社会・経済のうごき@しんぶん
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2006年09月12日号

正社員雇用へ企業がシフト

総務省が発表した4-6月期の労働力調査によると調査開始の2002年以来、正社員の増加数(前年同期比46万人増)が非正社員の増加数(23万人増)を初めて上回った。背景には、企業の業績回復傾向に伴い、これまでリストラや採用抑制に加えて、雇用調整がしやすい非正社員採用を行ってきた企業が、団塊世代の大量退職も加わって、優秀な人材を正社員として確保するシフトチェンジの動きが顕著になってきたことが指摘されている。とくに、正社員雇用拡大の恩恵を受けているのが、15-24歳の若者層で、正社員数が18万人増える一方、非正社員数は逆に19万人減っている。今後、大学卒業時に就職氷河期に遭った25-34歳層での正社員雇用が課題となってくる。



先行指数50%割れで年末への不安

内閣府が発表した7月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が83.3%となり、景気判断の分かれ目となる50%を4ヶ月連続で上回った。現状の景気の底堅さを裏付けたが、半年先の景気動向を反映する先行指数では、50%を割り、40%となった。先行指数の50%割れは、購買意欲の強さを示す消費者態度指数が悪化したことによるもの。原油高をはじめとする原材料の高騰による価格上昇懸念が影響しているものと見られる。みずほ総合研究所では、「年末に掛けて景気が減速する兆しが出ている」とみている。



生活保護給付を自宅担保融資へ

年間約2兆円に達する生活保護費の圧縮に取り組んでいる厚生労働省は、持ち家に住む65歳以上の生活保護受給者を対象に、自宅を担保にして生活資金を貸し付ける新制度「リバースモーゲージ」を導入する方針だ。同制度は、住居用不動産の評価額70%を上限にして、生活保護費(6-7万円程度)に医療費を上乗せした金額と同じ水準額を毎月貸し付け、借り手が死亡した場合には、担保の土地・建物を売却するなどして一括返済する仕組みとなっている。金利は長期プライムレート水準となる。この制度を生活保護の給付に優先させる方針で、生活保護費給付を抑制するとともに、支給要件を巡る国民の不公平感を払拭するとの狙いがある。同省では、生活保護を受給し、土地を所有しているの約5%(2万世帯)あり、生活保護給付を年間100億円圧縮できると試算している。



たばこ税収、駆け込みで44%増

財務省が発表した7月の税収実績によると、たばこ税の税収は前年同期比で44.4%と大幅に増加し、1998年12月以来の高水準となったことが分かった。7月の税収は6月出荷分を反映したものとなるが、7月からたばこ税が1本1円当たり引き上げられ、引き上げ前に購入する、駆け込み需要があったものとみられる。



少子化対策、10月から順次実行へ

政府が6月にまとめた「少子化対策」に基づき、この10月から順次実行されていくが、10月1日から出産後1ヵ月後に受け取る出産一時金を出産費用の支払いに使えるようになる。また、その金額も現在の30万円から35万円に引き上げられる。親はまとまった資金を準備しなくても出産に対応ができるようになる。「少子化対策」で計画されている政策については、各省庁からの概算要求で総額1兆7千億円に及び、予算審議を経て、順次実行されていくとみられるが、政府・与党の歳出削減方針の中で、政策実現までには紆余曲折が予測される。



人件費増でも、労働分配率は低下

財務省が発表した4-6月期の法人企業統計によると、企業が生み出した付加価値(粗利)が労働者に回った比率を示す「労働分配率」は,61.9%で3四半期ぶりに低下したことがわかった。労働分配率の低下は、賃下げなどの場面で見られるのが通例だが、現在は正社員雇用や賃上げなどもあり、人件費は3.5%も増加している。これは、取りも直さず、企業の業績回復で人件費増を上回る売上増・増収が図られていることを物語っている。



ピロリ菌感染者は胃がんリスクが5倍

厚生労働省の研究班の追跡調査によると、胃炎や胃潰瘍を起こす細菌「ヘリコバクター・ピロリ菌」に感染した人の胃がん発症の危険性は、未感染者の5倍以上になることがわかった。研究班では、「ピロリ菌に感染していても胃がんになるとは限らないが、感染者は喫煙や塩分の取り過ぎなどの生活習慣を改めるべきだ」と話している。



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