社会・経済のうごき@しんぶん
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2006年04月04日号

雇用保険事業を抜本見直しへ

厚生労働省は、これまで無駄遣いとの指摘が多かった雇用保険料を財源にした雇用保険事業を抜本的に見直す方針で、年内までに審議会で具体案をまとめる。同省は、中小企業社員の健康増進のための福利厚生を主目的にした事業を原則廃止するとともに、失職者への失業給付で年間4千億円ほど国庫負担しているものを縮減することを検討している。しかし、失業者への国庫負担の縮減は、保険料の引き上げや失業者への給付削減にもつながりかねない問題だけに、労使双方の反対が予想され、調整が難航するものとみられている。



東証一部の時価総額、バブル期の9割に

年度末にあたった3月31日の東京証券取引所第1部の時価総額は前年度末比49%増の554兆円に達し、バブル絶頂期だった1998年末(606兆円)の9割水準にまで回復した。不動産や素材などの内需関連株や、不良債権処理を完了した銀行株などが大きく上昇し、デフレ脱却期待や企業の業績回復が反映されたものとなっている。日経平均は1998年当時よりは半値以下になっているが、NTTドコモやヤフーなどの大型銘柄が上場し、上場企業数が当時より5割増えたことが、時価総額を押し上げた。年度末として見た場合の時価総額はバブル期の1989年3月末(505兆円)を抜き、17年ぶりに最高となった。また、日経平均の年間上昇率も46.1%に達し、戦後5番目の水準となった。



67%が「日中関係は良好と思わない」

外務省が発表した「日中関係に関する意識調査」によると、現在の日中関係を「良好と思わない」が66.7%に達していることが分かった。日中関係における具体的な問題を尋ねると、首相の靖国参拝を含む歴史認識問題など「過去を巡る問題」とする向きが58.9%と最も多く、「相互理解の不足」(32.1%)と続いた。今後20年で日中関係が「好転する」と回答したのは46.5%で、「現在と同じ」(24.0%)、「悪化する」(10.7%)を上回り、未来志向の国家間関係作りへの期待をにじませている。



家計の金融資産残高、1500兆円に

日銀の資金循環統計(速報)によると、家計の金融資産残高は2005年12月末で1500兆円台に達したことが判明した。1年間での金融資産残高は約75兆円増えたことになるが、その大部分に相当する約62兆円が株式や投資信託の増加分となっている。長引いたゼロ金利時代に貯蓄からリスク性のある株式・投資信託への資金シフトが行われてきており、それらの資金流入や企業業績回復での株価上昇が家計金融資産残高を増加させた図式となっている。大和総研の試算によると、家計の金融資産が1兆円増加すると、個人消費を300億円~500億円増加させる効果があるとして、個人消費の押し上げにも貢献している。



若年層の資産額、大幅減少に

総務省は、全国消費実態調査で、30歳未満・30代の若年層を世帯主にする家計の保有資産額(試算から負債を差し引いた純資産額)が前回調査の5年前と比較して2割以上の大幅な減少になったと発表した。2人以上の全世帯の家計資産額は、5年前より11.1%減少の平均で3900万円だったが、世帯主の年齢別でみると、30歳代は28.6%減、30歳未満は21.2%減少し、若年層の資産目減りの大きさが目立った。若年世帯は住宅ローンなどの負債が伸び、貯蓄から負債を差し引いた金融資産はマイナス状態にある。全世帯を年収別に10グループに分類すると、最低収入層(平均年収212万円)の資産額は2400万円、最高収入層(平均年収1668万円)の資産額は8100万円となっており、その格差は3.4倍(前回調査3.1倍)となった。



海外旅行、50歳以上が34%

海外旅行での出国者数に占める50歳以上の割合は、1990年に24.5%であったものが、2005年には34.6%にまで増え、海外旅行の主役が「若者からシニアに移っている」(JTB)ことが分かった。今後、団塊世代の定年退職記念としての海外旅行需要が強く、電通消費者研究センターでは、「退職記念として海外旅行に9804億円を支出する」と試算し、退職に伴う団塊世代消費の12.6%を占めるとしている。



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