が負担した分の半分、中小企業には3分の2を助成するというもの。例えば、月給30万円の社員が育休を取る場合は、現行の4割の12万円が補償されるのに加えて、企業が6万円上乗せ支給した場合、大企業へは3万円、中小企業へは4万円が加算助成される仕組みとなる。



地方税の回収不能額、26%増加

総務省の調査によると、地方税の滞納税額のうち地方自治体が「回収不能」と判断した不能欠損額が2004年度に2261億円に上り、回収不能とみなされる法定期限から5年経過前の1999年度と比べ約26%増えたことが分かった。04年度の不能額は都道府県が704億円であるのに対し、市町村が1557億円と、市町村税の回収不能額は5年間で1.4倍に増えている。回収不能と判断した理由では、6年間の平均で死亡や廃業が47%と最多で、時効が30%、生活保護などが23%となっている。厳しい地方財政に加えて、07年から国から地方への本格的な税源移譲により、自治体が徴収すべき地方税が増えようとしているなかで、自治体の徴税強化が課題となってくる。



地方公務員の特殊勤務手当、660億円

会計検査院が公表した地方財政に関する検査報告によると、総務省が強く見直しを認めていた地方公務員の特殊勤務手当が2004年度で約660億円に上ることが分かった。また、同検査では、結婚祝いや旅行費用助成などの福利厚生のための補助金も600億円強に達していることが判明し、無駄遣いに対する批判が強まる可能性が出てきた。総務省では、①国家公務員にない手当(今回検査での判明額 289億円)、②給与などとの重複(同 117億円)、③日割りなどが適当であるのに月額支給されている手当(同 261億円)を見直すよう自治体に求めていたが、改善には至っていない状況を露呈した検査結果となった。



ファーストフード店で借りすぎ注意広告を

全国銀行協会は、11月から「借りすぎにご注意を」と、ハンバーガー店などのファーストフード店に広告を出すなどして、多重債務者の発生を防ぐキャンペーンを展開する。消費者金融と業務提携関係にある大手銀行もあることから、銀行協会としても自己破産などを抑制する運動に取り組むもの。同協会では、「ローンは返済完了までの計画を立てて利用する」といった消費者が注意すべき点を列挙した広告を出すとともに、偽造カードや振り込め詐欺などの金融犯罪防止運動も併せて行うとしている。



派遣社員、常勤者の12.4%に

厚生労働省の「2006年就労条件総合調査」によると、派遣社員を受け入れている企業では、正社員などの常勤労働者に対する派遣社員の割合は12.4%となり、前回調査の1998年より6.6%も上昇し、派遣社員受け入れが増加していることが分かった。また、派遣社員1人を受け入れるため企業が派遣会社に支払う費用は1ヵ月約23万円で、前回調査より約2割減少していることも分かった。派遣費用の低下と派遣社員の増加は、これまで派遣労働は通訳や秘書業務など専門性の高い分野に対象が限定されてきたものが、99年に派遣業種が自由化され、賃金が安い専門性の低い分野に派遣社員が入ってきたためとみられる。



中小企業での人手不足感が鮮明に

商工組合中央金庫の「中小企業の雇用・賃金動向調査」によると、人手不足と回答した企業は全体の24%に達し、過剰と回答(7%)した企業を大幅に上回っていることが分かった。また、2006年度の賃金計画でも、7割超の企業が賃金を引き上げるとしており、待遇改善による社員の確保を図る姿勢もみられた。人手不足の企業での対応策は、正社員の中途採用(複数回答54%)と最も多く、既存社員の時間外勤務の増加(36%)、1人当たりの賃金の増加で必要人員を確保(33%)との回答が寄せられた。パートタイムや派遣社員などの非正規社員の増加で対応すると答えた企業より、正社員の採用を増やそうと考えている企業が多いことが際立ち、人手不足解消が今後の中小企業の大きな課題となりそうだ。



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