社会・経済のうごき@しんぶん
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2006年07月11日号

増える、銀行の自治体向け融資

全国の自治体向け融資の2006年3月末残高は約14兆1千億円に上り、前年より7%増加していることが分かった。銀行の自治体向け融資が増加している背景には、財政投融資の縮小と、自治体向け融資を行う公営企業金融公庫依存から脱し、借入先を多様化する自治体の思惑がある。さらにまた、昨年4月からのペイオフ全面解禁で、金融機関が破綻しても預金と借入金を相殺し、預金を保護できるようにする自治体も少なくないといわれている。一方、夕張市の財政再建団体の指定申請をしたことで、今後、銀行サイドの融資審査の厳格化が強まるとみられる。



軒並み歳出削減のシーリング策定へ

財務省は、政府の経済財政運営の基本方針『骨太の方針』が固まったことを受け、2007年度予算の概算要求基準(シーリング)の策定に入った。政府は、07年度から11年度までの5年間で最大14.3兆円の歳出削減を図る方針で、07年度はその初年度にあたり、軒並み削減方針を打ち出している。公共事業は今後5年間で毎年1-3%削減、政府開発援助(ODA)は前年度比4%削減、社会保障費は今後5年間で1兆1千億円抑制、生活保護費も圧縮する方針を掲げている。8月末まで各省庁からの概算要求を受け、年末までに予算編成される見通しである。



上限金利を20%に引下げで合意

自民党の金融調査会は、来年に予定している貸金業規正法の改正案に対する考え方をまとめたが、焦点の上限金利については、利息制限法の上限である年20%に引き下げることで合意した。また、貸金業者への規制強化についても、①新規参入業者の登録要件の厳格化、②広告への規制強化、③違法な取立てへの行政処分に業務改善命令を加えるとともに罰則の拡充といった禁止行為の追加、などを併せて提言した。ただ、金利については、緊急性の高い中小事業者向け貸付けなどには「上限20%に金利の上乗せを認めるべき」との意見があり、特例措置を設ける含みを残した。8月末までに法案整備し、議員立法か政府提案かを決めた上で、早ければ秋の臨時国会に提出する。



自治体の財政悪化指標を公表

総務省は、自治体の財政健全度の指標として新たに採用する「実質公債費比率」の試算値を発表した。今回発表された「実質公債費比率」は、各自治体の収入に対する借金の負担割合を示すもので、地方税収や交付税を分母に、借金の元利返済額を分子として算出するが、隠れ借金ともされる自治体傘下の公営企業の借金も分子に加えて算出。都道府県で最も高かったのは長野県の20.1%で、政令指定都市では福岡市の22.8%だった。総務省は同比率が18%の自治体は「財政状況が悪い」とみなし、4月から地方債の起債の自由化に関わらず、起債するに当たっては国の許可が必要であるとしている。



1年間で物価は3.7%上昇と予測

日銀が実施した「生活意識アンケート調査」によると、「今後1年間で物価は3.7%上昇する」との予測を国民が抱いていることが分かった。3月調査に比較して1.6ポイント高まっている。物価上昇率が金利を上回り、貯蓄より消費や投資が有利と見て、住宅購入や消費の加熱感が強まる可能性があり、ゼロ金利政策解除決定の必要性を示唆している。調査では、「購入する物やサービスの価格全体」がどの程度変化するかを具体的な数字で聞き、平均値として算出されている。



ウィルス被害は過去最悪に

情報セキュリティー大手のトレンドマイクロは、2006年1月-6月のコンピュータ感染被害件数は約4万3千件に達し、01年以降からの調査以降、半期ベースで過去最悪になったと発表した。前年同期比で2.6倍と急増傾向を示している。利用者が知らない間にパソコンに侵入し、個人情報を盗むウィルス被害が目立ち、最も多かったのが、「スパイウェア」。また、利用者の意向に反して広告を表示する「アドウェア」も目立った。ウィルス被害で新聞を賑わした「ウィニー」は、「件数でみれば、さほど多くなかった」と同社では話している。



ゴルフ会員権、28%上昇と人気

日本経済新聞社のゴルフ会員権指数の対象510コースの平均価格は、6月末時点で362万円となり、年初に比べて28.5%上昇し、ゴルフ会員権の市況が回復している。投機売買が目立ったバブル期に比べて10分の1以下での値頃感から購買意欲が拡大してきているとみられる。



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