社会・経済のうごき@しんぶん
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2006年11月14日号

輸出企業、為替レートを円安へシフト

輸出企業は9月中間決算発表を機に、3月期通期の業績見通しの前提となる想定為替レートを円安に修正する動きが目立っている。対ドルでは従来1ドル=110円程度としていたものを115円前後にするとともに、対ユーロでは1ユーロ=135円程度から145円前後へと見直している。円安への修正は、外貨で得る収益が円換算の際に膨らむため、業績の実態とのギャップを解消するのが狙い。トヨタ自動車は為替が1円円安変動すると利益は350億円が増加する。



労災隠しに社保庁から情報提供

厚生労働省は、来年度から、業務上のケガでありながら、労災を届け出ずに健康保険で受診治療した労働者の情報を社会保険庁から提供を受け、労災事故を隠そうとする事業所の調査に活用する方針だ。法令違反の発覚を恐れる事業主が労基所に労災を届けず、ケガをした労働者に口止めし、健康保険での受診を強制する労災隠しが後を絶たない状況にあり、労災が疑われる健康保険適用者は年間6万人程度に達すると見られている。これら不正な労災隠しの切り札として、社保庁から診療報酬明細などの情報を受け、徹底した労災隠しに乗り出す。



税金の無駄遣いは277億円

会計検査院がまとめた、省庁や政府関係機関を対象にした2005年度決算検査報告書によると、不適正経理処理とした指摘したのは総額452億円で、このうち、税金の無駄遣いが277億円に上ることが判明した。省庁別にみると、裏金づくりを行っていた労働局の不正経理を含めた厚生労働省がワースト1位の約101億円、次いで国土交通省(約78億円)、文部科学省(約43億円)となった。最少は、総務省の約1億円。



就職内定率、連年、上昇傾向に

文部科学省と厚生労働省の調査によると、10月1日時点で、来春卒業する大学生の就職内定率は前年同期2.3ポイント上昇の68.1%、高校生では48.4%(前年同期比4.4ポイント増)であることが分かった。大学生は4年連続の上昇、高校生は3年連続の上昇で、それぞれ8年前の水準まで回復している。最も内定率が高かったのは三重県の73%、愛知県の72.1%で、最も低かったのは沖縄県の6.7%となっている。



戦後最長の景気も「実感なし」が77%

帝国データバンクが企業を対象にした意識調査で、現下の戦後最長の景気拡大期にあるにもかかわらず、77.4%の人が「景気拡大の実感がない」と答えていることが分かった。「景気拡大の実感がない」と答えた割合を企業規模別に見ると、中小企業が78.7%で、大企業の73.2%を5.5ポイント上回った。地域別に見ると、景気回復が遅れていると見られる北海道が86.6%と最も高かった。



中国の外貨準備高、世界初の1兆ドル

中国国営の中央テレビは、国家外貨管理局の情報として、中国の外貨準備高が10月末で1兆ドルを超えたと報じた。外貨準備高が1兆ドルを超える国は初めてで、2位の日本は9千億ドルにとどまり、大きく水を開けられた恰好となった。中国は貿易黒字が前年を60%も上回る勢いで増え続け、大量の外貨が流入したことによるもの。中国は外貨準備の半分以上を米国債などの米ドル建てで運用する一方、残りをユーロや日本円で運用している。この中国の膨大な外貨準備高の運用次第によっては、世界の金融市場・為替相場に大きな影響を与えかねない。



65歳以上の労働力人口、551万人に

総務省の調査によると、65歳以上の労働力人口(仕事をしている人と仕事をする意欲のある人の合計)は、今年9月に551万人に達していることが分かった。65歳以上の労働力人口は2000年以降伸び悩んできたが、企業業績の回復ととも雇用情勢が改善し始めて増加に転じた。厚生労働省では、労働力人口の減少を緩和する上から、失業手当や職業訓練の場を提供する雇用保険に65歳以上も新規加入できるような制度見直しにも着手するなどして、高年齢者雇用を後押しする考えだ。



税収を50兆円に増額修正へ

財務省は2006年度一般会計の税収見積を当初より4兆円増額の50兆円とする方針を固めた。企業業績の回復に伴い、法人税を中心に大幅な税収増が見込まれるのに加え、定率減税全廃による増収で、52兆円に迫る可能性も出てきている。05年度決算では、当初予算を5兆円も上回っており、引き続き06年度も大幅増となる。来年度税制改正の焦点となっている減価償却制度見直しによる減収を見込んでも、50兆円台の税収が見込まれることから、税収50兆円を掲げるとしている。



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