社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2006年05月09日号

社会保障個人会計制度の導入を検討

政府は、国民の個人ごとに社会保障の給付・負担の情報を一元管理する「社会保障個人会計制度」を2010年度前後に導入することで検討に入った。同制度では、年金・医療・介護・雇用の4分野を対象とし、それぞれの利用状況を示す「給付」と、納付した保険料や医療・介護の自己負担額を合算した「負担」の収支を明示する仕組み。厚生労働省や地方自治体、健保組合などが情報を交換・共有するとともに、個人は自らの社会保障番号によりネットで閲覧できるようにするとしている。このため、個人会計制度を一体的に管理・運営する機関の新設を行うともしている。しかし、国による個人情報の一元管理への反発も見込まれ、実現には曲折も予想される。



赤字会社の外形課税額は1600億円

総務省が3月決算法人を対象にした集計によると、昨年導入された外形標準課税に基づく赤字企業の納税額が導入初年度の2004年度で1680億円に達していることがわかった。外形標準課税制度は、赤字会社にも行政サービスの恩恵に対して負担すべきとの考えから、2004年4月から開始される事業年度から法人事業税に導入されたもので、資本金1億円超の法人が対象とされた。今回の集計は、税収の7割を占める3月決算法人分を調べたもので、新たに7225社の赤字企業に課税され、地方税収に増収効果が表れる形となった。今後、税負担の公平と地方財政の脆弱さをカバーするうえで、課税対象企業の拡大論議が広まりそうだ。



新入社員はコミュニケーション重視を

社会経済生産性本部が今年の新入社員を対象に、運動会などの会社の親睦交流行事への参加意向を調査したところ、「参加してもよい」と82.7%が答え、調査開始以来、最高を更新した。また、日本能率協会が「これから伸ばしたい能力」を尋ねたところ、「語学力」(32.4%)で最も多く、次いで「コミュニケーション能力」(31.1%)、「リーダーシップ」(23.8%)と続いた。職場でのコミュニケーションを重視している姿勢が両調査で共通している。



労働力人口が8年ぶりに増加へ

総務省の労働力調査によると、就職している人と就職を希望している人の数を足した労働力人口は2005年度で6654万人となり、1997年度以来減少し続けてきてから、8年ぶりに増加に転じた。企業業績回復を背景に、女性や高齢者が就職に前向きになったことによるもの。女性の労働人口は直近の底だった2002年度比で22万人が増加、また60歳以上も同時期より33万人増加している。しかし、少子高齢化による構造的な労働人口の減少圧力は変わらないと見られるが、人手不足の懸念を抱く企業は女性や高齢者活用に向けて、再雇用や復職などの就労制度の整備を図る姿勢を強化しており、労働力人口にはプラス要因に作用している。



6割が「収入格差が拡大」と実感

連合総合生活開発研究所の調査によると、個人の収入格差が「5年前より拡大した」と答えた労働者が63.6%に上ることが分かった。格差が拡がった理由は、「パート・派遣労働者など非正規雇用が増えた」(51.1%)で最も多く、次いで、「失業や就職難などで収入のない人が増えた」(43.7%)、「企業間の業績格差拡大で賃金の差が拡がった」(42.5%)となっている。収入格差について「今後どうなるのがよいか」の尋ねに対し、35%が「縮小すべき」と回答。「縮小すべき」の回答を年代別にみると、50台の48.3%を最高に、世代が下がるにつれて減り、20代では21.8%となり、世代が若いほど「格差が拡大してもよい」と見る傾向が表れている。



オール電化世帯、150万件突破

電力会社10社の集計によると、給湯や厨房など家庭用熱源に電気機器を使う、いわゆる「オール電化」世帯が、3月末で150万件を突破したことが分かった。前年比で33%の増加で、とくに東京電力では前年比88%の伸びとなった。都市郊外の新築戸建て住宅や新築マンションを中心に普及件数が増加している。競合する熱源エネルギーのプロパンガスが比較的割高感があり、経済的メリットが得やすいことから普及が進んだとみられる。こうした電力の攻勢に対し、ガス業界は料金引き下げや顧客サービス体制の強化・再構築を図って対抗する方針である。



トップへ