社会・経済のうごき@しんぶん
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2006年09月05日号

2割超の市町村が自由起債できず

総務省が発表した自治体の財政健全度を示す新しい財政指標『実質公債費比率』の市町村の算定結果によると、地方債発行に当たって国と都道府県の許可が必要な自治体は406自治体に及び、全体の2割超に達していることが分かった。指標は、自治体の収入に占める実質的な借金返済の割合を示し、18%以上であれば債務削減計画策定が義務付けられ、25%以上になると財政破綻危険度が高いとされ起債が制限される。地方債発行に国の同意が必要な自治体を都道府県別にみると、島根県が21市町村のうち18市町村と最も高く、青森県・石川県も自治体の半数を超えている。



国民年金未納での時効額、1兆円突破

国民年金保険料の未納のうち、2年間の時効を迎えて徴収不能になった金額は2005年度に1兆442億円となり、初めて1兆円を超えたことが分かった。時効になったのは03年度分で、この年度の納付率63.4%と低かった。国民年金は滞納していても、原則2年以内であれば納付できるが、時効の2年を過ぎると納付も徴収もできなくなる仕組み。現在の基礎年金制度ができた1986年度からの時効累計額は約11兆円にものぼり、年金の空洞が進んでいることを浮き彫りにしている。



家計の株・投信の値上がり益は62兆円

日銀の資金循環統計によると、2005年度に個人が保有する株式や投資信託の値上がり益(含み益と売却益の合計)は、過去最高の62兆4千億円に達していることが分かった。04年度比で14.3倍に達する。名目国内総生産(GDP)における個人消費額の約290兆円の2割強に匹敵し、投資利益が家計を下支えし、個人消費を後押ししたことが伺える。第一生命経済研究所では、「個人は株価が上昇すると常に一定の利益を確定する。05年度はその額が約2兆円に達しており、その7割が消費に回ると名目個人消費を0.5%押し上げる効果がある」とみている。ゼロ金利政策解除後、預金金利上昇はわずかにとどまっている状況にあり、今後も「貯蓄から投資へ」の流れは、当分続くと見られる。



個人消費、耐久財がけん引役

内閣府がまとめた個人消費の内訳によると、デジタル家電や家具などの「耐久財」が本年4-6月期、前年同期比で実質8兆8千億円(7.6%)増加し、耐久財が個人消費をけん引している実態が明らかになった。内閣府は耐久財の中で、どの商品の消費が増えたかを示していないが、薄型テレビやDVDレコーダーなどのデジタル家電と、旺盛な住宅投資を背景に家具購入が個人消費を後押ししたとみられる。個人消費は、昨年10-12月期、今年1-3月期のそれぞれが前年同期比で10%超となっており、個人消費の堅調さが際立ってきている。



中小企業での雇用不足感、広がる

商工組合中央金庫の「中小企業の採用動向調査」によると、人材が「不足している」企業の割合は29.5%で、「過剰」の16.9%を大幅に上回っており、中小企業の人材不足に広がってきていることが分かった。また、今後1年間に従業員を増やす企業は全体の32.6%で、減らす企業の12.1%の2.7倍に達している。人材採用に際して、06年度の採用環境については「良い」と答えた企業は7.4%に過ぎず、「悪い」の33.7%を大幅に下回り、大手企業との人材獲得競争激化による採用環境の悪化が読み取れる。中小企業金融公庫総合研究所では、「大手の強い採用意欲に押され、本当に人が採れないという状況になっている」としたうえで、「自社の魅力を分かりやすくアピールする工夫が必要」と話している。



郵政公社が地方債引き受けを廃止

総務省がまとめた07年度の地方債計画で、来年10月に民営化移行する日本郵政公社が、07年度から新たに発行される地方債の引き受けを廃止することが分かった。このため、地方債引き受けの民間資金の割合が66%に上昇する。また、総務省が地方自治体に対して提唱してきた公募地方債の統一金利という横並びが排除され、地方債にも市場メカニズムを反映した流れが加速するものとみられている。



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