社会・経済のうごき@しんぶん
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2006年10月10日号

倒産企業に再挑戦支援の新融資を

経済産業省は、「再チャレンジ支援策」の一環として、技術力などがあり再起が可能と判断した倒産企業に対し、新たな融資や信用保証の制度を設ける方針を固めた。新制度で対象とされる企業は、高い技術力を有する企業や、健全経営にも関わらず取引先の倒産での連鎖倒産企業などが対象となり、中小公庫や国民生活金融公庫などが特別貸し付けを行うとともに、民間金融機関が貸し付けて焦げ付いた場合に返済を肩代わりする信用保証制度にも破綻企業を対象とする特例措置が設けられる。新制度での融資資金の用途は設備投資や運転資金に加え、企業が他の金融機関から借りている資金の返済に充てることも認めている。経産省は財務省と調整したうえで、来年度の実現を目指すとしている。






都道府県の歳出削減率は1.2%に

総務省がまとめた地方自治体の2005年度決算によると、歳出総額は都道府県が前年度比1.2%、市町村では0.9%それぞれ減少したことが分かった。普通会計の歳出と歳入は、都道府県が7年連続、市町村が4年連続で減少した。歳出項目では、公共事業などの投資的経費が減少したものの、生活保護や地方債の利払いなどの義務的経費が増加している。また、人件費では、都道府県と市町村ともに、1.4%減少となっている。しかし、地方債残高から積立金を差し引いた将来にわたる財政負担は高止まり傾向にあり、都道府県では過去最高となる約80兆8千億円、市町村では57兆円にも上り、思い切った歳出削減なしには財政の硬直化は続くと見られる。



製品事故、2週間以内に報告の義務

経済産業省は、今臨時国会に提出する消費生活用製品安全法の改正にあたって、メーカーは製品事故の被害情報を経産省に2週間以内に報告を義務付ける方針を固めた。また、被害情報報告を受けてから経産省は1週間以内に事故情報を公表する。報告対象となるのは、製品の欠陥による死亡や重傷、火災事故などで、消費者の誤使用や交通事故、自殺は対象外とされた。しかし、消費者団体は「事故発生から情報公開まで3週間もかかるのは長すぎる」との批判が出ている。



厚生年金の受給遅らせれば、増額に

厚生労働省は、厚生年金の受け取りを本来の65歳から66歳以降に遅らせた場合に、遅らせた期間に応じて受取額を増額できる新制度を2007年4月から導入する検討に入った。増額率は、66歳から受け取る場合の8.4%が最低で、受け取りを1ヵ月遅らせるごとに0.7%増加し、70歳以降で最高の42%増額となる。国民年金には同様の制度があり、増額率は国民年金と同率になる。会社員が加入する厚生年金では、働いている間は年金を給与水準に合わせて減額になる制度があり、年金を満額受け取るために仕事をやめる高齢者が多い実情があり、新制度導入で、高齢者の就労を促す狙いがある。



減らないサービス残業

厚生労働省のまとめによると、サービス残業で労働基準監督署から是正指導を受けて、2005年度に100万円以上の未払い残業代を支払った企業が過去最多の1524社に上ることが分かった。未払い総額は、約233億円。是正指導を受けた企業は前年度より87社増え、1社当たりの未払い額は1529万円だった。業種別で是正指導が多かったのは、商業で、次いで製造業、接客娯楽業となっている。調査結果にて、連合は「景気回復で仕事量が増えているのに企業が人員を充当しないため、1人当たりの残業量が増えている。労働者の時間管理よりも経営を優先する傾向はまだ強く、サービス残業は減らない」とみている。



出生率予測を下方修正へ

厚生労働省の社会保障審議会は、これまで「2030年ごろから1.39で安定する」としていた出生率を、05年の1.25と、最も現実的とされる「中位推計」を0.06ポイント下回り、悲観シナリオの1.22に近づいたのを受けて、下方修正する方針を固めた。出生率の下方修正は、公的年金はじめ、医療や介護などの社会保障制度の給付抑制が現実的なものとなるばかりでなく、外国人労働者の受け入れなど、わが国の政策・制度全般の見直しが迫られることになる。



米国の人口、10月に3億人突破

米国の人口が、この10月中旬に3億人を突破する。2億人を超えた1967年から40年足らずで1億人増えたことになる。高い出生率と大量移民流入が背景にある。



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